私達の勉強会

2019-03-04

2月の勉強会は仝選甫先生の「眼科疾患について」の講義でした

仝先生は昨年成都中医薬大学病院の耳鼻科研修の際、引率してくださった先生で、中医五官病の専門の先生です
五官とは目、鼻、耳、唇、舌を指し、それぞれ五臓の官です。
今回は昨年、発売になった星火睛明丹について使われている中薬の説明と先生の眼科疾患の症例についてでした

眼科で使われる石決明の入った製品が待たれていましたがやっと発売されました

睛明丹の成分

石決明

平肝熄風薬に分類されています
平肝熄風とは肝は血と関係が深く肝の陰血の不足により肝陽が抑制できず陽気が浮上するのを抑え、陽気の浮上により肝の主気である風が起きる(内風)のも抑えるという意味です
つまり身体(肝)の弱りによって頭部などの上部に腫れや痛みや赤くなるなどの熱の症状が出て、内風の為めまいやふるえなどがでるなどに使うという事です
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中薬学では以下のように書いてあります
肝火を清する とともに肝陰を補い、重鎮で潜陽する
肝陽上亢の驚風抽搐・目赤翳障・青盲雀目(緑内障)などに適する
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肝陽上亢の症状があれば使うと良いです。
肝陽上亢なら目の病気になりやすいともいえます
まず肝陽を鎮め・肝陰を補う事です

白僵蚕

これも平肝熄風薬に分類される中薬です。熄風解痙の働きがあるとされ中医では顔面神経麻痺の時使ったりします。
足厥陰肝経を突き貫くように巡り・・・と書いてある所をみると経絡の気血の流れを通す働きが強いようです。化痰散結となっているのはそういう所からも来ているのかもしれないと感じます。
散結は固まりを散らすイメージでしこりにつかいます。
また、風泄熱となっているので風熱型のアレルギー症状に使えます。
*石決明と白僵蚕の組み合わせで、身体の内側からくる目のかすみや濁りにも風邪(ふうじゃ)による結膜炎などにも使用できるようです。

決明子

軽楊の気を受けて、昇降できると中薬学に書いてあります。肝胆鬱熱・風熱外襲による頭痛目赤にも肝腎陰虚による目暗不明にも使用でき『眼科の常用薬物』と称されるそうです。
これは、細菌やウイルスや花粉症など外的因子・環境因子による目の充血に使える他 高血圧など身体の内側に原因がある充血や視力減退にもどちらも使えるという意味です。
ただし潤腸通便の作用もあるので軟便気味の人や下痢しやすい人には使えません。

酒黄精

脾気・脾陰を補い、肺を潤し腎精も益します。
酒で炒ると薬力を上部にもっていくとされています。

その他ルテイン・ゼアキサンチン・アサタキサンチンなども入っています。

目の病気と漢方

緑内障

視神経が障害され視野が狭くなる病気です。
①眼圧が高くなることで視神経が障害される
②正常眼圧なのに視神経が障害される

眼圧は房水という眼球を満たしている液体の産生と排出のバランスによって一定に保たれています。
房水の排出が停滞してうまくいかなかったり、排出口が塞がったりして眼圧が上がります。
手術が必要な場合もあります。
正常眼圧緑内障の場合は眼圧に対して視神経が弱いからと考えられているようです。
ちょうど中医学でいう扶正祛邪の関係のようです。
こちらは特に日本人には多いそうです。

中医学では房水に対するアプローチとともに弱い部分をバックアップするように考えます。
*活血通絡・利水・補腎養肝明目です

加齢黄斑変性症

黄斑部は物の形や大きさ 色 明暗などを見るのに大切な部分です。
加齢によりそこに新生血管が出来たりそこの毛細血管が委縮したりする病気です。

中医学ではその現象を脾虚湿困・痰瘀互結・肝腎不足・陰虚火旺などと考え健脾利湿・活血通絡・養肝明目などの方法をります。
*新生血管ができるのも血管の萎縮も瘀血を考えると思いますが、新生血管は切れやすく出血すると見えない事につながります。

*9月に中医眼科の来日するのでその先生の治療についての話がありました。
糖尿病網膜症に対して 補虚活瘀、通絡明目・・・これは先生の臨床経験からの事だそうです。

目はとても大切です。
杞菊地黄丸などの漢方薬や睛明丹・枸杞の実・決明子(炮じハブ茶)などをのんだり目に良い事をやっていきましょう。

2019-02-03

1月の勉強会は何暁霞先生の動物生薬に関しての講義でした。

動物生薬には哺乳類・鳥類・魚類・両生類・爬虫類・虫類・甲殻類など色々あります
『血肉有情之品』 血も肉もあり、情もある・・・人に近いという事
『同気相求』   人に近いので、よく補える
このように言うことから力のあるものと考えられています。

時々引用する「老中医の診察室」の第7回『脊髄炎を補肝腎と清化湿熱で治す』では漢方薬と豚の脊髄30㎝を一緒に煮込んで摂らせています。
3年も寝たきりだったのに3週間後は捕まって立つことが出来るようになり、数か月後には出かけられるまでに快復しています。なるほど『同気相求』だと思います。

食用蟻で食養生

勉強会ではアリについて再度学びました。
製品では益宝がアリ製剤です。
アリは9000種あるそうですが食用蟻は10種類しか無いそうです。
オーストラリアにも食用蟻がいるそうで、そういえばアボリジニの食文化に蟻を食べる習慣があった事を思い出しました。
たしか、蜜をためている甘いアリをテレビで見た事があったと思います。

中医で使われる蟻は『螞蟻』で木の上に巣を作ります。
画像をみましたが、まるで真っ黒なハチの巣のようです。
養殖ができないので野生のものです。
3千年以上前から食され蟻ジャムは皇帝に献上され、貴族階級の嗜好品だったそうです。
アミノ酸や微量元素など豊富ですので栄養補助食品になります。

中医学では性は平、味は鹹で、補腎・通経絡・消腫毒の効があり、腎虚頭昏耳鳴・失眠多夢・陽虚遺精・中風偏癱・手足麻木・紅斑性狼瘡・強皮病・皮膚炎・癰腫疔瘡・毒蛇咬傷を主冶となっています。

中国では免疫機能に問題があるためになる色々な病気に応用されているそうです。
新聞などに治癒経験がのっていてリューマチ・強直性脊髄炎・大腿骨壊死症・乾癬・関節炎や便秘・不眠に至るまで色々だそうです。
関節炎にはよく使われ1~4ヶ月で大分緩解するそうですが、何先生が驚きをもって話されたのは20年あった乳腺のしこりが無くなったという話です。
中医学で乳腺は肝の経絡という事から考え逍遥散を使う事が多いそうですが、蟻が良いというのは初めてだそうで、使ってみようと思っていますと言っていました。
乾燥した蟻をお酒に浸け込んだ薬酒や蟻の粉末などの形で飲まれているそうです。

何先生曰く「難病と言われている病気には使ってみては・・・」

中医学で『腎は精を蔵し、骨を主り、髄を生じ髄海に通じる』といいます。
精とは人の生きる力の根本みたいなものです。疲弊し体力気力ともに失った状態を『精根尽き果てる』といいます。この言葉にも精の重要性が出ていると思います。

阿膠

ロバの皮からとった膠質です。
中医学的には補血・滋陰・潤燥・安胎の効ありと言われていて、楊貴妃が美しさを保つために飲んでいたとか、習慣性流産に悩んでいた西太后が飲んで同治帝を生んだとか言われているそうです。
何先生も「子供の頃母が阿膠を煮込み黒胡麻と混ぜて食べていました。そのせいか母の髪は60歳になっても艶のある黒髪でした」と話されました。

阿膠は婦宝当帰膠に使われていますが、近年値段がだいぶ高騰しているそうです。
そういわれると阿膠が入れられなくなるのが心配です。

薬用はクサガメの甲羅です。これを3日3晩くらい煎じるゼラチン質を取り出すそうです。
長寿・吉祥・幸運の象徴で、自然界の最も濃厚な陰を得て長生き任脈(月経と関係のある経脈)を通し、補陰力が最も強い。
*亀の長寿の秘密はのんびり!!
新陳代謝は緩慢・年間300gしか増えず、心拍数は26~30回、11月から4月まで冬眠

*陰は静かで抑制的なイメージがあると思いますが中医学でも陰が十分であれば気持ちも穏やかでのんびりでよく眠れます。

スッポン

スッポンの甲羅を鼈甲といい亀の甲羅と同じく滋陰潜陽の効があります。

鹿角

陰陽はバランスよく補います。鹿角(ろっかく)は骨化した鹿の角でやはり長く煎じて膠にしたものです。
これは陽気(エネルギー)を補います。

2018-12-30

平成30年12月16日 中医学勉強会

『不妊症と補腎薬の活用方法』                           遼寧中医薬大学客員教授 中医学講師 劉伶先生

現代は結婚の年齢が高くなっている為か子供を望む年齢も高くなっています。
長年、不妊症に取り組み、理論的な面は極めてこられた先生でも高価な漢方を長期に使って頂いても出産にこぎつけない事に対する悩みもあるようです。
しかしながら、先生がタイアップしているクリニックによると体外受精の成功率を20数%から40%弱まで上げる事ができているという実績を示されたとの話をされました。(年齢は30代後半から40代が多い)
この数字の示す意味は漢方で身体をバックアップさせて高度生殖医療を行っても10人中6人は難しいという事になります。
ただ、漢方をしっかり使う事で40歳以上でも自然妊娠したり・卵胞が育たず採卵できない人が採卵できるようになったり、筋腫が多くて着床しにくいい場合も妊娠出来たりなど奇跡とも思える事も経験されていて、その症例についてお話頂きました。

子供はやはり授かりものなのだと思います。
ただ、中医学を学ぶ私たちは基礎理論をしっかり把握してそれにそって使って頂ける事が大事だと感じました。

一概に不妊といっても無月経の場合もあれば生理不順の場合、また生理痛の有無など違いがあります。
また、医療の結果として卵胞数が少ない・胚の分割が悪い・着床障害など状態に応じた中医学的な考え方の違いがあります。
また流産についても中医学のとらえ方があり、胎動不安「堕胎」「小産」、一定の時期に流産してしまうのを「滑胎」といいそれに対する弁証論治があります。

月経周期は陰陽転化の法則にそっていると考え周期に合わせて漢方薬を使っていく方法が効果的と言われています。
陰陽は互いがあって存在し、対立・制約し、陰から陽に陽から陰消長・転化を繰り返すという変化が生命誕生と関係のある月経という営みの中にある事は感慨深い気がします。

月経期・・・瀉陰
行気活血と(補気・疏肝・袪湿・止血)
卵胞期・・・陰長
滋養肝腎と(活血・疏肝・利湿・清熱)
排卵期・・・重陰転陽
活血補腎と補気
高温期・・・陽長
補血温陽と(補気・活血・疏肝・安神・補腎)

高度生殖医療を行う場合の漢方薬の使用する時期や漢方薬の組み合わせの割合など先生の経験からの方法について症例を紹介しながらの講義でした。

中医学では「補腎填精」という言葉があります。充填の填でいっぱいに詰め込むイメージです。
内経に女性は7の倍数で転機がくると書かれていて、以下のようになっています。
7×1 7歳 腎気が盛んになって歯が生え変わり髪ものびてくる。
(人の生長・発育・生殖には腎気がかかわっています)
7×2 14歳 天癸に至り(腎陰・陰精が充足した事)任脈が通じ・太衝の脈が盛んになり月経がはじまる(任脈・太衝脈は月経・妊娠と関係しています)
7×3 21歳 腎気が充満する
7×4 28歳 筋骨もしっかりして髪も美しく身体が一番壮健です。
(筋は肝血・骨は腎精・髪は血の余り(血余)といわれ血と関係が深いので、精血(肝腎)が充実しています)
7×5 35歳 顔がやつれ始めてくる・毛の切れ毛や抜け毛が見られだす(精血が不足してくる)
7×6 42歳 顔がやつれ・髪も白くなりだす(精血が更に不足)
7×7 任脈虚し・太衝の脈も衰え・天癸(腎精)竭き月経がなくなる
女性にとって血は重要です。肌や髪の美しさを保つためにも・・
だから補血薬は欠かせません。
でも40歳をすぎて不妊症の場合、天癸(腎精)についても考え補腎填精の品を使った方が効果が得やすくなると思います。
こういう漢方は動物薬といわれるものが力があるとされていて値段も高いです。
痰湿・瘀血・気滞・その他経絡の流れを悪くするものがあればそれも考慮しなければなりません。
劉伶先生の症例でも婦宝当帰膠をベースに周期にあわせて3~4種類の漢方薬や漢方食品が組み合わされています。
高くて飲み続けることができないなら何にもならなくなってしまいますから、最低限に必要なものを考え相談しながらやっていきましょう。

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