私達の勉強会

2018-11-04

平成30年10月21日 中医学勉強会

『問診のすすめ~婦人病~』                                                              中医学講師 邱紅梅先生

著書:問診のすすめ・わかる中医学入

5月に引き続き先生の著書『問診のすすめ』の現代医学を用いた問診の項より婦人病について講義していただきました。

不孕(不妊症の中医学用語で不育を含む)着床力 

①内膜の厚さと質をどうみるか?

 内膜は厚みと柔らかさがあるほうが着床しやすい。

 経血量は内膜の厚さとも関係している。

女性の生理機能を血の道といいます。
血の濡養作用は月経・妊娠・出産などにおいて重要です。
卵子も濡養作用によって成長します。
しかし血は気の推動力によって働く事ができるので気血という言い方をします。
“血とは脈管内の赤い液体であり、主に水穀の精微から化生されてできる”
となっています。
ですから月経が少ない事は血の不足(血虚)とみます。
『肝は血を蔵す』『心は血脈を主る』肝血虚・心血虚が関係します。
また肝腎同源・精血同源といい、『腎は生殖を主る』ので関係します。

 内膜が薄いのは 肝血虚・心血虚・腎精不足・腎陽虚・気血両虚などの可能性があります。

血虚・腎精不足は材料不足ととらえ、腎陽虚は転化するエネルギー不足と考えます。
また気血不足は脾の血をつくる力の不足により血の不足となります。

②内膜の硬さをどう考えるか?

中学的見方・・・瘀血が関係する
子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫・子宮腺筋症・卵管・子宮腔の癒着など
・月経痛が酷い・血塊
・排卵痛・性交痛・排便痛
・経血量は過多
瘀血は原因から色々なタイプがあるが気滞血瘀・寒凝血瘀が多いと感じています。
気滞血瘀はストレスと関係していますが、特にストレスは無いと言う人でも、几帳面だったりすると、そうでない状態が気になっていたり、また面倒見のいいひとやよく気が付く人なども気を使いすぎている場合の気滞血瘀もよくみられます。
寒凝血瘀も多く、薄着やよく冷たいものや生ものを摂るなどによる血瘀もよく見られます。せめて月経中は冷やさないようにして冷たい物は避けるようにしましょう。

③内膜の感受性

内膜の厚みは15mm以上あって、グレードの高い受精卵を胚移植しても着床しない場合は着床力の低い状態といわれるが、邱先生の経験則からいってほとんどが瘀血だそうです。
なるほどという感じです。どんなに気血が充実していても、腎精が充足していても運ぶルートが閉塞していては何にもなりません。
瘀血は万病のもとといいますが、全くだと感じます。

2018-10-07

平成30年9月16日 中医学勉強会

『中薬学と方剤学』                                                                                 武藤 勝俊先生

武藤先生はまだ中医学が今のように浸透していない時代に中国留学にして北京中医薬大学を卒業なさっています。
30年少し前、漢方は大塚敬節や森道伯など日本の漢方家の本で学んでいたものの中医学に関しては学び始めでしたので、武藤先生に中医学の基礎理論を教えていただきました。
今回は中医学の基礎に戻って中薬学・方剤学をみてみましょうという事でした。

中薬について
薬学部では薬効のある動植物は生薬といい薬用部分や成分など学ぶのは生薬学といいます。
中医学では効能のある動植物を中薬といいます。
生薬学とは全く異なる形式で分類されています。この中薬はどういう状況の時にどういう使い方をするのかという事が分類の基本になっているように思います。

中薬学の基本になっている書物はいろいろありますが、最古の薬学専門書は『神農本草経』です。
中薬を上品・中品・下品に分けています
上品…命を養う薬。長期に服用しても害がなく、抵抗力や治癒力を高める。
中品…養生を目的にした薬。病気予防・体力増強に用いる。
下品…病気を治す薬。薬効が強いが毒性も高いので長期に服用するには注意が必要。
*『命を養う力のあるものを上品とする』この事は予防していく事に重きを置いていた事がわかります。私たちは時々病の方ばかり見ていて、命の事を振り返らない事があるように感じます。

医者についての記述もあります。
上医は未だ病まざる者の病を治し
中医は病まんとする者の病を治し
下医はすでに病みたる者の病を治す。
*この理屈から言えば西洋医学の医師は下医という事になりそうです。現代社会においては病院や医院は病気になったら行くところなので仕方ないと思います。
病になってしまえば、治療は大変になってしまいます。抗生物質などもない時代には病にならない事が一番大切だったのだと思います。
それでも副作用の大きい下薬を服用しない為にも、自分の体質や状態に留意して体質を強化しておくことや、病気の芽を摘んでおく事が大切です。
体質を知る手立ては中医学には沢山あります。

中薬学では産地や採集時期など規定されています。
*これは生薬学も同じです。たとえばドクダミは花期全草とかで、一番薬効のある時期です。
また、植物の種や球根を持って行って別の土地に植えても同じ薬効が得られない事も多くみられます。

炮製
毒性や刺激性の軽減や除去・薬性の改変や効果の増強・貯蔵や保存の便宜性などの為に行う様々な作業。
例えば附子は猛毒のトリカブトの根ですが、熱や塩や圧力などで毒性を減弱したものです。
*そういえば石川県でふぐの卵巣を何年か塩蔵したのちまた時間をかけて粕漬けにして無毒化して食べる珍味があるそうです。

寒・熱・温・涼に分けたり、味を示したりしています、味は薬性と関係しているからです。
例えば当帰は甘・辛・苦・温と記されています。
この表示だけでも当帰は補益性があり、穏やかで、気血を巡らし、冷えをとり便通などもよくなるという事を示唆しています。
また、昇・降・浮・沈の性質がしめされています。

帰経(中薬が作用する経絡や臓腑)・毒性・配合・禁忌(配合・妊娠・飲食物)・用法用量などとても細かく記載されています。

分類
中薬学では効能によって薬物を分類しています。
解表薬・清熱薬・瀉下剤・芳香化湿剤など19項目に分類されています。
しかし動植物ですから効能は1つではありません。
たとえば晶三仙に入っている山査子は消道薬に分類されていますが破気化瘀の働きがあるので産後の瘀阻に使われると書いてあります。

方剤学について
治療の方法や方剤の効能やその処方の意味について書かれているのが方剤学です。
*つまり漢方薬には処方があります。その内容が方剤学には書いてあります。
たとえば、よく知られている葛根湯は麻黄・桂枝・芍薬・大棗・生姜・甘草・葛根が処方内容です。
葛根湯は解表剤に分類されます。解表は汗を出して風邪(ふうじゃ)を除く事です。
解表剤は更に1、辛温解表 2、辛涼解表 3、扶正解表に分類されています。
感冒にかかった場合、体質や症状の出方によって使う漢方薬が違うので分類しています。
冷えや寒気が強いのなどの場合は風の邪気だけでなく寒の邪気も入っているので、体を温めて発汗する方法辛温解表という方法を用い辛温解表剤の中から適したものを選ぶ事になります。
また、風の邪気と熱の邪気が入った場合は、熱を温めると熱は更に過熱されるので、こんどは涼しくさせながら発汗する辛涼解表という方法で治療します。その場合は辛涼解表剤の中から適した方剤を選びます。
また、体質が虚弱で正気の虚があるときは発汗により体力を更に低下してはいけないので正気を扶助しながら発汗する扶正解表という方法で治療します。その場合に使うのが扶正解表剤に分類される方剤です。

ただ 解表剤の所に分類されていなくても解表できる方剤もあります。
勝湿顆粒は芳香化湿剤に分類されていますが、効能は解表化湿・理気和中ですから解表の働きをもっています。

方剤の処方だけでは足りない場合の加減について書いてあります。

*加える事によって働きとして足りなかったり、または働きを強化するために中薬をくわえたり、あるいは方剤ごと加えたりします。
板藍茶や五行草茶やサージその他漢方食品としてでているものは加える為に出ているといっても言い過ぎではないと思います。
もちろん単味でも働きがあるのですが、相乗効果が期待できると思います。

2018-08-12

平成30年7月22日 中医学勉強会

『美と健康の為の中成薬応用』                                      中医学講師 医学博士 張立也

◇中医学の眼科で使われている中薬を使った食品ができました。『晴明丹』
*晴天の晴の明るいという名前でいかにもよく見えそうな名前です。

●成分は?ヨガの女性
①石決明・・・平肝潜陽・明目退翳(かすみを退け、目の見えをよくする)中医では緑内障によく使われる。
*肝は目に開竅するといい目の状態から肝の状態を知る事ができます。肝血・肝陰の不足は目の弱りや充血などの炎症となって現れます。更に不足の状態が酷くなり肝陰が肝陽を抑える事ができず肝陽が浮上すると益々症状が重くなるので、肝陰を滋養しながら浮上した肝陽を潜めさせ肝の陰陽バランスを平衡に近づけます。

②白僵蚕・・・袪風止痙・平肝熄風・化痰散結((熱・痰)など有余の邪気を取り除き、平肝熄風によって石決明の作用を強化する)
*中医学では熱性痙攣や風熱の頭痛や涙目、また痰核といわれるしこりに使われます。

 決明子・・・清肝明目・利水通便
*中薬学には「肝胆鬱熱・風熱外襲による頭痛目赤にも肝腎陰虚による明暗不明にも使用でき『眼科の常用の薬物』と称される。」とか

 酒黄精・・・補肝養陰・滋腎填精・健脾益気・養陰潤肺(酒で炮製すると血分に入りやすくなり、陰血を補益する。
*目は血をうけてよく見えるといい、血を補うことは基本的に重要です。

◇婦人の宝『婦宝当帰膠』発売から40周年。改めて婦宝当帰膠を考える。
●出展 四物湯・聖癒湯・当帰養血膏など
●特徴 補血不滞血、和血不傷血(血を補うが滞を作らず、巡らすが血を消耗しない)
成分は大和当帰を中国河北省の神農架(世界自然遺産の天然薬物園)で栽培している。
*婦宝当帰膠の成分の約6割が当帰です。当帰は補血活血の働きがあります。

●5月のシンポジウムのRIFに対する臨床実験に対する説明。
RIF(胚移植反復移植失敗)に投与して改善があるかを見る。
1、子宮内膜の 厚み・血流・温度に対する影響をみる。
 ・厚みは陰血の充実と関係
 ・血流は血の巡り、瘀血と関係
 ・温度は気血陰陽のバランスと関係
2、早期の妊娠ロスの低下
胚と子宮内膜の免疫応答の正常化
3、子宮への血液供給改善・内膜の血流が良くなる事により暑さ・内膜容積が改善。
●婦宝当帰膠の応用
1、冷え・・・温経散寒(手足の冷え・足腰の冷え・お腹の冷え・冷えのぼせ)
2、血虚や貧血・・・養血(めまい・立ちくらみ・ふらつき)
3、婦人科疾患・・・養血調経(月経不順・月経痛・月経前後緊張症候群・更年期)
4、不妊症・・・不妊・流産・産前産後ケア
5、神経痛・・・(頭痛・神経痛・腹痛・関節痛・打撲痛
*上記の中には婦宝当帰膠を主とすると良い症状と従に使う症状とあります。血を補う事は婦宝当帰膠は得意です。
しかし血は不足が酷くなると陰虚になります。血虚の状態で冷えがある人も陰虚になると手足のほてりを感じたりするようになります。

◇美と健康(肌)
血は滋養し潤す働きがあるので不足すれば肌がカサカサ・髪はパサパサ・爪も薄く曲がったりの症状がでます。だから補血は美容にも役立ちます。
・皮脂膜を強化したい時・・・紅沙棘
・保水力をアップしてみずみずしい肌・・・艶麗丹
・弾力性のアップ・・・亀鹿仙・紫煌珠
●艶麗丹
哈士蟆油・・・メインはこれです。哈士蟆の輸卵管です。
*美容に良い薬膳料理として食べられています。林蛙で検索する画像などを見る事ができます。

白木耳・・・滋補肺陰 白きくらげでこれも美肌の薬膳としてよく食べられています。
西洋人参・・・滋補心肺 気を補って元気にします。
真珠・・・清肝涼心安神 よく美肌に使われます。
●亀鹿仙・・・滋養強壮の力のある食品です。
亀板膠 滋陰潜陽 養血補心
鼈甲膠 滋陰鎮静 軟堅散結
鹿角膠 温陽養血活血
枸杞子 滋陰養血明目
西洋人参 滋陰斂陰固渋
山茱萸 滋補肝腎収斂
山楂子 消導 理気活血
大棗 養胃 健脾 養血
蜂蜜
黄色の部分は亀鹿二仙膠(西洋人参でなく人参)と同じ構成です。
亀鹿二仙膠は命門の陰陽を双補するというすぐれた処方です。
鹿角膠は全身の陽経の脈を総督している督脈を通じ真陽を補充する事で陰精を培補する。
亀板膠は全身の陰経の脈を総括している任脈を通じ滋陰填精する。
この2味によって陰陽を峻烈に補って気血精髄を生じさせる。
これを人参・枸杞子が補佐する処方になっている。
*命門の陰陽を双補するとは、命をろうそくの火に例えればろうそく自体も火力も補うという事になります。
気血は人の身体の営みになくてはならない基本的な働きだし、精は命のもつ根本的な力であり、狭義の意味ではホルモン系は精といえます。髄は骨髄・脊髄・延髄・髄海(脳)にまで考える事ができます。
だから、妊活・滋養強壮・美容と健康・老化防止・子供の発育の助けなど幅広く薬膳として食す事ができます。
亀鹿仙は更に鼈甲(しなすっぽんの背甲・腹甲)の膠・山茱萸によって補腎の働きがアップしているばかりでなく、軟堅散結・破瘀通経の働きが加わってしこりのある人も食すると良い食品になっています。
●紫煌珠
プラセンタ(胎盤エキス)の使われた栄養補助食品です。
*中薬学に出ている紫河車は人の胎盤の事です。現在は人の胎盤はつかわれていませんが、『へその緒』は人の胎盤の一部ともいえます。
補腎益精・助陽、益気養血の働きがあるため「へその緒は一生のうち大病をした時使う」と聞いた事があります。
余談ですが、以前読んだ単行本のチャングムには子供を授かりたいと願身体の弱い后の話が書かれていました。后の身体は弱すぎて出産は危険だとチャングムは反対しますが、后は命にかえてもと懇願しチャングムは国中の元気な男子を産んだ人の胎盤をあつめます。これを使って受胎し、男の子を出産しますが、后の身体はもうもたない状態になってしまいます。
しかし出産まで后の身体がもったの紫河車の滋養力だと思います。
その後テレビドラマのチャングムを見ましたが、違うストーリーでした。チャングムは実在していたのですが、皇帝が信頼していた女医がいたという史実しかわかっていないそうです。
内容から察するとどちらの作者も漢方に詳しかったように思われます。

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