中高年と病気

2016-04-13

耳鳴り、難聴 耳鳴りで悩む人は多くいます。突発性難聴のように耳鼻科での治療が必要な耳鳴りもありますし、聴神経腫瘍のように時に脳神経外科で手術が必要な時もあります。でも殆どが老化による耳鳴りとストレスによる心因性の耳鳴りです。実際ない音を聞いているのは脳です。

 以前テレビである実験をしました。音の全くしない録音室に耳鳴りのない人達に入ってもらいました。すると全員が耳鳴りを感じました。聞こえない音を脳のセンサーが聞こうとしてしまうのが耳鳴りとなって現れるのだそうです。

 以前、公園で若者がたむろすのを防ぐのにモスキート音を流すという事をニュースでやっていました。若者には聴こえて一般には聴こえない音?へーって思いませんでしたか?音の聴こえは年齢によって違うそうです。特に高周波の音は聞こえなくなってきます。かこういった事から耳の老化が耳鳴りと関係しているのだと納得できます。老化による耳鳴りは耳の聞こえ方の衰えと関係しているわけですから、耳が遠くなってくる(難聴の始まりともいえます。

その耳鳴りは老化?

 「その耳鳴りは老化です。と耳鼻科で言われた。だから仕方ないよ。」

 本当に仕方ないで良いのですか?中医学には老化を少しでも遅くする理論があります。『腎は耳に開竅する。』・・・つまり腎の衰えは耳に表れるという意味です。腎とは西洋医学の腎臓の事ではありません。『自然界に五行があり 人に五臓がある』五行学説にある五臓の腎です。腎は精を蔵し 生長・発育・生殖を主るといい、人の生命エネルギーの基盤となる精を貯えていて、発育や生殖に関係し腎気の充実が老化の速度を抑える力になっています。

 「腎の衰えは耳に表れるわけだから、耳鳴りは腎が衰えてきてるのを知らせてくれてるんな。腎が衰えると腎の府の腰も弱くなるし、骨も腎が主るっていうから骨も弱くなってきてるのかな?腎は髄を生じるというから骨髄・脊髄・脳髄の不足も考えなくちゃいけないし。これを期に補腎していこう」と考えてみるのはどうでしょうか?

ストレスによる耳鳴り

 次にストレスによる耳鳴りです。脳が音を感じているならストレス脳の音をキャッチする部分が興奮しているとやはり耳鳴りとして聴こえるのも納得できると思います。

 一般にいう老化の耳鳴りは腎虚の耳鳴りで静かになった時サーサーという感じに聴こえもので生活の支障にはなりません。昼間も気になる耳鳴りは中医学では肝と関係しています。『肝は疎泄を主る』といい身体の気機の調節と関係しています。目に開竅するといいますが、気機の調節をしているので感覚器は肝と強く関係しています。また肝腎同源といい、肝は腎と密接な関係があります。人の声が聞こえないような、テレビの声の邪魔になるような耳鳴りは肝火の事が殆どです。

 他に、瘀血や痰湿があります。つまり耳を取り巻く血の巡りが悪い時におこる耳鳴りです。巡りが悪ければ浮腫をおこす事もあります。「血の流れる音が聞こえる」とか「脈打つ音がする」言われる方がいらっしゃいますが、肝気鬱結や肝火または肝陽上亢のことが多いようです。そう言う状態は気滞血瘀といい血の巡りにも問題がでやすくなります。また血圧上がると耳鳴りもおきる場合もあります。中医学でその状況は肝陽上亢や肝火上炎でそれに瘀血阻滞が伴う事も多く見られます。

まとめると

①耳鳴りは腎の衰えのセンサー!
②肝の異常により神経が高ぶると音が高くなったり、大きくなったり。

衰えは時間をかけて補!
興奮(火)は早めに瀉!
同時に瘀があれば通!

2015-07-02

 パンダ①NHKの認知症キャンペーン『これが認知症を防ぐチョイスだ』という番組をみていて驚きました。それは現役の週刊誌記者の方が軽度認知障害(MCI)の診断をうけ その体験談を話すのに出演していたからです。記者といえば頭と身体を使う仕事というイメージが強く、現役バリバリで仕事をしている人にそういう状況がおこっているという事がショックでした。さっそくこの方山本朋史さんが体験レボでつづった“ボケてたまるか!”という本を購入しました。山本さんが62歳、私も還暦をすぎているので人事でないかも??という思いもあったからです。

何故山本さんは物忘れ外来を受診したのでしょうか?

 きっかけはペットロスから鬱ぎみになった事かもとの事ですが・・・
 これまでより 物忘れが酷くなっているという自覚があったからだそうです。
 しかも加速度的に・・・
 
 病院では医師の質問に答えたり、文章力・図形力・常識力・記憶力を調べるテストを受け、MRIやCTで脳の様子をみました。テストの結果が認知症の疑いがあり、画像診断からは60歳相応の血管の詰まりがあっただけで記憶を司る海馬はきれいでした。

軽度認知障害(MCI)は認知症予備軍といえるものです。

 1.記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
 2.日常生活動作は正常
 3.全般的認知機能は正常
 4.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
 5.認知症ではない

 約半数の人は何もしなくてもはMCIから認知症になることはないそうです。しかし逆に半分くらいは認知症になってしまうという事もいえます。

 NHKの番組ではグラフのような形で表していました。軽度の認知障害の状態を段で表し、ここまでは戻せる、ここからは戻せないという事を言っていました。つまり早期に気づいて、対策する事が重要という事です。

 山本さんは筑波大学病院で『認知力アップトレーニング』を受ける事になります。トレーニングに来ている人達と半ば競争しながら楽しみながら脳トレや筋トレを行います。式筋トレのところで驚いたのは、座って足を10数えるあいだ上げておろした時に痛みを感じない時は感覚神経が脳につながってないという話です。

 ここのトレーニングによって脳と感覚神経、運動神経をしっかりつないでいく事が大切だと感じました。

中医学では認知症対策の基本は補腎と活血といわれています。

 60歳はそれなりの詰まりがあるという事ですが、血管は脳に酸素や栄養を運ぶ道ですから、開通している方が良いにきまっています。そのために活血化瘀という方法で予防します。また腎は髄を生じ、髄海に通じるといい、髄の海は脳の事です。腎の機能がしっかりしていれば、髄を充実させる事ができます。

 さらに
 憂鬱 欝っぽい 心がすっきりしない 楽しい気持ちになれない やる気がでない・・・などのこころの状態から軽度認知障害になる事もある事から考えれば心も重要です。

 中医学では脳の思惟活動(機能面)を心と考えます。心は『血脈を主る』という心臓の駆血作用と心は『神を主る』という脳の機能と2つの事と関係しています。

心脾顆粒の効能に健忘があります。

 心脾顆粒は心血を養って精神・意識・思考を安定させる遠志・酸棗仁や脾気を補い胃腸の働きを元気にする黄耆・党参など10種類の生薬がこころをバックアップしてくれます。

 脳トレ+筋トレ+漢方で未病先防!ですね。

2012-03-01

パンダ④ 昨年から韓流の『イサン』を見ています。王様が認知症になってしまいます。王宮殿に出入りを禁じられた 謹慎中の王妃に会いにいき、その事を全く覚えてないなどおかしな行動に気づき自分でも「もしや 認知症では?」と考えます。意識に無い状況はせん妄という症状で認知症そのものとは区別されるそうですが、認知症の場合にもおこりやすい症状です。王様は記憶を留める努力をしたり 地域の名前を再確認したり 自分の行動を記録係に記録させたり結構しっかりした思考を持っていました。

 そんな状況でせん妄がおきているのは悩の血流が関係している事が考えられると思います。医師の処方は『 石菖蒲・遠志・姜黄・カッコウ』でしたが症状に対しての処方です。石菖蒲は、除痰開竅・醒神健悩に働くので意識障害に使います。遠志は帰脾湯に入っていますが安神益智・散鬱化痰に働き精神疾患に使われます。さらに漢方的には心腎をつなぐ働きがあるといわれています。姜黄は皆さんよく知っているウコンです。

 カッコウは勝湿顆粒の主薬で中焦を保護するのが目的だと思われます。代医学で考えるなら 脳血管性の認知症とアルツハイマー型認知症があるわけで、双方を兼ねる場合もありますが、脳血流の改善は重要だと思います。アルツハイマーの場合 アミロイド斑が見られるがこれが直接の原因かは解明されていないものの 漢方的に見方からすると褐色斑(黒ずみ)は瘀血ととらえる事ができるし、また腎虚ととらえる事もできます。

 その事から考えると今なら活血化瘀薬もプラスして使うだろうと感じました。その後王様は脳梗塞をおこし意識不明の重態になります。結果的に王様は動脈硬化という話でしたが、今で言う脳血管性の認知症という事だと思います。認知症は原因があってそれに伴う症状があります。中核症状とはその結果としての中心になる症状の事で記憶力や判断力・思考力の低下や実行機能の障害などがあげられます。そういった症状を中心に精神面の不調などを周辺症状といいます。この周辺症状は本人も苦しい周囲の人を悩ませる症状でもあります。こういった症状に抑肝散効くとい事でさかんに使われています。こういった使い方は西洋薬的使い方で、漢方本来の使い方ではありません。

 以前 肝炎に小柴胡湯が効くとして誰にでも処方した結果間質性肺炎でなくなる方が多くでましたがそのニの前にならないかを危惧しています。小柴胡湯は燥性の強い処方ですので、陰虚の人、傷津(津液の不足がある人にはつかえません。抑肝散は小柴胡湯のように強いものではありませんが、やはり弁証して用いるべきだと思います。その結果 陰虚や傷津があれば天王補心丹のような滋陰薬を使うべきだと思います。では弁証して用いるとはどういう事でしょう?

 人が年をとる・・・という事は腎の衰えと関係しています。また 肝腎は源は同じ(肝腎同源)といって肝も衰えます。腎の陰陽の腎陰・腎陽は真陰・真陽といわれて身体の陰陽なバランスの基は腎にあるとされます。陰の不足の状態は相対的に虚の陽が大きくなった状態でほてり等の症状が、陽の不足の状態は相対的に虚の陰がでた状態で冷え込みます。冬でも足を布団から出さないと眠れないような人と 夏でも股引きをはいている人と身体は状況は同じではありません。

 そこで 寒熱を弁証します。寒を寒し熱を熱する事があってはなりません。また もし熱に傾く事があれば燥を警戒しなくてはなりませんし、寒なら湿を多くする事はできません。抑肝散は小児にひきつけ・むずかり・夜鳴き・歯軋りなどに用いられた処方ですが、母親も一緒に飲むようにと書かれているそうです。効能は平肝熄風・疏肝健脾で肝をなだめて風を消し、肝の疏泄機能を改善して脾を健やかにするという意味です。ただし のぼせ・火照り・怒りっぽいなど心肝火旺の症状がある時はそのままでは瀉火の配合がない為に向きません。もし 虚火の症状がつよければ酸棗仁湯や黄連阿膠湯、あるいはミンハオ、蓮子心を加えたりします。もし 心陰虚の状態ならやはり天王補心丹をメインにします。

 認知症に付随する症状の緩和ができても治ったわけではありません。つまり抑肝散は症状に対する漢方薬で予防薬とはいえません。認知症を中医漢方の本質で考えれば、腎虚と瘀血(痰湿を伴う事もある)です。西洋医学で考えれば脳の病気ですが、中医漢方で考えれば髄海が空虚になっている状態といえます。それは 腎精の不足により髄を生じることができず髄海を満たせない場合もありますし、痰瘀によって血脈や経絡が通じず気血が運ばれない事もあります。

 つまり、予防を考えれば補腎し、精を益し、活血化瘀や通絡で通じさせる事が一番だと思います。この事を基本として、もし中核症状がでていれば抑肝散・鎮悸散・天王補心丹のような処方や、ミンハオのような気もちの落ち着く漢方食品加えます。中医漢方の理論を生かして未病のうちに防ぎましょう。

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