令和元年11月勉強会

令和元年11月 中医学勉強会

常見病{子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症} 中医学講師 高橋楊子先生 (証の診方・治し方)など著書多数)

この3つの疾患のいずれかを持つ女性は多く月経痛や月経過多またそれに伴う貧血更に不妊症につながる事もあり、日常生活や仕事に影響する事も多々あります

子宮筋腫は20~40歳の時に好発する良性の腫瘍で女性ホルモンと関係していて閉経後は大きくなることはありません
月経痛や出血過多で貧血になる事も多い
しかしまれに悪性になる事があるので注意は必要です

子宮内膜症は子宮の内膜組織が腹膜、卵巣、ダグラス窩や他臓器に発生し、女性ホルモンの影響で増殖剥離を繰り返し癒着していく病気で強い月経痛を伴う事が多く不妊の原因にもなる
年齢は10代後半から40代で、晩婚や出産歴のない人に多くみられる

子宮腺筋症は子宮内膜に類似する組織が子宮筋層内に増殖し子宮が腫れて大きくなる病気で30代後半から40代に多く月経過多で貧血を伴う事が多い

これらの疾病を重なって持っている人もいます

中医学の考え方・・・瘀血との関係が強い
冷えによる血滞、ストレスによる気滞血瘀・脾胃気虚や飲食の不節により内生した痰湿による瘀血から気血臓腑が虚損しさらに気虚や腎虚から瘀血となります
痰瘀阻滞が気血臓腑の虚損をもたらし気血臓腑の虚からに痰湿・瘀血を生じるという結果になります

古典をひもといても『人の腹内に塊ができる原因を飲食の不節制・寒温の不調和・気血の消耗・臓腑の虚弱などにより風冷がお腹に入って瘀血となる』といっています

そこから考えると以下の事は予防の為(瘀血を作らない為)に大切です
①月経中に冷たいものを飲んだり食べたりしない
②ひざ下・内くるぶしは三里・三陰交という大事な坪があるので冷やさないようにする
③甘い物・脂っこいものを避けて痰湿を作らないようにする
④生活リズムを整え夜更かしや徹夜をしない

月経痛
1、虚実の弁証
実証 不通則痛(通じざれば則ち痛む)・・・強い痛み
病因 情志失調→気滞血瘀
痰湿蘊結→痰瘀阻滞
寒湿侵入→寒凝血瘀
虚証 不栄則痛(養わざれば則ち痛む)・・・鈍い痛み
病因 先天不足
腎・脾・肝の虚損、気血虚弱
後天失調
虚実挟雑・・・虚実が同時に存在する
*例えば気血不足で寒凝血瘀も兼ねるとか
*虚実の見分けは痛みの状態・血塊の有無・経血の量や色・全身状態などからみわけます

2、寒熱の弁証
月経周期・痛みの状態・経血の色や状態
顔色・表情・精神状態・全身状態
以上から寒か熱かを見分けます

よく使われる方剤や中成薬や中薬
①気滞血瘀 逍遥散・冠元顆粒・芎帰調血飲第一加減・血府逐瘀湯・水快宝
②寒凝血瘀 桂枝茯苓丸・爽月宝・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・田七
③痰瘀阻滞 シベリア霊芝 + 冠元顆粒・水快宝・桂枝茯苓丸加薏苡仁
*婦人科の名医 夏桂成先生が子宮腺筋症や筋腫に使っている処方は化痰軟堅・活血化瘀の働きのある消瘤丸には桃仁・莪朮・水蛭などは活血化瘀や破血に・昆布・海藻は消痰散結に、夏枯草は清熱散結などが配合されています

瘀血に対応する方剤は瘀血の度合いによって違います
重度の瘀血は乾血・死血などと言われ水蛭などの破血の働きのものが必要になります

まずは瘀血を作らないようにして、酷くしないうちに活血の働きのある漢方を使うようにすると良いと思います