食の話
食べるという事は命を保つ為に絶対必要な事です
私達の身体を構成している原子や分子は食べ物から得た原子や分子に1年で全て入れ替わるそうです
今の私の身体に1年前の原子や分子は1つも残っていない、つまり今ここにある身体はこれまでのこの1年間の食物からできているのです
そう考えるといかに食とは重要なものかという事が解ります
糖質・脂質・タンパク質は3代栄養素で
その他ビタミンやミネラルも必要です
中医学では薬食同源といい病気にならない為にも病気を良くする為にも食は重要と考えています
よく五味・五色を食べるといいますが五味五色は五臓と関係があるからです
彩りよく・色々な味を食べる事が五臓六腑を補う事になります
五味と五臓
中医学の五味は酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味の5つです(一般的な五味は辛味がなくて旨味があり辛味は味ではなく刺激になるそうです)
酸味は肝を養うが摂り過ぎると肝を傷つける
苦味は心を養うが摂りすぎると心が傷つく
甘味は脾を養うが摂りすぎると脾が傷つく
辛味は肺を養うが摂りすぎると肺が傷つく
鹹味は腎を養うがとりすぎると腎が傷つく
五臓は西洋医学のそれとは違いがあります
なにしろ紀元前から五臓六腑の考え方はありました
だから働きにつけられた名前といえます
肝は血を蔵す・疏泄を主るといい肝の異常や弱りは目や爪に現れます
心は血脈を主る・神を蔵すといい心の異常や弱りは舌に現れます
脾は運化を主る・統血を主るといい脾の異常や弱りは食欲や出血傾向などに現れます
肺は一身の気を主るといい肺の異常や弱りは息切れや皮膚や鼻に現れます
腎は生長・発育・生殖を主る 骨を主るといい腎の異常や弱りは成長や老化の状態に現れます
また臓腑の関係もあります
肝の腑は胆・心の腑は小腸・脾の腑は胃・肺の腑は大腸・腎の腑は膀胱なので五味は腑とも関係しています
また五色では 肝は青・心は赤・脾は黄色・肺は白・腎は黒です
例えば甘くて黄色いサツマイモは脾に良い食材ですし 白く辛味のある大根は肺に良い食材です
食事は温かい物をゆっくりよく噛んで・五味五色をそろえて摂るようにすると五臓六腑を養う事が出来ると思います
風邪は万病の元といいますが、風邪(かぜ)は風邪(ふうじゃ)とも読めます
病気の原因である六淫(風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火(熱)邪)の1つです
風邪(ふうじゃ)は①変化が急速②遊走性③上の方を犯す④揺らす⑤他の邪気を先導などの性質があります
風邪をひいて寒気を感じているうちに鼻水が酷くなり、熱が出てきて、咳も出だすという経験があると思います
長引くと食欲がなくなったり・咳がいつまでも続いたり・口が苦い等中医学でいうと風邪が裏(奥)に入った症状がでてきます
また咳が長引くと思っていたら肺炎を起こしたり、便秘になりお腹が張って苦しくなったりと色々な方面に症状がでてくる時もあります
また時に心筋炎や糖尿病を起こす事もあります
初期症状から
寒気から始まる風寒型
熱っぽさを感じる炎症性の風熱型
胃腸症状を伴い長引きやすい風湿型
があり、うまく治せなければ伝変していきます
だから風邪は初期の対処が大切なのです
風寒から始まる風邪は病の進みを6つの段階に分けています
傷寒論からの理論です
風熱から始まる風邪は病の深さを4つに分けています
これは温病学からの理論でインフルエンザなどのように発病が急激で炎症性のものに対応するものとなっています
中医学で新型コロナは温病学で考えられ風熱湿毒を視野にいれて弁証します
実は私達の周りにウイルスや病原菌が沢山います
NHKの高校講座の免疫について講義されている先生が「免疫機能がなければ、私達の身体はすぐに腐ってしまう」といっていました
私達に備わった免疫は絶えず働いて守ってくれています
なんと素晴らしい事かと思います
西洋医学は菌やウイルスに対抗する薬で対処しますが中医学は少し違います
中医学理論は自分の持っている免疫機能を最大限に引き出す事でウイルスや菌に勝つものだと思います
足がつった・・・という経験のある人は多いと思います
私も数年前まではよく山歩きをしていましたが下山途中や降りてからよく足がつっていました
山歩きの時は必ず麦味参顆粒と芍薬甘草湯を持っていました
つった時は芍薬甘草湯を飲むとすぐに楽になってきます
湯の丸山上った時は日陰がなくて暑くて大変でしたが、降りてきた時にやっぱり足がつりました
芍薬甘草湯をのんでもすぐに治らず麦味参顆粒とイオン飲料ものんでやっと楽になった事があります
多分足の疲労だけでなく脱水ぎみになっていたのだと思います
足がつるのは筋肉の収縮の調節に関わっているマグネシウムやカルシウムなどの電解質の不足により神経の伝達がうまくいかなくなるからだそうです
病院で芍薬甘草湯を出してもらっている方も多いようですが、芍薬甘草湯は中医学的にはどんな漢方なのでしょうか?
芍薬と甘草の2味で構成されていて方剤学を見ると肝陰不足と肝気乗脾の為におきる腹中のけいれん痛や四肢の筋肉のひきつりに対して使い、効能は柔肝解痙・緩急止痛とかいてあります
これは肝の機能を柔軟にして痙攣を解き・緊急な状態を緩めて痛みをとめるという意味です
けいれんやひきつり原因については
①肝の陰血不足により肝気を抑制できない・・・筋脈が濡養できない
②肝気が脾虚に乗じて横逆・・・脾気阻滞・・・陰血不足・・・筋脈が濡養できない
つまり『肝は血を蔵す』『肝は疏泄を主る』『肝は筋を主る』など五臓の肝は重要なポイントになります
また、『肝は脾を克す』で脾の事も考えなければなりません
さらに『脾は肌肉を主る』ですから筋肉は肝と脾が一緒に司っているともいえます
急な状態に対して芍薬甘草湯ですが、その原因となる肝血・肝陰を補う事や肝気のコントロールや脾気を高める事が根本療法になります
血虚タイプの人は日頃 婦宝当帰膠やエッキ・フラーリンQなど補血薬を使っておくと良いです
「血の巡り」も大事な要素です
血の不足がなくても血が巡って来なければ筋肉は濡養されません
寝ている時につる人はレッグウォーマーをはいて寝てみて下さい
足が冷える人が活血化瘀薬や散寒剤など服用してください
疲労と津液不足の時もあります
ちょうど私が山を下山した時麦味参顆粒とイオン飲料で治った時みたいに・・
日頃の運動で体力をつける事と脾・肺に力をつけておく事も大事です
水液代謝と関係しているのは脾・肺・腎の3つです
身体の保水力が不足すると筋肉を潤わす力も不足します
芍薬甘草湯はつってしまった時によく効く漢方薬ですが、急な状態の時に使うもので長期に服用するものではないので、日頃補血薬や滋陰薬を服用したり・水液代謝を整えたり・運動・温めるなどの養生が大事です