病気と漢方

2022-04-04

低気圧による不調

低気圧が近づくとこんな症状がある人がいます

  頭が痛い めまいがする
  膝が痛む 腰が痛む 筋肉が張って痛む
  身体が重怠い 頭が働かない

低気圧は雨や風を伴ってやってきます
台風や爆弾低気圧になると暴風や豪雨になります
また前線上に低気圧が出来る事もあって 低気圧の通過前から長く天気が崩れる事もあります

風や湿った空気は中医学では体調を崩す原因の六淫といわれる中の風邪(ふうじゃ)と湿(しつ)邪(じゃ)です
風邪(ふうじゃ)の性質は上の方に症状がでやすい・あちこち移動し変化しやすい・揺らす(めまい・痙攣・ひきつり)など
湿邪の性質は重くしつこい・下の方にいきやすい・胃腸の働きを悪くしやすい・冷えやすいなど
因みに風邪(ふうじゃ)は陽邪・湿邪は陰邪といわれます

治療法は
  風邪(ふうじゃ)に対しては解表・散風・袪風
  湿邪に対しては袪湿・化湿・利湿などの方法があります

「いえいえ 私は気圧に弱いのです」と思う方もいるかもしれません
気圧は低いのは低気圧の中央です
気圧の低い所に空気が流れ込んで上昇気流を生じ雲ができます
低気圧不調の方は低気圧が来る前から不調を感じています
時には台風が沖縄の向こうにある場合でも不調を感じて台風の存在を当てる方もいらっしゃいます
つまり低気圧のもたらす環境に不調を感じるのだと思います

症状に対しては色々使える漢方薬はあります
藿香正気散(勝湿顆粒)は風邪(ふうじゃ)を散らし・化湿する方剤です
他に 川芎茶調散(頂調顆粒) 柴胡桂枝湯 半夏白朮天麻湯 気上散 五苓散 胃苓湯 独活寄生湯(独歩顆粒) 苓姜朮甘湯(腰冷散) 五積散(五積腰痛散) その他症状に対応して使います

低気圧がきても不調にならない体質作りも大切です
まず、どんなタイプの人が低気圧不調になり易いのでしょう?
1つ目は衛気不足タイプです(防御力の不足)
・気温や気候などの環境の変化に弱い(身体がついていけない)
・風邪をひきやすい
・アレルギー性鼻炎や喘息がある
そういう方は身体を守る力が不足しています
2つ目は脾気虚タイプです(気虚や気血両虚)
・食欲がない
・お腹の調子がわるい
・車酔いしやすい
・浮腫みやすい
・疲れやすい
そういう人は食事からのエネルギーの摂り込みや水液代謝が悪い状態です

この2つのタイプの人に多くみられると感じます
衛気虚には益気固表の方剤を脾気虚の人には健脾益気の方剤を使って体質改善していきましょう

2022-01-23

尿意切迫や尿漏れの話


尿意切迫・尿漏れでお困りの方も多いと思います
尿が沢山たまらないうちに脳が排尿筋に収縮するよう指令をだしてしまったり、尿道の括約筋がしっかり絞めておけなかったりする為だそうです
中医学で脳の機能面は心(しん)の働きとしています
心は心臓の心でもあるし、物事を考えるこころの心でもあるわけです

頻尿・尿の出が悪い・尿に勢いがないなど排尿の問題は「腎臓や膀胱」に関係していると考えると思います
そういった症状は腎が未熟な子供の頃や腎が弱ってくる年齢になって起きてきます
「腎は生長・発育・生殖を主る」といい人の成長や発育の状態・また老化の速さなども腎と関係しています

腎の陰陽は真陰真陽といって陰陽バランスの中心と考えられます
ですから腎陰虚か腎陽虚かによって使う漢方薬も違ってきます
陰陽は相対的な関係ですから
腎陰虚なら火照りなどの症状が出ますし
腎陽虚なら冷え込みます

腎陰虚でも腎陽虚でも頻尿は起こります
腎陰虚の場合は尿量が少なく・腎陽虚の場合は尿量が多くなります
腎陽虚には八味地黄丸がよく使われます
腎陰虚には杞菊地黄丸や八仙丸など使われますが、火照りが酷い時は瀉火補腎丸を使います

頻尿ばかりでなく尿漏れがある場合は腎陽虚の事が多いです
腎の陽気が不足すると、尿の出る出口をしっかり閉めておく事が出来ずに漏れてしまうからです
この閉めておく力を「腎の固摂作用」といいます
「漏れる」「漏れそう」という状態にはこの固摂作用にアプローチできる中薬が必要です

山薬・・・脾腎固精・縮尿
海馬・・・補腎壮陽・止遺尿
補骨脂・・・補腎壮陽・固精縮尿
山茱萸・・・補益肝腎・渋精縮尿
桑螵蛸・・・補腎助陽・固精縮尿
芡実・・・益腎固精・縮尿
蓮肉・・・養心安神・益腎固精
この中の5種類が入っている食品が『安固丹』です

この腎の陽気は心陽と関係しています
心は上に位置し五行の火と関係し最も陽です
腎は下に位置し五行の水と関係し最も陰です
心火は下におり腎陽を助け、腎水を身体に送る熱エネルギーになります
そのエネルギーにより腎水は上に昇って心の火が亢進しすぎないようにしています(交通心腎)
つまり心火が降りないと腎陽(腎のエネルギー)も不足し、漏れないようにするエネルギーも不足します

年をとらない人はいません
年をとると五臓も衰えます(衰える速さは人によって違いますが・・・)
心も衰えます
病気という事でなく昨用が弱くなるという事です
若い時はよく眠れたのに、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、夢見が多くなったりで寝る前に睡眠薬や安定剤を処方してもらっている人も多くみられます

中医学では「心は神を主る」「心は血脈を主る」といい 前者は大脳の思惟活動(こころとしての心)を後者は心臓の駆動力(心臓としての心)の事だと理解できます

水道や水の流れる音をきいたら尿が出たくなったという事からもこころとしての心と関係がありそうだとわかります

ですから中医学では頻尿や過活動膀胱に対して安神作用も重要です

補腎(滋陰や補陽)
固精・縮尿
養心安神
などの方法があります
他に心腎不交・心腎陰虚の場合は滋陰や清心瀉火などの方法が必要になる事もあります
五臓は相生相剋の関係で影響しあい・気血津液精・陰陽のバランスなどみてどんな方法が良いか考えましょう

2020-12-14

新型コロナの感染が日本中に広まり医療崩壊をおこしそうになっている地域もあります
この年末年始は家族や親しい人達と集まる事もできません

狭山台店は3月から12月までの第3木曜日は中医学講座をしていましたが、今年はできませんでした。
おそらく来年もできないと思います
そこで今回は中医学ってなに?というお話です

日本の漢方と中医学

ドラマで小石川養生所の出てくる話を見た方も多いと思います
江戸時代から続く日本の漢方は「傷寒論」や「金匱要略」という書物をもとに日本独自で発展したものだそうです
その中でも何を中心として考えるかで幾つかの派に分かれています

中医学は中国で発展した漢方の学問体系で「傷寒論」「金匱要略」はもちろんの事「黄帝内経」「神農本草経」などがあります

特に黄帝内経は陰陽五行と五臓六腑の関係・気血津液の事や六淫など環境がもたらすものなど、健康とは何か?なぜ病気になるのかなど、傷寒論など日本漢方の中心になっている書物の基礎になる理論が書かれています
しかし江戸時代に発展した日本漢方は陰陽五行など黄帝内経の基礎的理論を採用しませんでした

しかし曲直瀬道三など、その前の時代の漢方医は五臓六腑に状態を治療に反映させていて、黄帝内経の理論をふまえていた事がわかります

もう一つの特徴

日本が鎖国していたころ中国で温病学がでてきました
咽が腫れて熱っぽい時に使う『銀翹散(銀翹解毒散)』は温病にでてくる処方です
都市化がすすみ 自然の中に足を踏みいれていった時動物の持つウイルスが人にも感染するようになりました

症状は急激で炎症性が強い病気です
今までのように身体を温めて発汗して邪を追い出すというだけでは熱毒といわれる邪気に対処しきれません
身体を涼しくしながら汗を出し(辛涼解表)清熱(炎症を鎮めたり熱を冷ましたり)解毒(ウイルスや細菌など身体にとっての毒を解毒する)という方法が必要になりました

中国における新型コロナに対するアプローチも温病学が中心になっていました

私にとっての中医学

世の中には治療法の確立していない病気が沢山あります
でも中医理論があれば陰陽の平衡や五臓六腑の虚実・気血津液の虚実・内在する邪気や外邪など中医学ならではの理論や中薬を用いてあきらめずに戦い続ける事ができるとおもっています

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