頻尿・尿意切迫

尿意切迫や尿漏れの話


尿意切迫・尿漏れでお困りの方も多いと思います
尿が沢山たまらないうちに脳が排尿筋に収縮するよう指令をだしてしまったり、尿道の括約筋がしっかり絞めておけなかったりする為だそうです
中医学で脳の機能面は心(しん)の働きとしています
心は心臓の心でもあるし、物事を考えるこころの心でもあるわけです

頻尿・尿の出が悪い・尿に勢いがないなど排尿の問題は「腎臓や膀胱」に関係していると考えると思います
そういった症状は腎が未熟な子供の頃や腎が弱ってくる年齢になって起きてきます
「腎は生長・発育・生殖を主る」といい人の成長や発育の状態・また老化の速さなども腎と関係しています

腎の陰陽は真陰真陽といって陰陽バランスの中心と考えられます
ですから腎陰虚か腎陽虚かによって使う漢方薬も違ってきます
陰陽は相対的な関係ですから
腎陰虚なら火照りなどの症状が出ますし
腎陽虚なら冷え込みます

腎陰虚でも腎陽虚でも頻尿は起こります
腎陰虚の場合は尿量が少なく・腎陽虚の場合は尿量が多くなります
腎陽虚には八味地黄丸がよく使われます
腎陰虚には杞菊地黄丸や八仙丸など使われますが、火照りが酷い時は瀉火補腎丸を使います

頻尿ばかりでなく尿漏れがある場合は腎陽虚の事が多いです
腎の陽気が不足すると、尿の出る出口をしっかり閉めておく事が出来ずに漏れてしまうからです
この閉めておく力を「腎の固摂作用」といいます
「漏れる」「漏れそう」という状態にはこの固摂作用にアプローチできる中薬が必要です

山薬・・・脾腎固精・縮尿
海馬・・・補腎壮陽・止遺尿
補骨脂・・・補腎壮陽・固精縮尿
山茱萸・・・補益肝腎・渋精縮尿
桑螵蛸・・・補腎助陽・固精縮尿
芡実・・・益腎固精・縮尿
蓮肉・・・養心安神・益腎固精
この中の5種類が入っている食品が『安固丹』です

この腎の陽気は心陽と関係しています
心は上に位置し五行の火と関係し最も陽です
腎は下に位置し五行の水と関係し最も陰です
心火は下におり腎陽を助け、腎水を身体に送る熱エネルギーになります
そのエネルギーにより腎水は上に昇って心の火が亢進しすぎないようにしています(交通心腎)
つまり心火が降りないと腎陽(腎のエネルギー)も不足し、漏れないようにするエネルギーも不足します

年をとらない人はいません
年をとると五臓も衰えます(衰える速さは人によって違いますが・・・)
心も衰えます
病気という事でなく昨用が弱くなるという事です
若い時はよく眠れたのに、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、夢見が多くなったりで寝る前に睡眠薬や安定剤を処方してもらっている人も多くみられます

中医学では「心は神を主る」「心は血脈を主る」といい 前者は大脳の思惟活動(こころとしての心)を後者は心臓の駆動力(心臓としての心)の事だと理解できます

水道や水の流れる音をきいたら尿が出たくなったという事からもこころとしての心と関係がありそうだとわかります

ですから中医学では頻尿や過活動膀胱に対して安神作用も重要です

補腎(滋陰や補陽)
固精・縮尿
養心安神
などの方法があります
他に心腎不交・心腎陰虚の場合は滋陰や清心瀉火などの方法が必要になる事もあります
五臓は相生相剋の関係で影響しあい・気血津液精・陰陽のバランスなどみてどんな方法が良いか考えましょう