病気と漢方

2022-01-23

尿意切迫や尿漏れの話


尿意切迫・尿漏れでお困りの方も多いと思います
尿が沢山たまらないうちに脳が排尿筋に収縮するよう指令をだしてしまったり、尿道の括約筋がしっかり絞めておけなかったりする為だそうです
中医学で脳の機能面は心(しん)の働きとしています
心は心臓の心でもあるし、物事を考えるこころの心でもあるわけです

頻尿・尿の出が悪い・尿に勢いがないなど排尿の問題は「腎臓や膀胱」に関係していると考えると思います
そういった症状は腎が未熟な子供の頃や腎が弱ってくる年齢になって起きてきます
「腎は生長・発育・生殖を主る」といい人の成長や発育の状態・また老化の速さなども腎と関係しています

腎の陰陽は真陰真陽といって陰陽バランスの中心と考えられます
ですから腎陰虚か腎陽虚かによって使う漢方薬も違ってきます
陰陽は相対的な関係ですから
腎陰虚なら火照りなどの症状が出ますし
腎陽虚なら冷え込みます

腎陰虚でも腎陽虚でも頻尿は起こります
腎陰虚の場合は尿量が少なく・腎陽虚の場合は尿量が多くなります
腎陽虚には八味地黄丸がよく使われます
腎陰虚には杞菊地黄丸や八仙丸など使われますが、火照りが酷い時は瀉火補腎丸を使います

頻尿ばかりでなく尿漏れがある場合は腎陽虚の事が多いです
腎の陽気が不足すると、尿の出る出口をしっかり閉めておく事が出来ずに漏れてしまうからです
この閉めておく力を「腎の固摂作用」といいます
「漏れる」「漏れそう」という状態にはこの固摂作用にアプローチできる中薬が必要です

山薬・・・脾腎固精・縮尿
海馬・・・補腎壮陽・止遺尿
補骨脂・・・補腎壮陽・固精縮尿
山茱萸・・・補益肝腎・渋精縮尿
桑螵蛸・・・補腎助陽・固精縮尿
芡実・・・益腎固精・縮尿
蓮肉・・・養心安神・益腎固精
この中の5種類が入っている食品が『安固丹』です

この腎の陽気は心陽と関係しています
心は上に位置し五行の火と関係し最も陽です
腎は下に位置し五行の水と関係し最も陰です
心火は下におり腎陽を助け、腎水を身体に送る熱エネルギーになります
そのエネルギーにより腎水は上に昇って心の火が亢進しすぎないようにしています(交通心腎)
つまり心火が降りないと腎陽(腎のエネルギー)も不足し、漏れないようにするエネルギーも不足します

年をとらない人はいません
年をとると五臓も衰えます(衰える速さは人によって違いますが・・・)
心も衰えます
病気という事でなく昨用が弱くなるという事です
若い時はよく眠れたのに、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、夢見が多くなったりで寝る前に睡眠薬や安定剤を処方してもらっている人も多くみられます

中医学では「心は神を主る」「心は血脈を主る」といい 前者は大脳の思惟活動(こころとしての心)を後者は心臓の駆動力(心臓としての心)の事だと理解できます

水道や水の流れる音をきいたら尿が出たくなったという事からもこころとしての心と関係がありそうだとわかります

ですから中医学では頻尿や過活動膀胱に対して安神作用も重要です

補腎(滋陰や補陽)
固精・縮尿
養心安神
などの方法があります
他に心腎不交・心腎陰虚の場合は滋陰や清心瀉火などの方法が必要になる事もあります
五臓は相生相剋の関係で影響しあい・気血津液精・陰陽のバランスなどみてどんな方法が良いか考えましょう

2020-12-14

新型コロナの感染が日本中に広まり医療崩壊をおこしそうになっている地域もあります
この年末年始は家族や親しい人達と集まる事もできません

狭山台店は3月から12月までの第3木曜日は中医学講座をしていましたが、今年はできませんでした。
おそらく来年もできないと思います
そこで今回は中医学ってなに?というお話です

日本の漢方と中医学

ドラマで小石川養生所の出てくる話を見た方も多いと思います
江戸時代から続く日本の漢方は「傷寒論」や「金匱要略」という書物をもとに日本独自で発展したものだそうです
その中でも何を中心として考えるかで幾つかの派に分かれています

中医学は中国で発展した漢方の学問体系で「傷寒論」「金匱要略」はもちろんの事「黄帝内経」「神農本草経」などがあります

特に黄帝内経は陰陽五行と五臓六腑の関係・気血津液の事や六淫など環境がもたらすものなど、健康とは何か?なぜ病気になるのかなど、傷寒論など日本漢方の中心になっている書物の基礎になる理論が書かれています
しかし江戸時代に発展した日本漢方は陰陽五行など黄帝内経の基礎的理論を採用しませんでした

しかし曲直瀬道三など、その前の時代の漢方医は五臓六腑に状態を治療に反映させていて、黄帝内経の理論をふまえていた事がわかります

もう一つの特徴

日本が鎖国していたころ中国で温病学がでてきました
咽が腫れて熱っぽい時に使う『銀翹散(銀翹解毒散)』は温病にでてくる処方です
都市化がすすみ 自然の中に足を踏みいれていった時動物の持つウイルスが人にも感染するようになりました

症状は急激で炎症性が強い病気です
今までのように身体を温めて発汗して邪を追い出すというだけでは熱毒といわれる邪気に対処しきれません
身体を涼しくしながら汗を出し(辛涼解表)清熱(炎症を鎮めたり熱を冷ましたり)解毒(ウイルスや細菌など身体にとっての毒を解毒する)という方法が必要になりました

中国における新型コロナに対するアプローチも温病学が中心になっていました

私にとっての中医学

世の中には治療法の確立していない病気が沢山あります
でも中医理論があれば陰陽の平衡や五臓六腑の虚実・気血津液の虚実・内在する邪気や外邪など中医学ならではの理論や中薬を用いてあきらめずに戦い続ける事ができるとおもっています

2020-11-16

新型コロナ渦が長く続いている事で不安感を感じるようになっている方も多くいらっしゃいます

人は色々なシーンで不安を感じます
検査結果を待つ・事故のニュースをみて自分の家族は大丈夫か不安になる・子供の受験は大丈夫かとか色々・・・
思うに不安の原因は自分でどうにかできない事が多いのかもしれません
原因が解決すれば不安も解消されます 
しかし不安状態が長引くと原因が除かれてもいつまでも不安感がとれない事があります
また東日本大震災の時は震災の報道を繰り返し見る事で不安感を抱く人も多かったです
不安の感情は危険を回避する為に人に与えられた自然なものかもしれません
でも不安感だけがいつまでも残るのは困ります

中医学では気血津液の虚や五臓六腑や陰陽のバランスの崩れによると考えます
例えば思いすぎ、考えすぎ、思慮過度により心と脾が傷つくとされています
また強いストレスがかかると胆が虚し、不安感がでる事もあります

心脾両虚の不安感

色々考えすぎていると心血を消耗し、思うは脾の志なので脾も損傷します
また心と脾は相生(母子)関係にあるので心が弱ると脾も弱る結果になります

『心は神を主る』といい色々考える(思惟活動)は心の働きです
心血は心神を養う力なので、心血が不足すると心神の活動も失調し不安・眠りが悪い・動悸などの症状が出ます

又、脾は気血を生む源なので脾の働きが弱ると心血がさらに不足します
さらに脾には“気を上げる”働きもあるので、やる気がでない、疲れやすい、頭がボーっとするなどの症状がでます

コロナ渦であれこれ考えて心が疲れていませんか?
不安感の他・眠りが浅い・よく夢をみる・動悸などの症状がありませんか?
そんな時は養心安神・健脾益気(心をやしなって安らかにし、脾を健やかにして気力アップ)の心脾顆粒がよいです

胆虚の不安感

怖い事があった時「胆(肝)を冷やした」といいます
中医学で『胆は決断を主る』といいますが、どんな時でもどーんと構えて物事に動じない人は胆がしっかりしているからです
しかし、胆が弱る(胆虚)と不安感・色々な物事を決められない・疑い深いなどの症状がでます

新型コロナは感染症そのものが恐いし、罹患者に対する偏見も恐いと感じる人も多いと思います
そんな状況から胆が弱って不安感を感じるようになる人もいらっしゃいます

そんな時、(胆を冷やして弱った)胆を温めるという名前の温胆湯を飲んで見てはいかがですか?

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