老眼の話

近くの物が見えにくい老眼は不便なものです
しかし年と伴に目のピント調節機能が衰えて近くのものに焦点があわせられなくなってきます
老化の速さは人によって違いますが、老化しない人はいません
目も同じです
しかし最近は若い人の中にもスマホの見過ぎでピント調節機能が悪くなる人がいるそうで、スマホ老眼と言われています

『見える』という事は五臓の精気が目に注いで『見える』わけです
つまり全身の力を結集して『見える』のです
目の五輪学説では目と臟の関係を以下のように表されます

肝腎を補う

瞳孔は腎です
腎は『精を蔵し。生長発育生殖を主る』といい、生れてから成長していく力を持っている種のようなものです
肝は『血を蔵す』『疏泄を主る』といい、身体の基礎である血の蔵であると伴にと気機の調節も行っています
腎は先天といい、持って生まれた力と関係すると伴に老化の速さなどとも関係しています
また『肝は目に開竅する』といい肝の状態が目に表れます
更に『目は血をうけて良く見える』は肝血が充実して視力が維持されます
老化により肝腎は不足してきます
補肝を補う事は視力の衰えに対して重要です

心の状態も目に影響

『心は血脈を主る』といい心も血との関係が深く心血不足は目に影響します
また『心は神を蔵す』といい思惟活動と関連しています
西洋医学でいえば脳の一部の働きを中医学では心の働きを考えています
「眠くてよく見えない」「ショックで見えない」などばかりでなく見たい物を集中して見る事にも脳が関わっています
また考え事をしていて見ていなかったという経験をした人も少なくないと思います
ですから養心安神など心の安定も大切です
五輪学説では目頭は心を表しているので充血していれば心火があるので清心瀉火が必要です

脾が弱いと目に影響する

脾は『気血生化の源』つまり気血をつくる所ですから当然脾が弱いとみる眼精が充実しません
また『脾は昇清を主る』ともいい気血を目まで上げる力でもあるわけです
更に『脾は運化を主る』といい水分や栄養の輸送に関わっている為運化作用が失調すると不用物(痰湿)がたまる原因になります
ですから脾は『生痰の源』ともいいます
これは瘀血と同じように血脈を塞ぐ原因になります
瘀血も痰湿により気血の流れが阻害されると衰えの原因になります
また肺は「一身の気を主る」ので肺気が弱いと息切ればかりでなく目がかすむ症状がでる事もあります

老眼は目の老化

老眼は水晶体のピント調節機能の衰えで、目の老化です
特に瞳は肝腎が関係していますからまず杞菊地黄丸のような滋腎養肝・明目の働きの漢方をお勧めします
この中の枸杞子と菊花は中医眼科ではよくつかわれています
枸杞子(クコの実)は滋腎益精・養血明目に働き、肝腎陰虚の頭のふらつき・めまい・視力減退・風に当たると涙がでる・腰や膝がだるく無力・遺精などの症候に、熟地黄・山薬・山茱萸・菊花などと用いる(中薬学より)
杞菊地黄丸 枸杞子・菊花・熟地黄・山薬・山茱萸・牡丹皮・沢瀉・茯苓
さらに視力の衰えを感じる方は睛明丹も併せて飲むのをお勧めします