その他の病気

2020-06-08

急性熱性病と瘀血

瘀血の原因

ちょっと前に瘀血は何かを書きました(その他の病気…瘀血の話)
ではどんな事が瘀血の原因になるのでしょう
中医学の基礎によると
 1 外傷
 2 炎症
 3 高熱
 4 手術
 5 出産
 6 月経異常
 7 出血性疾患
 8 免疫異常
 9 寒冷
 10ストレス
 11心血管系の疾患
新型コロナの場合2と3肺の炎症や発熱が当てはまります
中医学には温病学があってこれはインフルエンザのような都市型の流感に対応して出てきた学問です
病気の進みを4つに分け一番深く入り込んだ状況を血分としています
出血や瘀血は血の病です

温熱の病と瘀血

清の時代の葉天士は温熱病が身体の中で衛分→気分→営分→血分と進むと考えました
これを衛気営血弁証といいます
衛分証では鼻や咽など肺衛が温熱の邪に犯され発熱・微悪寒・舌突紅・脈浮数や更に喉の腫れ口喝などが現れます
気分証になると温熱の邪が臓腑に侵入気機を阻害します
臓腑により異なりますが共通する症状は高熱・悪熱・心煩・口喝などです
営分証は温熱病の極期で高熱・口喝・心煩・不眠で酷くなると意識がもうろうとしたりします
血分証は虚と実に分類されます
実では温熱が心包を犯せば意識が混濁し、動血すれば吐血・鼻血・血尿や血便など出血傾向となる
また動風すればこわばりや痙攣がおきる
虚は高熱による消耗やもともとの体質により血虚や陰虚になっていて虚熱の症状もみられる
血が熱をもって出血傾向に血熱証といわれています
温病のような外から入ってくる温熱の邪によるばかりでなく、ストレスやイライラなどで化熱した状態から血熱になる場合もあります
*新型コロナやインフルエンザは温病の範疇です
*新型コロナはACE2受容体を入り口に細胞に侵入するそうです
この受容体は口の中に多いそうですが、発熱などで炎症がながびくと肺→血管へと
血管の細胞が炎症するとさらにACE2受容体が増えるそうです
*人の鼻や口腔粘膜は肺衛と言われる所です
風邪はひきはじめの3日が大事です・・・といつも言っていますが漢方薬も早めの服用が大事です

冠心Ⅱ号方と李連達教授

先日リモートの勉強会で李連達教授の話がでました
15年くらい前に来日し講演された事がありました
1958年頃小児のはしか、ウイルス性肺炎が大流行し多くのこども達が急性心不全を併発して亡くなったそうです
当時小児科の医師だった李先生はそれをなんとかしたいと考え冠心Ⅱ号方のような心血管病に効く冠心Ⅱ号方など丹参処方の製剤化に取り組んだのだそうです
当時の風潮として漢方を動物実験のような化学的検証に否定的だった為、機械や材料も自費でそろえて研究をしていましたが、その研究室をとりあげられたりし苦労の末、成果がみとめられました
現在中国で内服のみでなく丹参製剤の注射剤もあります

瘀血の3大症状は『痛む・しこる・黒ずむ』です
肩こり・足腰の痛み・頭痛しやすいなどはありませんか?
目の下のくま・しみ・歯茎の黒ずみなどありませんか?
静脈瘤などしこりはありませんか?
日頃活血化瘀の漢方薬や養生茶をのんでおきましょう

2020-05-06

感染・発熱・解熱剤

昭和29年生まれの私ですが、実家も薬局でした。
昔は“麻疹は一生の大病”といわれていましたが、2人とも家で治したと言っていました。
烏犀角という薬が麻疹の薬として市販されていたようです
名前からして犀角(さいの角)が入っていたのだと思われます
犀角は優れた熱さましですが今はワシントン条約で禁止されています
その両親がいつも言っていたのははしかに感染した時は
1、風にあたってはいけない
2、強い解熱剤を使うと発疹が外にでず、内側(内臓)が(ウイルスに)やられる
という事でした
私はインフルエンザも含めウイルスの疾患に子供たちがかかった時はそれを守ってきました

子供が小さい頃は病院でインフルエンザに強い解熱剤が使われていましたがインフルエンザウイルス脳症がそのせいだとわかり20年くらい前からボルタレンのよう強い消炎解熱鎮痛剤は使われなくなり、熱も38.5℃以上になったら使うよう指示される事も多いと思います(高熱でひきつけを起こす場合は別ですが・・・)

発熱はインフルエンザウイルスなどが身体に入った時に免疫細胞が活動する事によっていくつかの工程をへて脳から体温を上げる指令がでるそうです
体温が上がるとウイルスの活動がおさえられ、白血球の働きが活発になり免疫機能がたかまるそうです
テルモのホームページに解りやすく書いてあります

https://www.terumo-taion.jp/health/temperature/06.html

新型コロナの場合も人の免疫活動と言う意味では同じではないでしょうか?

そういう事においても感染初期に身体の状態にあわせた漢方薬を使う事は身体の働きをバックアップできると思っています

中医学もオンライン

先日、『新型コロナについて(中国における中医学の対応)』についてオンライン講座を受講しました
新型コロナは湿毒疫と考え、基本的病機は疫毒外侵・肺系受邪・正気虧虚です
つまり、外界から疫病が肺経(鼻・のど・気管支・肺など)に入り、正気(免疫力みたいなもの)も弱まる事により病気になる
中国で清肺排毒湯がよく使われたようです
この漢方薬は日本にはないので幾つかの漢方薬を組み合わせることで代用すると良いとの事でした

中医臨床も新型コロナに関する情報が扱われています
藤田康介先生は上海中医薬大学を卒業・博士課程も修了して医学博士で上海東和クリニック中医科に在籍し、日本の学校でも教鞭をとっておられるそうですが、中国における中医学治療について詳しく書かれています

中国において中医学も導入する割合は省によってちがいがあるそうです
武漢のある湖北省は中医学治療の使用率が低く、当局からの指示で改善されたそうです
一方広東省は当初から中医学治療が行われ『肺炎1号方』が考案され症状の緩和に一定の効果があったとして、各指定医療機関で採用されたそうです

藤田先生のいる上海は西洋医学・中医学の双方の特徴をいかした治療が受けられる恵まれた環境で、新型コロナの第一線に中医学の医療チームが送りこまれたそうです

時期や症状の重さの違いにあわせて注腸の方法なども含め治療指針が作られ、その中に回復期の処方ものっています

更に予防に関しても体質を3つに分け薬膳も含め予防法が示されています
未病先防の中医学ならではだと思います

特に虚弱体質には玉屏風散の加味方がとられています
前に書いたように玉屏風散は風邪をひきやすい人の体質強化の為の処方です

オンライン講座で新型コロナによる血栓の話がでていましたが、その後ブロードウエイの俳優が新型コロナの合併症で足を切断したという衝撃的なニュースが流れました
子供たちにも川崎病のような症状が出ているとの報告もありました

この話を聞いた時、ずっと以前に感冒の講義を聴いたときに葛根湯や桂枝湯などの芍薬は現在は白芍が使われているが、原典では赤芍がつかわれているという事を教わった事を思い出しました
赤芍は桂枝茯苓丸や冠元顆粒などに使われている活血化瘀薬にあたります
その時、風邪などの病気になると白血球活動が活発になるが白血球は大きな血球で病気がなおるが瘀血が生じる、それをみこして風邪の漢方薬に赤芍が使われたのだという話でした
漢方処方の奥深さに感心した事を覚えています

2020-04-04

免疫力のある人って?

東京で新型コロナの感染者数が増え、感染爆発の危機の寸前だといわれています
不要不急の外出を呼び掛けています

免疫力というと何を想像しますか?

プロ野球の選手の感染が臭覚異常から判明し、ワイドショーで身体のがっちりして丈夫な野球選手でも新型コロナに感染してしまうなんて・・と司会者の人が言っていました
身体ががっちりしてスポーツができるタイプの人は免疫力がありそう・・・・

免疫細胞がどうのとかIgA抗体がどうとか白血球がどうとかでなく、身体つきや顔貌や動きで判断する…つまり丈夫そう、力がありそう、エネルギーがありそうだから病気にならなそう・・と感じるわけです
ある意味その判断の仕方は中医学に近いかもしれません
ただ中医学は見た目(望診)だけでなく問診・聞診・切診し四診合算して考えます

中医学で考える免疫力

中医学で身体を邪気から守る力を衛気・病邪と戦う力を正気というのは前回書きました
衛気は外邪に身体に入れまいとする防衛の力ですが、正気は体内において身体を害する異物を排除する力です

中医学の基礎には正気を以下のように定義しています
【正気とは生体の臓腑・経絡・気血の機能を正常に保ち、病邪に抵抗し損傷を回復させる能力を指している】
これは臓腑・経絡・気血が正常なら正気はしっかり病邪にそなえることができるという事、逆に弱い所があれば正気も弱くなるという事がをさしています

病気になるかならないかは正気と邪気の力関係にあり正気が旺盛なら邪気に対する抵抗力が増大し病気にならない(正気は旺盛でないが邪気が弱い場合)
正気>邪気・・・無病
逆に正気が衰退していると病気になる(特に正気が衰弱していなくても邪気が旺盛の場合)
正気<邪気・・・発病
つまり発病は正気と邪気の力関係に起因します(邪正闘争といいます)

風邪に対する免疫力

新型コロナは昔で言えばたちのわるい風邪です
風邪は急性上気道炎で新型コロナは上気道から下って肺炎にまでなります

五臓の中では肺系といわれる肺のグループが関係しています
肺は“一身の気を主る”といい肺が弱ければ正気の弱くなり邪気の入り込みやすくなります
また、深く入り込んでしまうとか、治ってもまた罹患しやすくなります

風寒の邪気をうけると初めは体表部に症状がでます
悪寒(悪風)・くしゃみ・鼻水・頭痛・節々の痛みなどです
風熱の邪気をうけると初めは衛分がやられます
衛気の分布するあたりで鼻・のど・体表などです

更に深く入り込むと表から裏へと移行します
臓は裏ですから肺臓も裏ですから肺炎なら邪気が裏に入ったといえます

肺は外界とつながっている為邪気をうけやすく嬌臓と呼ばれています
まず肺臓が弱ければ邪気をうけやすくなります

「あなたの肺はお元気ですか?」
「普段から風邪をひきやすかったり治りにくかったりしませんか?」
「肺は燥をきらいますが乾燥していないですか?」
「肺は貯痰の器といいますが、湿りすぎていませんか?(痰湿)」
「肺は一身の気を主るといいますが、息切れや疲れやすさはありませんか?」
「脾と肺は母子関係・大腸と肺は臓腑の関係ですが、軟便や下痢などありませんか?」

中医学で肺だけを考えるのでなく五臓の相生相克の関係も視野にいれます
肺は心と相克関係・脾と腎とは相生関係・肝は脾を克し肺に影響する場合もあるし、肝気横逆で直接肺に影響する事もあります

自分の状態を把握しそれにあった漢方薬や漢方茶を常用し良い状態にしておきましょう

日々の養生も言うまでもなく必要です
好き嫌いせず腹八分に五味五色の温かい食事をとり、生活リズムを整え・睡眠もしっかりとり適度に身体を動かすなど元気の基本です

風邪(ふうじゃ)が入るのを阻止する衛気

鼻や咽に衛気が分布していると書きましたが、更に衛気は日中体表を回って風邪(ふうじゃ)の侵入から守っています
衛気虚(衛気が少なく弱い事)になると風の邪気をうけやすくなります

風邪(ふうじゃ)は他の邪気を伴ってくるという性質があります
風が吹くと色々なものを巻き込んで飛んでくるのは想像できると思います
寒を伴えば寒気の感冒
熱を伴えば炎症性の感冒
湿を伴えば胃腸型感冒
風・寒(熱)・湿の邪気が経絡に入り込むと関節や筋肉の痛みやしびれになります

玉屏風散(衛益顆粒)は石(玉)の屏風で風を防ぐという名前の漢方薬があります
少し動くと汗をかきやすい自汗タイプで風邪をひきやすく治りにくい人に良い方剤です
方剤学に『黄耆よく三焦を補いて衛を実す・・・』とあります
黄耆が衛気を益し固表(病邪の入り口の守りを固める)
白朮が健脾して気血を作り出して補充し
防風が風を散らす
それぞれが役目をはたして風邪(ふうじゃ)から身体を守る処方です

古典にみる免疫力

中医学の四大聖典の1つである黄帝内経に正気の働きを保つにはどうしたら良いか書いてあります
『外界の虚邪賊風に注意して回避すべき時は回避する』…新型コロナも人から人に移るわ
けですから外出を自粛するのは邪気に対する回避にあたります
『心がやすらかで静かであるべきで・・・・・。そうすれば真気が調和し、精神もまた内を守ってするへり散じることはない。このようであれば病が襲うというようなことがあろうか、と。このため人々の心は閑かで、欲望は少なく、心境は安定していて、恐れることはありませんでした。肉体を働かせても過度に疲労することはなく、正気はおさまり順調だった。』 (『』内は現代語訳黄帝内経素問からの抜粋)

つまり 正気の力を保つに心が穏やかな事と肉体を過度に疲労させないこと。更に邪気を避けることだと書かれています

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