私達の勉強会

2019-10-06

中医眼科

9月15日成都中医薬大学附属病院の眼科の老中医(名医)の廖品正教授が先生に師事2人の教授とともに来日したので、講演を聴いてきました

廖先生の講義

西洋医学的には独立して考える『目』も身体全体(五臓六腑)と経絡で繋がってるので、五臓六腑や気血津液など全面的に考えて弁証論治を行う事で的確な治療ができます

また、視機能検査・眼前部検査・内眼検査・眼圧検査など現代医学の検査は望診を更に深く行った事になるので、より弁証に役立ちます

五輪学説からも目と臓腑の関係をみる事ができます

局部の弁証と全身の弁証を合わせて考えます。

色々な症例からみると眼瞼炎が脾胃の湿熱や肺陰虚と関係していたり、眼底出血が脾の統血不足によるものだったり、別の出血では肝腎不足と脈絡の瘀血だったりと弁証は多岐に及んでいます

症状にあわせて手術など西洋医学の治療と合わせてベストな治療をめざしておられます

明目の効能がある中薬は枸杞の実・決明子・石決明・菊花・桑葉などで石決明は退翳の働きがある為白内障など角膜の病気に使われます
石決明散という方剤があり、石決明・決明子・赤芍・麦門冬・羗活・山梔子・大黄その他の中薬で構成されています。
石決明を用いたものに睛明丹ありますが「目のかすみにいい」といってみなさん数回分お持ちになります

症例の中には視神経の萎縮の症例もあり、肝腎虚損・気虚血瘀と弁証し、滋補肝腎・益気活血通竅と論治、駐景丸を用いある程度の回復をみた症例もありましたし、外傷により視力が0.15になった27歳の男性が養血活血の方剤で0.7まで回復したという症例もありました
本当に驚きですが、滋補肝腎や養血・活血という方法により持っている治癒力が引き出せたのではないでしょうか

また、目の手術後中医薬により回復が良いとの事で各手術後の中薬使用の着眼点についての話がありました

路先生の講義 ―ドライアイの中医薬治療―

涙は津液です。水液代謝と関りのある肺・脾・腎の臓腑機能に注意するのはもちろんの事、涙は肝の液ともいわれ肝の考えに入れる重要な臓腑で

肺陰虚・・・肺の潤い不足
脾胃湿熱・・・湿と熱がともにあれば乾きべたつくイメージです。
粘ったものが涙の流れる道を塞げばドライアイになります
肝腎を損ねて、肝や腎の機能が不足したり、陰血が不足すると潤わす力不足になります。

*乾くとはどういう事か?と考えれば

①潤す力の不足
②熱で乾く
③潤す為の水や栄養を運ぶ通路の流れが悪い

などが考えられます

よく使われる中薬は

枸杞子・・・滋補肝腎・益精明目
石決明・・・平肝濳陽・益陰明目
黄精・・・補気養陰・健脾潤肺
菊花・・・清肝明目・清熱平肝・疎散風熱

李先生の講義 ―緑内障の治療における中医薬の役割―
緑内障・・・視神経の萎縮、視野欠損
治療に関する着眼点

①眼圧(薬物治療(点眼薬を含めた)・レーザー手術・中医薬、中薬)
②良好な血液循環

*眼圧を下げるのは西洋医学的治療が速やかです
 しかし低眼圧緑内障もあります
 視神経を守るには 滋補肝腎・活血通絡・利水降圧の方法をとります
                 ⇓
           杞菊地黄丸+複方丹参飲(丹参・田七・氷片)
           中薬(石決明・決明子・二至丹・霊芝・地竜など)
イスクラの睛明丹は中医学的には(清肝明目・平肝熄風・袪風通絡・滋補肝腎)

2019-08-04

関節の病気

中医学で関節痛や筋肉痛などは『痺証』の範疇で考えます。
今月は『補腎活血法による骨痺・骨痿・骨蝕の中医学治療』について広州中医学大学第一付属病院骨傷センター長の何 偉先生の講演会で勉強してきました。

演題にある骨痹・骨痿・骨蝕は耳慣れない言葉ですが、中医学における痺とはつまって通じない事をさすそうで、骨痹は骨の働きがスムーズでなくなる状態、骨痿は骨に力がでない状態、骨蝕は骨が溶ける(壊死)する状態ととらえたら良いと感じます。

現代医学の変形性関節症・痛風・慢性リウマチ・硬直性脊髄炎は骨痹にあたり、骨粗鬆症は骨痿の一つで、骨壊死は骨蝕の一つにあたるそうです。

痛むという事は不通則痛(通じざれば則ち痛む)という言い方をします。
焼き芋など食べ物が胸の辺りに詰まって痛い思いをした経験はありませんか?
スムーズに通っていかないと痛みになることがあります。
血脈・経絡の気血流れもスムーズでないと痛みになります。

私達はいつも自然環境の影響を受けています。
湿気が多くて胃腸の調子が悪いとか、暑さあたりして頭痛がするとか、乾燥で咽がいがいがするとか・・・
この環境によるもので身体の調子を崩しているのが、風・寒・熱・湿・燥・暑の六淫です。

経絡は臓腑間や身体中をつないでいてその中を気血が通っています。
経絡中の気血が充足して流れていれば邪気の入り込むすきがありません。
しかし、疲労や老化や体質虚弱など色々な理由で気血の流れにすきができればそこに六淫の邪気が入り込み流れを阻害します。・・・すると痛みになります。

骨痹においての病因は(病気になる原因)は外邪による経絡の阻閉《外的要因》と過労・老化・虚弱体質《内的要因》です。

風邪をひいた時に節々が痛い・冷えて関節がこわばる・湿気が多くて関節や筋肉が重怠いなどの経験は外邪の影響で、老化や過労など弱っている等は身体の側(内側)の問題があり、尚更外邪の影響もうけるし治りも悪く慢性化しやすいという2つの観点があるという事だと思います。

痺証をおこす外邪は風・湿・寒あるいは風・湿・熱です。
寒か熱かは局部が赤く熱をもって腫れているかどうかで見分けます。
また風・湿・寒(熱)のどの邪気が多いか(強いか)などを見分けることで方剤の運用の仕方も違ってきます。

痛みになるのは通じないからで考えれば瘀血を考慮するのは必須です。
またある一定の年齢になって関節痛になることや関節は骨と関係する事を考えれば、骨を主る腎の弱りが根っこにあると考えられます。

膝痺(膝関節症)に関しても腎虚(腎の弱り)があって風湿寒熱の邪気が誘因となり瘀血閉塞する事を念頭におくと
1骨を丈夫にする(補腎強骨)
2血の流れや経絡の流れを改善する(活血止痛・通絡止痛)
3邪気を追い出す(袪風・散寒・化湿・清熱など)

養生も重要です。
1、運動・・・関節周囲の筋力を増し安定性を上げるのに重要
2、体重のコントロール・・・肥満と膝関節痛との顕著な相関関係がある
3、精神状態の安定・・・心と痛みと関係ある
*中医学では気滞血瘀という言い方もあるが気の巡りが悪いと血の流れも悪くなり瘀血となる
 
次に骨痿についてです。
症状は腰・背中がだるい、下肢に力が入らないなど力不足の症状で骨粗鬆症などもこれに含まれます。
病因と機序は腎精虧虚と瘀血阻絡です。
腎精虧虚は腎虚のうちですが腎精の不足となると更に力のあるもの益精血の品が必要になります。

この場合も腎虚、腎精不足は腎陽虚か腎陰虚かによって違ってきます。

骨痿の予防は元気に年を重ねる為にとても大事です。
中医学の養生にそって飲食に節度があり、栄養をしっかりとり、規則正しく寝起きし、身体をやたらに疲労させず、気候に合わせて生活する
この養生は黄帝内経のはじめにのっています。

骨蝕は大腿骨頭や上腕骨頭等の壊死症についてレントゲンの画像を見せてもらって説明をうけました。
病因は①腎陰不足による虚火が腎精を消耗したり、腎陽不足により腎生髄の機能が低下して骨が養われない②瘀血により脈絡がつまって骨が養われない③酒の飲みすぎにより生じた湿熱が脈絡につまって骨が養えない・・などです。

瘀血の原因が気滞か腎虚か痰瘀の両方かによって治療法も違ってきますが、活血化瘀と行気・補益肝腎・祛痰化湿を組み合わせます。

そういった温存療法で経過観察のレントゲン写真の中に最長22年後というのがあり驚きました。

*大腿骨頭壊死症は何らかの原因によって血流が低下する事によって起き、一定量のステロイド剤の長期内服やアルコールの長期大量摂取なども原因になるそうです。

2019-05-12

4月7日8日に行われたアジア太平洋地域中医薬サミットに参加しました

中医学の学会のようなもので生殖医学・皮膚科・鍼灸の分野で論文を出している先生方の講演を同時通訳で聞く事ができました

7日午前は選択制だったので、画像も参考になる皮膚科を選択しました
午前中3時間で10人の教授や医師の発表があり、それぞれは数十分でした

祛邪法による蕁麻疹の治療  黒竜江省中医薬付属第一病院皮膚科 教授
病邪を体外に出す通路 汗法・瀉下法・淡さん利湿について各論

女性の痤瘡における中医周期療法変化のアプローチ 広東省中医病院 教授
女性の月経周期と痤瘡(にきび)について研究
月経周期に合わせて方剤選択
女性の痤瘡は肝・腎との関係が密接
治療原則:滋補腎陰・疏肝清熱・調理衝任・周期治療

日本の漢方薬局における皮膚病中成薬応用の心得 日本中医薬研究会・イスクラ産業講師
薬局における皮膚病相談の特徴・弁証・方剤の組み合わせ・症例

合局針法と湿疹の治療  オーストラリア中医薬針灸学会連合会

乳幼児アトピー性皮膚炎における小児推掌の応用 広東省中医病院 主任医師
乳幼児湿疹における病因病機
小児推掌・手技の分類(清熱・補益・袪風) 推掌処方(手技の組み合わせ)

難治性創傷潰瘍への中医学的アプローチ  上中医薬大学付属岳陽病院 主任医師
糖尿病における慢性皮膚潰瘍 特徴・外用剤の応用

強皮症における中医学外用治療法  陜西省中医病院 主任医師
発症と治療の現状・中医学的認識・外治法

帯状疱疹疼痛に対する劉老中医の治療経験 雲南省中医病院 教授
帯状疱疹の臨床所見・中医学治療・求因(水泡:湿と熱・痛み:寒熱虚実・部位は上中下)
弁証論治 湿、熱、気血、虚、寒、瘀
初期:湿熱・火毒⇒ 気血の凝滞
後期:正気の虚弱

午後の部は日本中医薬研究会の全国大会とタイアップしました

特別講演
『新時代における中医薬の役割―「補腎活血」の応用を中心に 』
国医大師 天津市中医薬研究院 教授 張大寧
中医薬の使命
腎虚血瘀論と補腎活血法
補腎活血法の応用 治療・予防・養生

『胚移植反復着床障害に対する中医学の治方策』   山東中医薬大学 教授 連方
反復胚移植失敗の原因
配偶子と受精卵の質・子宮と卵管素因・免疫素因・神経素因
女性側、男性側に分けて考察

『アトピー性皮膚炎の中医学診療および研究』   広東省中医病院 教授 陳達燦
アトピー性皮膚炎の概説・関連問題・中医学的認識・実践と考察・中医学治療

瘀血と活血化瘀の意義と臨床応用     東京有明医療大学 教授 川島 朗

婦人科における活血化瘀の応用について    南京中医薬大学 教授 談勇

解明が進む活血化瘀薬―丹参製剤を中心に
富山大学大学院工学研究部 特別研究員 横沢 隆子

8日
尋常性乾癬における”血分論治”―中医学理論へのアプローチ
上海中医薬大学付属岳陽病院 教授 李斌

背部経穴刺絡抜缶法を用いての白斑病の治療経験 黒竜江中医薬大学 教授 王遠紅

鍼薬併用による子宮内膜症の治療 上海中医薬大学付属岳陽病院 副主任 張春雁

清熱解毒法による子宮内膜癌への治療のエビデンス研究
北京中医薬大学付属東直門病院 准教授 包暁霞

肝腎理論に基づく不妊症の弁証と治療     黒竜江中医薬大学 教授 韓延華
中医学は漢方薬・鍼灸・按摩のような施術なども研究されている事がわかり勉強になりました。

« 次の記事へ 前の記事へ »