私達の勉強会

2018-08-12

平成30年7月22日 中医学勉強会

『美と健康の為の中成薬応用』                                      中医学講師 医学博士 張立也

◇中医学の眼科で使われている中薬を使った食品ができました。『晴明丹』
*晴天の晴の明るいという名前でいかにもよく見えそうな名前です。

●成分は?ヨガの女性
①石決明・・・平肝潜陽・明目退翳(かすみを退け、目の見えをよくする)中医では緑内障によく使われる。
*肝は目に開竅するといい目の状態から肝の状態を知る事ができます。肝血・肝陰の不足は目の弱りや充血などの炎症となって現れます。更に不足の状態が酷くなり肝陰が肝陽を抑える事ができず肝陽が浮上すると益々症状が重くなるので、肝陰を滋養しながら浮上した肝陽を潜めさせ肝の陰陽バランスを平衡に近づけます。

②白僵蚕・・・袪風止痙・平肝熄風・化痰散結((熱・痰)など有余の邪気を取り除き、平肝熄風によって石決明の作用を強化する)
*中医学では熱性痙攣や風熱の頭痛や涙目、また痰核といわれるしこりに使われます。

 決明子・・・清肝明目・利水通便
*中薬学には「肝胆鬱熱・風熱外襲による頭痛目赤にも肝腎陰虚による明暗不明にも使用でき『眼科の常用の薬物』と称される。」とか

 酒黄精・・・補肝養陰・滋腎填精・健脾益気・養陰潤肺(酒で炮製すると血分に入りやすくなり、陰血を補益する。
*目は血をうけてよく見えるといい、血を補うことは基本的に重要です。

◇婦人の宝『婦宝当帰膠』発売から40周年。改めて婦宝当帰膠を考える。
●出展 四物湯・聖癒湯・当帰養血膏など
●特徴 補血不滞血、和血不傷血(血を補うが滞を作らず、巡らすが血を消耗しない)
成分は大和当帰を中国河北省の神農架(世界自然遺産の天然薬物園)で栽培している。
*婦宝当帰膠の成分の約6割が当帰です。当帰は補血活血の働きがあります。

●5月のシンポジウムのRIFに対する臨床実験に対する説明。
RIF(胚移植反復移植失敗)に投与して改善があるかを見る。
1、子宮内膜の 厚み・血流・温度に対する影響をみる。
 ・厚みは陰血の充実と関係
 ・血流は血の巡り、瘀血と関係
 ・温度は気血陰陽のバランスと関係
2、早期の妊娠ロスの低下
胚と子宮内膜の免疫応答の正常化
3、子宮への血液供給改善・内膜の血流が良くなる事により暑さ・内膜容積が改善。
●婦宝当帰膠の応用
1、冷え・・・温経散寒(手足の冷え・足腰の冷え・お腹の冷え・冷えのぼせ)
2、血虚や貧血・・・養血(めまい・立ちくらみ・ふらつき)
3、婦人科疾患・・・養血調経(月経不順・月経痛・月経前後緊張症候群・更年期)
4、不妊症・・・不妊・流産・産前産後ケア
5、神経痛・・・(頭痛・神経痛・腹痛・関節痛・打撲痛
*上記の中には婦宝当帰膠を主とすると良い症状と従に使う症状とあります。血を補う事は婦宝当帰膠は得意です。
しかし血は不足が酷くなると陰虚になります。血虚の状態で冷えがある人も陰虚になると手足のほてりを感じたりするようになります。

◇美と健康(肌)
血は滋養し潤す働きがあるので不足すれば肌がカサカサ・髪はパサパサ・爪も薄く曲がったりの症状がでます。だから補血は美容にも役立ちます。
・皮脂膜を強化したい時・・・紅沙棘
・保水力をアップしてみずみずしい肌・・・艶麗丹
・弾力性のアップ・・・亀鹿仙・紫煌珠
●艶麗丹
哈士蟆油・・・メインはこれです。哈士蟆の輸卵管です。
*美容に良い薬膳料理として食べられています。林蛙で検索する画像などを見る事ができます。

白木耳・・・滋補肺陰 白きくらげでこれも美肌の薬膳としてよく食べられています。
西洋人参・・・滋補心肺 気を補って元気にします。
真珠・・・清肝涼心安神 よく美肌に使われます。
●亀鹿仙・・・滋養強壮の力のある食品です。
亀板膠 滋陰潜陽 養血補心
鼈甲膠 滋陰鎮静 軟堅散結
鹿角膠 温陽養血活血
枸杞子 滋陰養血明目
西洋人参 滋陰斂陰固渋
山茱萸 滋補肝腎収斂
山楂子 消導 理気活血
大棗 養胃 健脾 養血
蜂蜜
黄色の部分は亀鹿二仙膠(西洋人参でなく人参)と同じ構成です。
亀鹿二仙膠は命門の陰陽を双補するというすぐれた処方です。
鹿角膠は全身の陽経の脈を総督している督脈を通じ真陽を補充する事で陰精を培補する。
亀板膠は全身の陰経の脈を総括している任脈を通じ滋陰填精する。
この2味によって陰陽を峻烈に補って気血精髄を生じさせる。
これを人参・枸杞子が補佐する処方になっている。
*命門の陰陽を双補するとは、命をろうそくの火に例えればろうそく自体も火力も補うという事になります。
気血は人の身体の営みになくてはならない基本的な働きだし、精は命のもつ根本的な力であり、狭義の意味ではホルモン系は精といえます。髄は骨髄・脊髄・延髄・髄海(脳)にまで考える事ができます。
だから、妊活・滋養強壮・美容と健康・老化防止・子供の発育の助けなど幅広く薬膳として食す事ができます。
亀鹿仙は更に鼈甲(しなすっぽんの背甲・腹甲)の膠・山茱萸によって補腎の働きがアップしているばかりでなく、軟堅散結・破瘀通経の働きが加わってしこりのある人も食すると良い食品になっています。
●紫煌珠
プラセンタ(胎盤エキス)の使われた栄養補助食品です。
*中薬学に出ている紫河車は人の胎盤の事です。現在は人の胎盤はつかわれていませんが、『へその緒』は人の胎盤の一部ともいえます。
補腎益精・助陽、益気養血の働きがあるため「へその緒は一生のうち大病をした時使う」と聞いた事があります。
余談ですが、以前読んだ単行本のチャングムには子供を授かりたいと願身体の弱い后の話が書かれていました。后の身体は弱すぎて出産は危険だとチャングムは反対しますが、后は命にかえてもと懇願しチャングムは国中の元気な男子を産んだ人の胎盤をあつめます。これを使って受胎し、男の子を出産しますが、后の身体はもうもたない状態になってしまいます。
しかし出産まで后の身体がもったの紫河車の滋養力だと思います。
その後テレビドラマのチャングムを見ましたが、違うストーリーでした。チャングムは実在していたのですが、皇帝が信頼していた女医がいたという史実しかわかっていないそうです。
内容から察するとどちらの作者も漢方に詳しかったように思われます。

2018-06-03

『耳鳴り』・・・中医学における実際(成都耳鼻科研修より)

成都中医薬大学付属病院で耳鼻科の研修をしました。
『耳鳴り』に対して問診・脈診
望診―舌診・(耳の中・鼻の中の望診)
もちろん、顔色・表情・体つき・姿勢をみるのも望診です。

 

 

 

 

 

 

 

聞診は声の力など聞いて得る情報です。
四診合算して処方を決定します。

耳鳴りでも必ず鼻の中も見ます。
耳・鼻・喉はつながっているので関係しているからだそうです。
耳鳴りにも鼻淵丸の主薬である蒼耳子や辛夷も使っていました。
蒼耳子はオナモミの成熟種子で散風通竅に働きます。
「諸子みな降るも、蒼耳ひとり昇る」といって上の方で働くそうです。
通鼻竅とは鼻の竅(あな)を通じさせるという意味で耳や鼻の詰まりに使えるという事だと思います。
蒼耳子は袪風湿薬の1つで辛夷も散風や通鼻に働きますが解表薬に分類されていて鼻中心のようです。
そういえば、蒼耳子に耳の字がはいっているのは何でだろう?もしかして始めは耳に使われていた?

基本は煎じ薬で、煎じ薬プラス中成薬(これは市販品のようにエキス剤などそのまま飲めるタイプの漢方薬の事です。)の組み合わせもありました。

処方は 散風…風邪を散じる
疎肝…耳の周りは少陽胆経の経絡がある所です。気の流れをスムーズにする。
袪湿、利水、勝湿、化湿など また、三焦経もまた耳の周囲を通ります。
活血通絡…通じざれば則ち痛む。通路を開通する。
補腎…腎は耳に開竅する。
養心安神…耳鳴りは不眠と関係が深い。

散風薬には羗活・白芷・川芎・荊芥・防風など頂調顆粒(川芎茶調散)のような中薬が多く使われていました。
疎肝に関して柴胡中心です。柴胡は少陽(胆・三焦)に停留した邪を表まで引っ張り出す透表という働きがあるからです。
活血に関しては内臓の問題がなければ川芎がよく使われていたのでここでも頂調顆粒が使えます。
通絡は活血以上に必要だと感じました。
地竜・キレンソウ・徐長卿などつかわれていましたが、活楽宝が通絡のものを多く使ってあるので代用できそうです。
あと利水・袪湿など湿をさばくのに益気利水の黄耆を大量に使うケースが多く見られました。
特に耳鳴りが鼻や咽も関係しているなら黄耆が6g入れてある衛益顆粒も必要だと思います。

1日目は宋先生の診察室でした。
宋先生は「突発性難聴は早期に鍼すると改善できる。また鼻と聴力に問題のない神経性の耳鳴りは鍼が効果的です。」と話していました。

身体にも刺す人は鍼灸室で行い、耳の周り・頭の上・首の後ろ・腕と手の甲に刺す人はその場で使い捨て針の封をきって3分くらいでさしてしまいます。
そこに座っていた中年の女性は
「山東省からきました。
治療していましたが聴こえなくなってしまいここにきました。
今日で針治療10日目です。
だいぶ聴こえるようになりました。」と話ていました。

耳の役割は外耳が音を集め、中耳が空気の振動を内耳液に伝え、内耳は内耳液の振動を電気的信号に変えて内耳神経から脳に伝えます。
この1連の振動の送りのどこかがうまく行かなくなると耳鳴りや難聴になります。
つまり大きく分けると以下のパターンが考えられます。
①耳に問題がある
②伝える神経に問題がある
③受けとる脳に問題がある。

中医の先生も「睡眠状態が回復すると耳鳴りも緩和する」と話しておられました。
ですから睡眠の良くない患者さんにたいしては散風薬に酸棗仁のような安神剤を加えていました。

また浸出液があったり、痰や洟がある時は利水・袪湿・袪痰など、あるいは益気利水の方法も加える必要があります。

浸出性中耳炎は治りにくい病気で、抗生物質を長期に服用するようですが、耳鳴りを伴う事もあります。これは外邪との関連しています。耳の痛みや耳の詰まり感、また鼻水鼻づまりなど鼻炎を伴う時など散風・袪風湿・清熱解毒などの方法が必要になります。
また、風邪が少陽経(三焦・胆)に入ると胆と肝は臓腑の関係なので肝の経絡である耳に影響が及び鬱熱があれば柴胡・黄芩も加えて少陽の鬱熱を清します。

実際、老中医(優れた医師の称号)熊大経教授の処方も柴胡・黄芩に頂調顆粒のような散風薬が使われ、更に外邪を防御するため玉屏風散(衛益顆粒)の方意も含む事も多く見られました。

熊先生は講義のなかで『邪の湊(あつま)るところ、その気必ず虚す』と黄帝内経の一文を引用され鼻は外邪の侵入経路ですので邪の集まる所と話しました。
鼻・咽・耳の耳鼻科領域は空気と接しているので細菌やウイルス・ほこり・花粉・ダニ・真菌など沢山の外邪に対し防ぐ事をしなくてはなりません。
その為 気血両虚・気陰両虚の人には必ず黄耆を多くくわえます。

 

 

 

 

 

 

老化による耳鳴りは腎と関係しています。
老化の耳鳴りとは感覚器の衰えですから虚証の耳鳴りです。
これは夜静かになったときに感じる耳鳴りです。
目は肝・耳は腎に開竅しているのでの肝腎虚です。
だから、肝腎を補うことが大切です。
そうすれば老化による難聴の速度をゆるめる事ができます。

しかし昼でも気になるとか、人と話していても気になるなどの耳鳴りは肝腎の衰えだけでなく神経系や脳からの耳鳴りも関係しています。
補腎薬に安神の漢方や活血通絡の漢方も加えます。

すぐ良くなるものではありませんが身体にも力がつくので気長に使って行って下さい。

2018-05-06

平成30年4月15日 中医学勉強会

『問診のすすめ~婦人病~』                                                     中医学講師 邱紅梅先生

著書:問診のすすめ・わかる中医学入門

*問診は弁証論治において重要・現代は弁病も視野に入れて行う。
色々伺うのは中医学の弁証という方法にとても大切だからです。
また西洋医学の病名や検査値なども考えにいれていきます。病気の持っている方向性があるからです。

*婦人の『女性力』は妊娠力も含めた、女性の身体の特性がもっているものの事をさしているそうです。

 経・帯・胎・産を軸とし、7年毎の年齢軸、心的状態の軸を総合して考える。

経は月経、帯は帯下(おりもの)、胎は妊娠、産は出産です。

*心理的フォローも重要!
女性の心はデリケートです。旅行や突発的な出来事や精神的ストレスで生理が早く来たり、とまったり、生理血の量が増えたり減ったり、期間が短かったりながかったり心の影響をうけやすいです。

月経
・月経周期 周期は28日±3日が理想
・基礎体温を見る
月経痛 瘀血が関係している。(不通則痛)通じざれば即ち痛む
瘀血の軽重度をみる。
・痛みの程度 わずかに痛む~鎮痛剤が必要(鎮痛剤の強さ、服用頻度)
・血塊の有無 大きさ
・時期 月経何日目から痛むか?
・期間 痛みは何日続くか?
・排卵痛・排便痛・性交痛の有無
重度の瘀血(痛みが強い)の場合筋腫や内膜症を疑う。
*先生の経験からいって 痛みが強い場合は筋腫や内膜症があるそうです。
逆に筋腫や内膜症は瘀血なので活血化瘀薬は必要。
*筋腫―大きさ・場所・種類(筋層や内膜下にあるのは重度の瘀血)・数(多いと複雑、多発筋腫)
*内膜症―卵巣の中、腹膜の中、深部内膜症、チョコレート嚢胞
*月経痛があれば瘀血を疑い必ず活血化瘀薬を服用する。鎮痛剤で痛みは抑制できても瘀血の状態は改善されない為、不妊症に発展する場合も少なくない。程度により活血薬は使いわける。
*内膜が柔らかく子宮のらせん動脈に充分スピーディーな治の流れが必要。
*胞宮瘀阻に対し弁証と弁病を組み合わせて行う
*養生食・養生茶・生活の養生なども組み合わせて
瘀血の原因・瘀血の重度に合わせて方剤を選択
1、寒凝血瘀(内寒) 寒凝とは寒さにより血の巡りがわるくなり固まりやすくなってできる瘀血の事
2、気滞血瘀    血は気の推動作用によって流れるので、気が停滞すれば血も停滞する為の瘀血
3、血虚血瘀    血が少なければチョロチョロ流れ勢いがない為とされる瘀血
*冷えに対して乾姜や安中散を加えている
*冷えが酷い時は附子剤を使用

2時間の講義でしたが、とても有意義でした。
中医学として女性の身体を考える時、自然な体の変化としてとらえると初潮、妊娠、出産、授乳、閉経と進むわけです。
この流れが可能でないなら、どこに問題があるかを考えなくてはなりません。
邱先生は『月経痛あれば必ず瘀血あり』『瘀血あれば解消をめざさなければ将来重度の瘀血に発展する』
だから月経痛は放置しないで必ず活血化瘀薬を使い、原因である寒を除いたり、気滞を除いたり、血虚を補って重度の瘀血症状にならないよう初潮から更にその前から養生していく事をすすめています。

瘀血は万病の元といいますが、婦人病は瘀血が原因するものが多いと思います。
子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫・チョコレート嚢腫など

更に年齢により瘀血の度合いや活血化瘀薬の強さの選択がちがって来る事などとても参考になりました。

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