病気と漢方

2022-08-06

昔から夏は暑いものです
ただ近年の暑さは異常で『危険な暑さ』といわれるくらいの時もあります
しかし昔と違ってエアコンが普及しているので何とか過ごせますがその分身体が暑さに順応できなくなっている面もあります

黄帝内経に夏の過ごし方は
―――夏の3ヵ月は万物が繁栄する季節だから暑さを厭わず愉快な気持ちを持って怒らず陽気を外に発散させる―――
という意味合いの事が書かれています

自然をみても植物や虫や生き物たちが活発で生命力が旺盛な事を感じます
私達の身体も陽気をうけて活発な状態なので陽気がこもらないよう汗をかいて発散する事も大切です

夏と心

夏は本来心も身体も活発になり海へ山へとこころが躍る季節です
夏は五行の火の季で五臓の心と関係しています
火とは熱い・動きのある事・興奮とかを表しています
心は火の臓で『血脈を主る』といい心臓の拍出力は心の陽気によるものです
だから夏は血の巡りが良くなりますが、心臓の弱い人は少し動いても動悸を感じたりします
また『心は神を蔵す』といい、神は思惟活動をさし「こころ」も心です
つまり脳の働きの一部も心に属します
心火が亢進すると興奮の為イライラ・落ち着かない・不安・不眠などの状態になります
その為 心陰心血が不足して眠りの質も悪くなり何度も目が覚める・夢見が多いなどの症状がでます
漢方薬は症状に応じて温胆湯・黄連湯・天王補心丹・酸棗仁湯・心脾顆粒などを使います
また養生食品のミンハオも陽気を潜めて落ち着かせるのに役立ちます

夏と汗

身体は汗をかいて身体が熱を持たないように体温調節しています
発熱した時汗をかいて解熱した経験があると思います
発汗を促す生姜は夏にも良い食べ物です
生の生姜は走きて守らずといい、発汗して体温をさげます
お腹の冷える人は干した生姜を使って下さい
干した生姜はよく走きよく守るといって発汗してもお腹は温めてくれます
但し『汗は心の液』ですからかき過ぎは要注意です
かき過ぎた時は麦味参顆粒を服用しておきましょう

夏の寒暖差

この所の夏は異常な暑さで冷房が必需品になっています
建物の中に入ったりでたり、暑い車のクーラーがきいてきたと思ったらまた降りてとか、家の中でもお部屋は涼しいけどトイレは暑くてとか殆どの人が寒暖差のある所を行ったり来たりしています
この温度差に合わせていかなくてはならないので身体は大変です

気血が不足しているタイプや気の巡りが悪いタイプの人よりつらい症状になります
相談して自分の症状にあった漢方薬や養生茶、養生食品をとってみて下さい

夏の胃腸

暑さで冷たくて水っぽいものしか口にしたくない・食欲がない・軟便になったり下痢っぽくなったり・・・暑気あたりではありませんか?お腹がポチャポチャいいませんか?
フラーリンA(胃苓湯)を飲んで見て下さい
胃腸の調子が悪いのを放っておくと夏バテしてしまいます
暑いからといって冷たい飲み物や食べ物ばかりとるのはお勧めできません
暑い中にいた時は身体を冷やす為に冷たいものも少しは良いかもしれませんが、ガブガブ飲んでも吸収されません
冷たい物が飲みたい時はゆっくり飲んで下さい
冷た過ぎないイオン飲料などを飲んだ後氷のブロックを口の中でゆっくり溶かすのもお勧めです
火照る時は外側から身体を冷やしてください
脇の下や首筋を冷やしたり手足を冷たい水に浸けたりすると良いです

これは私の経験ですが、猛暑の日に出かけて火照って水分を摂っても渇きがとれない状態になったのですが、プールに入ったらすぐに火照りと渇きが全くなくなった事があります
身体全体を冷やした事で口喝がとれたのだと思います

脾の運化作用は栄養や水分の消化・吸収・輸送です
夏は通常より沢山の水分を摂る事で運化機能も目いっぱい働いています
日頃から脾気虚の人はより大変!
なるべく温かく(熱くなく)消化の良い胃腸にやさしい物を食べるようにしてください
夏バテしない為に・・・

2022-06-25

近くの物が見えにくい老眼は不便なものです
しかし年と伴に目のピント調節機能が衰えて近くのものに焦点があわせられなくなってきます
老化の速さは人によって違いますが、老化しない人はいません
目も同じです
しかし最近は若い人の中にもスマホの見過ぎでピント調節機能が悪くなる人がいるそうで、スマホ老眼と言われています

『見える』という事は五臓の精気が目に注いで『見える』わけです
つまり全身の力を結集して『見える』のです
目の五輪学説では目と臟の関係を以下のように表されます

肝腎を補う

瞳孔は腎です
腎は『精を蔵し。生長発育生殖を主る』といい、生れてから成長していく力を持っている種のようなものです
肝は『血を蔵す』『疏泄を主る』といい、身体の基礎である血の蔵であると伴にと気機の調節も行っています
腎は先天といい、持って生まれた力と関係すると伴に老化の速さなどとも関係しています
また『肝は目に開竅する』といい肝の状態が目に表れます
更に『目は血をうけて良く見える』は肝血が充実して視力が維持されます
老化により肝腎は不足してきます
補肝を補う事は視力の衰えに対して重要です

心の状態も目に影響

『心は血脈を主る』といい心も血との関係が深く心血不足は目に影響します
また『心は神を蔵す』といい思惟活動と関連しています
西洋医学でいえば脳の一部の働きを中医学では心の働きを考えています
「眠くてよく見えない」「ショックで見えない」などばかりでなく見たい物を集中して見る事にも脳が関わっています
また考え事をしていて見ていなかったという経験をした人も少なくないと思います
ですから養心安神など心の安定も大切です
五輪学説では目頭は心を表しているので充血していれば心火があるので清心瀉火が必要です

脾が弱いと目に影響する

脾は『気血生化の源』つまり気血をつくる所ですから当然脾が弱いとみる眼精が充実しません
また『脾は昇清を主る』ともいい気血を目まで上げる力でもあるわけです
更に『脾は運化を主る』といい水分や栄養の輸送に関わっている為運化作用が失調すると不用物(痰湿)がたまる原因になります
ですから脾は『生痰の源』ともいいます
これは瘀血と同じように血脈を塞ぐ原因になります
瘀血も痰湿により気血の流れが阻害されると衰えの原因になります
また肺は「一身の気を主る」ので肺気が弱いと息切ればかりでなく目がかすむ症状がでる事もあります

老眼は目の老化

老眼は水晶体のピント調節機能の衰えで、目の老化です
特に瞳は肝腎が関係していますからまず杞菊地黄丸のような滋腎養肝・明目の働きの漢方をお勧めします
この中の枸杞子と菊花は中医眼科ではよくつかわれています
枸杞子(クコの実)は滋腎益精・養血明目に働き、肝腎陰虚の頭のふらつき・めまい・視力減退・風に当たると涙がでる・腰や膝がだるく無力・遺精などの症候に、熟地黄・山薬・山茱萸・菊花などと用いる(中薬学より)
杞菊地黄丸 枸杞子・菊花・熟地黄・山薬・山茱萸・牡丹皮・沢瀉・茯苓
さらに視力の衰えを感じる方は睛明丹も併せて飲むのをお勧めします

2022-05-15

胃の調子が悪い

胃の働きは食物を蠕動運動によって送りながら胃液(塩酸や消化酵素など)で消化していきます
この働きに神経の調節やホルモンが関わっています
中医学で胃は五臓の脾と関連した腑で脾胃と表現する事も多いです
「胃は水穀の受納・腐熟を主る」・・・飲食物を収納し消化するといった意味です
「胃は水穀の海」・・・飲食物が胃に入ってから十二指腸に送られるまで3時間くらいかかるそうですから受納という言葉もうなずけます
「胃は降濁を主る」・・・下に送っているのも胃の働きによると考えます

胃の調子が悪いといっても胃酸過多・胃炎などの人もいれば胃酸の分泌が悪い人や胃の蠕動が弱い人もいます
また胃炎や潰瘍になる場合も胃腋はタンパク質を消化するので
①粘液層が弱くて浸食される
②胃液の分泌過多で粘液層が浸食される
つまり防御力と攻撃力の強さの関係ですが、西洋医学ではどちらも胃壁の浸食を防ぐ為に胃酸の分泌を抑制する薬を使う事が多いと思いますが、漢方薬は違うものを使います
因みに①は胃陰不足にあたると思います

胃酸過多の状態は分泌過多ですから胃熱と考えられます
胸やけ症状も灼けるという言葉から熱を連想しますので胃熱だと考えます
胃の腐熟に必要なのは胃という鍋で煮込むとイメージすると胃火は必要ですが、過ぎると焦げてしまいます
それには火力を下げなければいけません
胃火が強い時は食べたり、水をのんだりすると痛みが楽になる事が多いです
また胃火はストレスや怒りなど肝火と関係する事もよくあります

胃の働きが悪い場合は働く力不足という事になります
食欲不振や胃もたれをおこしやすかったり・気持ち悪かったりします
胃アトニータイプの人や疲労や体調不良でそういう状態になっている事もあります
エネルギーや動きのある状態は陰陽では陽にあたりますから陽気が少ない(冷え)という事になります

胃と脾は臓腑の関係ですから胃の不調は脾とも関係します
脾は昇清を主るといい上向きのエネルギー・胃は降で下向き
また脾は湿を嫌うといい胃は潤を好むといい性格が違います
しかし飲食物の消化吸収機能は飲食物から必要な物質を得て不要な物質は排泄する上向きと下向きの働きが必要です
また水蒸気のような軽い物は上に行き水は下に流れる事から考えても脾胃の好みが燥と潤というように違うのもうなずけます

胃の不調は必ず寒熱(熱か冷えか)をみる事、体質によるか環境によるか(慢性か急性か)を見る事など重要な視点です
また肝火が胃火に影響するように肝と脾は相克関係ですし、心と脾は相生関係なども考慮します
ストレスで胃に穴が開いた・・・とか聞いたことがあると思います
これは肝と胃の相克関係が過剰になった為です

そういう多方面から考えて使う漢方薬なら胃の不調の根本にアプローチできると考えています

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