その他の病気

2022-06-25

近くの物が見えにくい老眼は不便なものです
しかし年と伴に目のピント調節機能が衰えて近くのものに焦点があわせられなくなってきます
老化の速さは人によって違いますが、老化しない人はいません
目も同じです
しかし最近は若い人の中にもスマホの見過ぎでピント調節機能が悪くなる人がいるそうで、スマホ老眼と言われています

『見える』という事は五臓の精気が目に注いで『見える』わけです
つまり全身の力を結集して『見える』のです
目の五輪学説では目と臟の関係を以下のように表されます

肝腎を補う

瞳孔は腎です
腎は『精を蔵し。生長発育生殖を主る』といい、生れてから成長していく力を持っている種のようなものです
肝は『血を蔵す』『疏泄を主る』といい、身体の基礎である血の蔵であると伴にと気機の調節も行っています
腎は先天といい、持って生まれた力と関係すると伴に老化の速さなどとも関係しています
また『肝は目に開竅する』といい肝の状態が目に表れます
更に『目は血をうけて良く見える』は肝血が充実して視力が維持されます
老化により肝腎は不足してきます
補肝を補う事は視力の衰えに対して重要です

心の状態も目に影響

『心は血脈を主る』といい心も血との関係が深く心血不足は目に影響します
また『心は神を蔵す』といい思惟活動と関連しています
西洋医学でいえば脳の一部の働きを中医学では心の働きを考えています
「眠くてよく見えない」「ショックで見えない」などばかりでなく見たい物を集中して見る事にも脳が関わっています
また考え事をしていて見ていなかったという経験をした人も少なくないと思います
ですから養心安神など心の安定も大切です
五輪学説では目頭は心を表しているので充血していれば心火があるので清心瀉火が必要です

脾が弱いと目に影響する

脾は『気血生化の源』つまり気血をつくる所ですから当然脾が弱いとみる眼精が充実しません
また『脾は昇清を主る』ともいい気血を目まで上げる力でもあるわけです
更に『脾は運化を主る』といい水分や栄養の輸送に関わっている為運化作用が失調すると不用物(痰湿)がたまる原因になります
ですから脾は『生痰の源』ともいいます
これは瘀血と同じように血脈を塞ぐ原因になります
瘀血も痰湿により気血の流れが阻害されると衰えの原因になります
また肺は「一身の気を主る」ので肺気が弱いと息切ればかりでなく目がかすむ症状がでる事もあります

老眼は目の老化

老眼は水晶体のピント調節機能の衰えで、目の老化です
特に瞳は肝腎が関係していますからまず杞菊地黄丸のような滋腎養肝・明目の働きの漢方をお勧めします
この中の枸杞子と菊花は中医眼科ではよくつかわれています
枸杞子(クコの実)は滋腎益精・養血明目に働き、肝腎陰虚の頭のふらつき・めまい・視力減退・風に当たると涙がでる・腰や膝がだるく無力・遺精などの症候に、熟地黄・山薬・山茱萸・菊花などと用いる(中薬学より)
杞菊地黄丸 枸杞子・菊花・熟地黄・山薬・山茱萸・牡丹皮・沢瀉・茯苓
さらに視力の衰えを感じる方は睛明丹も併せて飲むのをお勧めします

2022-01-23

尿意切迫や尿漏れの話


尿意切迫・尿漏れでお困りの方も多いと思います
尿が沢山たまらないうちに脳が排尿筋に収縮するよう指令をだしてしまったり、尿道の括約筋がしっかり絞めておけなかったりする為だそうです
中医学で脳の機能面は心(しん)の働きとしています
心は心臓の心でもあるし、物事を考えるこころの心でもあるわけです

頻尿・尿の出が悪い・尿に勢いがないなど排尿の問題は「腎臓や膀胱」に関係していると考えると思います
そういった症状は腎が未熟な子供の頃や腎が弱ってくる年齢になって起きてきます
「腎は生長・発育・生殖を主る」といい人の成長や発育の状態・また老化の速さなども腎と関係しています

腎の陰陽は真陰真陽といって陰陽バランスの中心と考えられます
ですから腎陰虚か腎陽虚かによって使う漢方薬も違ってきます
陰陽は相対的な関係ですから
腎陰虚なら火照りなどの症状が出ますし
腎陽虚なら冷え込みます

腎陰虚でも腎陽虚でも頻尿は起こります
腎陰虚の場合は尿量が少なく・腎陽虚の場合は尿量が多くなります
腎陽虚には八味地黄丸がよく使われます
腎陰虚には杞菊地黄丸や八仙丸など使われますが、火照りが酷い時は瀉火補腎丸を使います

頻尿ばかりでなく尿漏れがある場合は腎陽虚の事が多いです
腎の陽気が不足すると、尿の出る出口をしっかり閉めておく事が出来ずに漏れてしまうからです
この閉めておく力を「腎の固摂作用」といいます
「漏れる」「漏れそう」という状態にはこの固摂作用にアプローチできる中薬が必要です

山薬・・・脾腎固精・縮尿
海馬・・・補腎壮陽・止遺尿
補骨脂・・・補腎壮陽・固精縮尿
山茱萸・・・補益肝腎・渋精縮尿
桑螵蛸・・・補腎助陽・固精縮尿
芡実・・・益腎固精・縮尿
蓮肉・・・養心安神・益腎固精
この中の5種類が入っている食品が『安固丹』です

この腎の陽気は心陽と関係しています
心は上に位置し五行の火と関係し最も陽です
腎は下に位置し五行の水と関係し最も陰です
心火は下におり腎陽を助け、腎水を身体に送る熱エネルギーになります
そのエネルギーにより腎水は上に昇って心の火が亢進しすぎないようにしています(交通心腎)
つまり心火が降りないと腎陽(腎のエネルギー)も不足し、漏れないようにするエネルギーも不足します

年をとらない人はいません
年をとると五臓も衰えます(衰える速さは人によって違いますが・・・)
心も衰えます
病気という事でなく昨用が弱くなるという事です
若い時はよく眠れたのに、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、夢見が多くなったりで寝る前に睡眠薬や安定剤を処方してもらっている人も多くみられます

中医学では「心は神を主る」「心は血脈を主る」といい 前者は大脳の思惟活動(こころとしての心)を後者は心臓の駆動力(心臓としての心)の事だと理解できます

水道や水の流れる音をきいたら尿が出たくなったという事からもこころとしての心と関係がありそうだとわかります

ですから中医学では頻尿や過活動膀胱に対して安神作用も重要です

補腎(滋陰や補陽)
固精・縮尿
養心安神
などの方法があります
他に心腎不交・心腎陰虚の場合は滋陰や清心瀉火などの方法が必要になる事もあります
五臓は相生相剋の関係で影響しあい・気血津液精・陰陽のバランスなどみてどんな方法が良いか考えましょう

2020-11-16

新型コロナ渦が長く続いている事で不安感を感じるようになっている方も多くいらっしゃいます

人は色々なシーンで不安を感じます
検査結果を待つ・事故のニュースをみて自分の家族は大丈夫か不安になる・子供の受験は大丈夫かとか色々・・・
思うに不安の原因は自分でどうにかできない事が多いのかもしれません
原因が解決すれば不安も解消されます 
しかし不安状態が長引くと原因が除かれてもいつまでも不安感がとれない事があります
また東日本大震災の時は震災の報道を繰り返し見る事で不安感を抱く人も多かったです
不安の感情は危険を回避する為に人に与えられた自然なものかもしれません
でも不安感だけがいつまでも残るのは困ります

中医学では気血津液の虚や五臓六腑や陰陽のバランスの崩れによると考えます
例えば思いすぎ、考えすぎ、思慮過度により心と脾が傷つくとされています
また強いストレスがかかると胆が虚し、不安感がでる事もあります

心脾両虚の不安感

色々考えすぎていると心血を消耗し、思うは脾の志なので脾も損傷します
また心と脾は相生(母子)関係にあるので心が弱ると脾も弱る結果になります

『心は神を主る』といい色々考える(思惟活動)は心の働きです
心血は心神を養う力なので、心血が不足すると心神の活動も失調し不安・眠りが悪い・動悸などの症状が出ます

又、脾は気血を生む源なので脾の働きが弱ると心血がさらに不足します
さらに脾には“気を上げる”働きもあるので、やる気がでない、疲れやすい、頭がボーっとするなどの症状がでます

コロナ渦であれこれ考えて心が疲れていませんか?
不安感の他・眠りが浅い・よく夢をみる・動悸などの症状がありませんか?
そんな時は養心安神・健脾益気(心をやしなって安らかにし、脾を健やかにして気力アップ)の心脾顆粒がよいです

胆虚の不安感

怖い事があった時「胆(肝)を冷やした」といいます
中医学で『胆は決断を主る』といいますが、どんな時でもどーんと構えて物事に動じない人は胆がしっかりしているからです
しかし、胆が弱る(胆虚)と不安感・色々な物事を決められない・疑い深いなどの症状がでます

新型コロナは感染症そのものが恐いし、罹患者に対する偏見も恐いと感じる人も多いと思います
そんな状況から胆が弱って不安感を感じるようになる人もいらっしゃいます

そんな時、(胆を冷やして弱った)胆を温めるという名前の温胆湯を飲んで見てはいかがですか?

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