私達の勉強会

2018-06-03

『耳鳴り』・・・中医学における実際(成都耳鼻科研修より)

成都中医薬大学付属病院で耳鼻科の研修をしました。
『耳鳴り』に対して問診・脈診
望診―舌診・(耳の中・鼻の中の望診)
もちろん、顔色・表情・体つき・姿勢をみるのも望診です。

 

 

 

 

 

 

 

聞診は声の力など聞いて得る情報です。
四診合算して処方を決定します。

耳鳴りでも必ず鼻の中も見ます。
耳・鼻・喉はつながっているので関係しているからだそうです。
耳鳴りにも鼻淵丸の主薬である蒼耳子や辛夷も使っていました。
蒼耳子はオナモミの成熟種子で散風通竅に働きます。
「諸子みな降るも、蒼耳ひとり昇る」といって上の方で働くそうです。
通鼻竅とは鼻の竅(あな)を通じさせるという意味で耳や鼻の詰まりに使えるという事だと思います。
蒼耳子は袪風湿薬の1つで辛夷も散風や通鼻に働きますが解表薬に分類されていて鼻中心のようです。
そういえば、蒼耳子に耳の字がはいっているのは何でだろう?もしかして始めは耳に使われていた?

基本は煎じ薬で、煎じ薬プラス中成薬(これは市販品のようにエキス剤などそのまま飲めるタイプの漢方薬の事です。)の組み合わせもありました。

処方は 散風…風邪を散じる
疎肝…耳の周りは少陽胆経の経絡がある所です。気の流れをスムーズにする。
袪湿、利水、勝湿、化湿など また、三焦経もまた耳の周囲を通ります。
活血通絡…通じざれば則ち痛む。通路を開通する。
補腎…腎は耳に開竅する。
養心安神…耳鳴りは不眠と関係が深い。

散風薬には羗活・白芷・川芎・荊芥・防風など頂調顆粒(川芎茶調散)のような中薬が多く使われていました。
疎肝に関して柴胡中心です。柴胡は少陽(胆・三焦)に停留した邪を表まで引っ張り出す透表という働きがあるからです。
活血に関しては内臓の問題がなければ川芎がよく使われていたのでここでも頂調顆粒が使えます。
通絡は活血以上に必要だと感じました。
地竜・キレンソウ・徐長卿などつかわれていましたが、活楽宝が通絡のものを多く使ってあるので代用できそうです。
あと利水・袪湿など湿をさばくのに益気利水の黄耆を大量に使うケースが多く見られました。
特に耳鳴りが鼻や咽も関係しているなら黄耆が6g入れてある衛益顆粒も必要だと思います。

1日目は宋先生の診察室でした。
宋先生は「突発性難聴は早期に鍼すると改善できる。また鼻と聴力に問題のない神経性の耳鳴りは鍼が効果的です。」と話していました。

身体にも刺す人は鍼灸室で行い、耳の周り・頭の上・首の後ろ・腕と手の甲に刺す人はその場で使い捨て針の封をきって3分くらいでさしてしまいます。
そこに座っていた中年の女性は
「山東省からきました。
治療していましたが聴こえなくなってしまいここにきました。
今日で針治療10日目です。
だいぶ聴こえるようになりました。」と話ていました。

耳の役割は外耳が音を集め、中耳が空気の振動を内耳液に伝え、内耳は内耳液の振動を電気的信号に変えて内耳神経から脳に伝えます。
この1連の振動の送りのどこかがうまく行かなくなると耳鳴りや難聴になります。
つまり大きく分けると以下のパターンが考えられます。
①耳に問題がある
②伝える神経に問題がある
③受けとる脳に問題がある。

中医の先生も「睡眠状態が回復すると耳鳴りも緩和する」と話しておられました。
ですから睡眠の良くない患者さんにたいしては散風薬に酸棗仁のような安神剤を加えていました。

また浸出液があったり、痰や洟がある時は利水・袪湿・袪痰など、あるいは益気利水の方法も加える必要があります。

浸出性中耳炎は治りにくい病気で、抗生物質を長期に服用するようですが、耳鳴りを伴う事もあります。これは外邪との関連しています。耳の痛みや耳の詰まり感、また鼻水鼻づまりなど鼻炎を伴う時など散風・袪風湿・清熱解毒などの方法が必要になります。
また、風邪が少陽経(三焦・胆)に入ると胆と肝は臓腑の関係なので肝の経絡である耳に影響が及び鬱熱があれば柴胡・黄芩も加えて少陽の鬱熱を清します。

実際、老中医(優れた医師の称号)熊大経教授の処方も柴胡・黄芩に頂調顆粒のような散風薬が使われ、更に外邪を防御するため玉屏風散(衛益顆粒)の方意も含む事も多く見られました。

熊先生は講義のなかで『邪の湊(あつま)るところ、その気必ず虚す』と黄帝内経の一文を引用され鼻は外邪の侵入経路ですので邪の集まる所と話しました。
鼻・咽・耳の耳鼻科領域は空気と接しているので細菌やウイルス・ほこり・花粉・ダニ・真菌など沢山の外邪に対し防ぐ事をしなくてはなりません。
その為 気血両虚・気陰両虚の人には必ず黄耆を多くくわえます。

 

 

 

 

 

 

老化による耳鳴りは腎と関係しています。
老化の耳鳴りとは感覚器の衰えですから虚証の耳鳴りです。
これは夜静かになったときに感じる耳鳴りです。
目は肝・耳は腎に開竅しているのでの肝腎虚です。
だから、肝腎を補うことが大切です。
そうすれば老化による難聴の速度をゆるめる事ができます。

しかし昼でも気になるとか、人と話していても気になるなどの耳鳴りは肝腎の衰えだけでなく神経系や脳からの耳鳴りも関係しています。
補腎薬に安神の漢方や活血通絡の漢方も加えます。

すぐ良くなるものではありませんが身体にも力がつくので気長に使って行って下さい。

2018-05-06

平成30年4月15日 中医学勉強会

『問診のすすめ~婦人病~』                                                     中医学講師 邱紅梅先生

著書:問診のすすめ・わかる中医学入門

*問診は弁証論治において重要・現代は弁病も視野に入れて行う。
色々伺うのは中医学の弁証という方法にとても大切だからです。
また西洋医学の病名や検査値なども考えにいれていきます。病気の持っている方向性があるからです。

*婦人の『女性力』は妊娠力も含めた、女性の身体の特性がもっているものの事をさしているそうです。

 経・帯・胎・産を軸とし、7年毎の年齢軸、心的状態の軸を総合して考える。

経は月経、帯は帯下(おりもの)、胎は妊娠、産は出産です。

*心理的フォローも重要!
女性の心はデリケートです。旅行や突発的な出来事や精神的ストレスで生理が早く来たり、とまったり、生理血の量が増えたり減ったり、期間が短かったりながかったり心の影響をうけやすいです。

月経
・月経周期 周期は28日±3日が理想
・基礎体温を見る
月経痛 瘀血が関係している。(不通則痛)通じざれば即ち痛む
瘀血の軽重度をみる。
・痛みの程度 わずかに痛む~鎮痛剤が必要(鎮痛剤の強さ、服用頻度)
・血塊の有無 大きさ
・時期 月経何日目から痛むか?
・期間 痛みは何日続くか?
・排卵痛・排便痛・性交痛の有無
重度の瘀血(痛みが強い)の場合筋腫や内膜症を疑う。
*先生の経験からいって 痛みが強い場合は筋腫や内膜症があるそうです。
逆に筋腫や内膜症は瘀血なので活血化瘀薬は必要。
*筋腫―大きさ・場所・種類(筋層や内膜下にあるのは重度の瘀血)・数(多いと複雑、多発筋腫)
*内膜症―卵巣の中、腹膜の中、深部内膜症、チョコレート嚢胞
*月経痛があれば瘀血を疑い必ず活血化瘀薬を服用する。鎮痛剤で痛みは抑制できても瘀血の状態は改善されない為、不妊症に発展する場合も少なくない。程度により活血薬は使いわける。
*内膜が柔らかく子宮のらせん動脈に充分スピーディーな治の流れが必要。
*胞宮瘀阻に対し弁証と弁病を組み合わせて行う
*養生食・養生茶・生活の養生なども組み合わせて
瘀血の原因・瘀血の重度に合わせて方剤を選択
1、寒凝血瘀(内寒) 寒凝とは寒さにより血の巡りがわるくなり固まりやすくなってできる瘀血の事
2、気滞血瘀    血は気の推動作用によって流れるので、気が停滞すれば血も停滞する為の瘀血
3、血虚血瘀    血が少なければチョロチョロ流れ勢いがない為とされる瘀血
*冷えに対して乾姜や安中散を加えている
*冷えが酷い時は附子剤を使用

2時間の講義でしたが、とても有意義でした。
中医学として女性の身体を考える時、自然な体の変化としてとらえると初潮、妊娠、出産、授乳、閉経と進むわけです。
この流れが可能でないなら、どこに問題があるかを考えなくてはなりません。
邱先生は『月経痛あれば必ず瘀血あり』『瘀血あれば解消をめざさなければ将来重度の瘀血に発展する』
だから月経痛は放置しないで必ず活血化瘀薬を使い、原因である寒を除いたり、気滞を除いたり、血虚を補って重度の瘀血症状にならないよう初潮から更にその前から養生していく事をすすめています。

瘀血は万病の元といいますが、婦人病は瘀血が原因するものが多いと思います。
子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫・チョコレート嚢腫など

更に年齢により瘀血の度合いや活血化瘀薬の強さの選択がちがって来る事などとても参考になりました。

2018-04-01

平成30年3月18日 中医学勉強会

『活血補腎で抗老防衰』~漢方で認知症を予防しましょう!~ 中医学講師 劉文昭

劉先生は循環器がご専門で、以前は心電図の見方なども入れて循環器の病気の講義をしていただいています。今回は脳血管と関係する認知症についてお話し頂きました。

認知症は日本の社会問題
今後認知症患者が増える傾向にある
内閣府のHPより
認知症患者数の推計
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html
2012年には7人に1人から2025年には5人に1人という可能性が示されている。
*認知症の分類
①血管障害性
②変性性認知症・・アルツハイマー型認知症
③脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症
*症状
中核症・・・記憶障害・認知機能障害
周辺症状・・・幻覚・妄想・抑うつ・不安な等 問題行動
*画像診断について(脳溝が広くなる・脳回が狭くなる・脳室拡大)
*脳血管系認知症(動脈硬化・血栓など)・・・瘀血

中医学による弁証論治
高齢に伴う腎精虚衰 (腎陰虚または腎陽虚)
(腎精は生長・発育・生殖などの生命活動に不可欠なもので、髄を生じ髄海(脳)に通じる為の根幹をなすもの)
気血両虚(気血が足りず養われない)
痰濁内阻・瘀血阻滞(気血の流れが悪く養われない)

●痰濁内阻害に対応するもの
温胆湯・・・清熱化痰の品ですが、この中の薬味である黄連・半夏は中医において(製半夏は眼圧と脳内圧に黄連は脳内溏代謝に関係するとされ)多用されているそうです。
●瘀血阻滞に対応するもの
冠元顆粒(近年薬理研究もされています。)もともと冠心病(狭心症)の漢方薬としてつくられた冠心Ⅱ号方をもとに日本で考案された処方ですから循環系の瘀血に対応できると考えられます。
●気血両虚に対応するもの
心脾顆粒・・・気血両虚で臓腑としては心脾両虚の時です。心は思考する脳の働きも心と考えられています。眠れない・くよくよ考える・物忘れなど心の弱りの現象です。
当帰芍薬散・・・補血・健脾利水の薬味で構成されています。
●腎精虚衰
腎精不足ですから精血を充分補う必要があるので力のあるものを使います。
鹿茸は益精血の働きが充分あるものの1つです。とても力のある中薬です。これが入ったものに参茸補血丸・参馬補腎丸などがあります。
特に参茸補血丸は15年くらい前にマウスの記憶障害の改善実験がおこなわれています。
当時活血化瘀の冠元顆粒と参茸補血丸の使用で良い結果が得られていたのを記憶しています。
そのほか陰精を補うものとしては亀鹿仙が亀鹿二仙膠という方剤をもとに作った漢方食品で、すっぽんも加わって更に良いものになっています。

その他の漢方食品
・艶麗丹…老化防止にもなるし、艶があって麗しくいられるという名前がついた艶麗丹(えんれいたん)はなんと蛙の卵管が使われています。1年の半分は氷に閉ざされた場所の林の中にいる蛙で長い冬眠から目覚め繁殖能力が高まった状態の時をつかめて食べるそうです。その卵管は美肌効果もあるそうです。
・くるみ…胡桃は脳とそっくりな形をしていますが、脳に良い食べ物です。
・香ロぜア…紅景天と同じ植物でシベリアでとれたものです。紅景天はチベットで使われている中薬で健脳益智・扶正固本・理気養血などの働きがあるとされています。
ロシアではうつ状態の改善に使われているそうです。

お気に入り
香ロゼアは私の好きなハーブティーです。
毎朝、コーヒーや紅茶に入れて飲んでいます。そのまま飲んでもローズの香りでおいしく頂けます。
健脳の働きとは脳の調整と思っています。
眠気覚ましにはなりません。逆に飲んだあと眠くなる時もありますが、脳が休んだほうが良いとおもってるんだなって考えています。でも仮眠した後はすっきりです。
例えばカフェインの入ったお茶は中薬学によれば堤神醒睡とかかれています。つまり心の神(思惟活動)を上向きにして覚醒する、つまり眠気覚ましになるという事です。
扶正固本(免疫力を上げて身体の本質をしっかりさせる)できて、脳にも良くて美味しい!最高です。

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