病気と漢方

2022-09-16

秋は五行の金・五臓の肺の季です
また五色は白・五気は燥・五味では辛・五化では収が同列です

陽気の収まり

黄帝内経の四気調神大論に季節の持つ意味と養生が書かれています
秋の三か月を容平というそうです
それは夏に盛んだった陽気が収まって実を結び、あるいは紅葉して静かな終焉の時期を迎えているというような意味だそうです
紅葉は葉が葉緑素をしまうため色々な色になるそうですが、やはり収めるという事だと思います
つまり自然のリズムに合わせるという事は春から夏にかけて陽気が活発になる時期は心も身体も活発にし、秋から冬にかけては収めていく・・・つまり心を静かに穏やかに過ごすという事のようです

肺を大事に

『使肺気清』・・・肺気を清ならしむ

肺の機能を守っていくという事です
肺は嬌臟(弱い臟)といわれていますが、理由は外界に通じていて影響を受けやすいからです
新型コロナもエアロゾル感染で殆どが吸い込んで発生する事からも肺がいかに危険にさらされているかがわかります
鼻や咽は肺に通じるので肺のグループです
粘液中に免疫細胞がありますし粘膜が潤っていると異物を排泄する繊毛の働きも良いので外界の邪気に対し防衛力となります
夏は暑く汗も多い為、津液の消耗は秋に肺の潤い不足(肺陰虚)になる事も多いので注意が必要です
秋バテに麦味参顆粒をよく使うのは肺気陰両虚の状態だからです

肺と鼻

『肺は鼻に開竅する』といいます
また 鼻とのどは『呼吸の門戸』ともいうそうです
鼻は外邪の侵入口ですからここで防がなくてはなりません

くしゃみ・鼻水・鼻づまりなども防衛反応といえます
また『涕(てい)は肺の液』といいますが、鼻の粘膜を潤し防衛しています
その他『肺は皮毛に合す』といい寒さに対して毛穴を閉る・発汗による体温調節も肺との関係で考えます

肺の食養生


肺は五色では白・五味では辛が関係しています
白といえば大根・レンコン・白ネギ・長いも・牛乳・豆腐など色々思い浮かびます
また辛味ではネギや生姜、生の大根・にらなど思い浮かぶと思います
秋に美味しい梨は皮が桑杏湯という漢方薬にもつかわれています
空咳の人は梨を皮ごと2つ割りにし種をとった所に蜂蜜を入れ蒸して食べて下さい

*風邪の予防も大事です

防衛力を強化の衛益顆粒と清熱解毒の板藍茶を活用してください

2022-08-06

昔から夏は暑いものです
ただ近年の暑さは異常で『危険な暑さ』といわれるくらいの時もあります
しかし昔と違ってエアコンが普及しているので何とか過ごせますがその分身体が暑さに順応できなくなっている面もあります

黄帝内経に夏の過ごし方は
―――夏の3ヵ月は万物が繁栄する季節だから暑さを厭わず愉快な気持ちを持って怒らず陽気を外に発散させる―――
という意味合いの事が書かれています

自然をみても植物や虫や生き物たちが活発で生命力が旺盛な事を感じます
私達の身体も陽気をうけて活発な状態なので陽気がこもらないよう汗をかいて発散する事も大切です

夏と心

夏は本来心も身体も活発になり海へ山へとこころが躍る季節です
夏は五行の火の季で五臓の心と関係しています
火とは熱い・動きのある事・興奮とかを表しています
心は火の臓で『血脈を主る』といい心臓の拍出力は心の陽気によるものです
だから夏は血の巡りが良くなりますが、心臓の弱い人は少し動いても動悸を感じたりします
また『心は神を蔵す』といい、神は思惟活動をさし「こころ」も心です
つまり脳の働きの一部も心に属します
心火が亢進すると興奮の為イライラ・落ち着かない・不安・不眠などの状態になります
その為 心陰心血が不足して眠りの質も悪くなり何度も目が覚める・夢見が多いなどの症状がでます
漢方薬は症状に応じて温胆湯・黄連湯・天王補心丹・酸棗仁湯・心脾顆粒などを使います
また養生食品のミンハオも陽気を潜めて落ち着かせるのに役立ちます

夏と汗

身体は汗をかいて身体が熱を持たないように体温調節しています
発熱した時汗をかいて解熱した経験があると思います
発汗を促す生姜は夏にも良い食べ物です
生の生姜は走きて守らずといい、発汗して体温をさげます
お腹の冷える人は干した生姜を使って下さい
干した生姜はよく走きよく守るといって発汗してもお腹は温めてくれます
但し『汗は心の液』ですからかき過ぎは要注意です
かき過ぎた時は麦味参顆粒を服用しておきましょう

夏の寒暖差

この所の夏は異常な暑さで冷房が必需品になっています
建物の中に入ったりでたり、暑い車のクーラーがきいてきたと思ったらまた降りてとか、家の中でもお部屋は涼しいけどトイレは暑くてとか殆どの人が寒暖差のある所を行ったり来たりしています
この温度差に合わせていかなくてはならないので身体は大変です

気血が不足しているタイプや気の巡りが悪いタイプの人よりつらい症状になります
相談して自分の症状にあった漢方薬や養生茶、養生食品をとってみて下さい

夏の胃腸

暑さで冷たくて水っぽいものしか口にしたくない・食欲がない・軟便になったり下痢っぽくなったり・・・暑気あたりではありませんか?お腹がポチャポチャいいませんか?
フラーリンA(胃苓湯)を飲んで見て下さい
胃腸の調子が悪いのを放っておくと夏バテしてしまいます
暑いからといって冷たい飲み物や食べ物ばかりとるのはお勧めできません
暑い中にいた時は身体を冷やす為に冷たいものも少しは良いかもしれませんが、ガブガブ飲んでも吸収されません
冷たい物が飲みたい時はゆっくり飲んで下さい
冷た過ぎないイオン飲料などを飲んだ後氷のブロックを口の中でゆっくり溶かすのもお勧めです
火照る時は外側から身体を冷やしてください
脇の下や首筋を冷やしたり手足を冷たい水に浸けたりすると良いです

これは私の経験ですが、猛暑の日に出かけて火照って水分を摂っても渇きがとれない状態になったのですが、プールに入ったらすぐに火照りと渇きが全くなくなった事があります
身体全体を冷やした事で口喝がとれたのだと思います

脾の運化作用は栄養や水分の消化・吸収・輸送です
夏は通常より沢山の水分を摂る事で運化機能も目いっぱい働いています
日頃から脾気虚の人はより大変!
なるべく温かく(熱くなく)消化の良い胃腸にやさしい物を食べるようにしてください
夏バテしない為に・・・

2022-06-25

近くの物が見えにくい老眼は不便なものです
しかし年と伴に目のピント調節機能が衰えて近くのものに焦点があわせられなくなってきます
老化の速さは人によって違いますが、老化しない人はいません
目も同じです
しかし最近は若い人の中にもスマホの見過ぎでピント調節機能が悪くなる人がいるそうで、スマホ老眼と言われています

『見える』という事は五臓の精気が目に注いで『見える』わけです
つまり全身の力を結集して『見える』のです
目の五輪学説では目と臟の関係を以下のように表されます

肝腎を補う

瞳孔は腎です
腎は『精を蔵し。生長発育生殖を主る』といい、生れてから成長していく力を持っている種のようなものです
肝は『血を蔵す』『疏泄を主る』といい、身体の基礎である血の蔵であると伴にと気機の調節も行っています
腎は先天といい、持って生まれた力と関係すると伴に老化の速さなどとも関係しています
また『肝は目に開竅する』といい肝の状態が目に表れます
更に『目は血をうけて良く見える』は肝血が充実して視力が維持されます
老化により肝腎は不足してきます
補肝を補う事は視力の衰えに対して重要です

心の状態も目に影響

『心は血脈を主る』といい心も血との関係が深く心血不足は目に影響します
また『心は神を蔵す』といい思惟活動と関連しています
西洋医学でいえば脳の一部の働きを中医学では心の働きを考えています
「眠くてよく見えない」「ショックで見えない」などばかりでなく見たい物を集中して見る事にも脳が関わっています
また考え事をしていて見ていなかったという経験をした人も少なくないと思います
ですから養心安神など心の安定も大切です
五輪学説では目頭は心を表しているので充血していれば心火があるので清心瀉火が必要です

脾が弱いと目に影響する

脾は『気血生化の源』つまり気血をつくる所ですから当然脾が弱いとみる眼精が充実しません
また『脾は昇清を主る』ともいい気血を目まで上げる力でもあるわけです
更に『脾は運化を主る』といい水分や栄養の輸送に関わっている為運化作用が失調すると不用物(痰湿)がたまる原因になります
ですから脾は『生痰の源』ともいいます
これは瘀血と同じように血脈を塞ぐ原因になります
瘀血も痰湿により気血の流れが阻害されると衰えの原因になります
また肺は「一身の気を主る」ので肺気が弱いと息切ればかりでなく目がかすむ症状がでる事もあります

老眼は目の老化

老眼は水晶体のピント調節機能の衰えで、目の老化です
特に瞳は肝腎が関係していますからまず杞菊地黄丸のような滋腎養肝・明目の働きの漢方をお勧めします
この中の枸杞子と菊花は中医眼科ではよくつかわれています
枸杞子(クコの実)は滋腎益精・養血明目に働き、肝腎陰虚の頭のふらつき・めまい・視力減退・風に当たると涙がでる・腰や膝がだるく無力・遺精などの症候に、熟地黄・山薬・山茱萸・菊花などと用いる(中薬学より)
杞菊地黄丸 枸杞子・菊花・熟地黄・山薬・山茱萸・牡丹皮・沢瀉・茯苓
さらに視力の衰えを感じる方は睛明丹も併せて飲むのをお勧めします

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