その他の病気

2020-03-07

中医学で考える新型コロナ

新型コロナの初期は風邪症状だそうです
昔から風邪は万病の素といいます

中医学ではかぜではなくふうじゃと読みます
風の性質をもった邪気です
私達を取り巻く外界に風・寒・熱(火)・湿・燥・暑の6種類の邪気があり、風邪もその1つです

中医学ではどの邪気が侵入するかによって戦略が違います
身体を寒くする邪気なら温めて身体をバックアップします
また身体や局所が熱いなど、炎症性の熱邪なら冷やしてバックアップします
なにしろ邪気と戦うのは自分ですから寒を冷やし、熱(火)を熱してしまって状況の悪化をまねき戦うどころではなくなってしまいます

“敵を知り己を知らば百戦危うからず”といいますが風邪・寒邪・湿邪・熱邪などの性質はどうでしょう?
風邪(ふうじゃ)は変化が早く、発展しやすく、他の邪気を伴ってくる、上の方を犯しやすいなどです
新型コロナは何の邪気を伴っていると考えられるでしょう?
怠い・肺炎をおこしやすい・吐き気や下痢など胃腸を犯しやすい・しつこい等・・・これらは湿邪の性質です
(怠い・疲れやすいなど気虚(気が足りない)症状ですが、急に気虚になる事は考えにくく湿邪気の入り込みによって重怠くなったと考える方が適当だと思います)
また高熱・炎症性などは熱邪の性質です
また普通の風邪としがって新型コロナが重症化しやすい、つまり人に対して毒性が強いというふうにみます

こうみていくと新型コロナは風邪が湿邪を伴い 更に寒気が酷い時は寒邪・咽喉が腫れる・喉が渇く・熱っぽいなどの時は熱邪を伴って侵入しているといえます

新型コロナとの闘いに備える中医学の考え方

テレビで医師が言っています
「コロナウイルスに有効な薬はありません」
「薬は対症療法です」
「自分の免疫で治すしかありません」

紀元前の昔には『正気存内、邪不可干(正気内に存すれば、邪は干渉する事ができない)』
正気は免疫力の事です
つまり現代のような抗生物質や抗ウイルス薬のない時代には病気は病邪と正気の戦いで、正気が勝れば疾病が起きず邪気が勝れば疾病が生じると考えたのです

力関係の強弱は量や質の問題もあります
正気の量以上に邪気が多ければ多勢に無勢で負けてしまいますし、強力な邪気なら正気が充実していても互角か苦しい戦いになるかもしれません
マスク・手洗い・消毒は邪気の量を減らすのに役立ちます

中医学で清熱解毒薬といわれるものは邪気の量や邪気の力を減弱するのに役立つと思います
でなければ長い歴史の中で細菌性やウイルス性疾患に使われ続けてくることはなかったのではないでしょうか
因みに板藍根は風邪予防によく使われていますが、中薬学に以下のように書かれています
板藍根は苦寒で下降し、清熱解毒の用薬であり、瘟疫熱病の高熱頭痛・大頭瘟(おたふく風邪)・咽喉腫痛・爛喉丹痧(猩紅熱)など頭面部の熱毒に適している

正気は邪気に対抗する力ですから子供や年配者・他に病気のある人や食生活の不節制・生活リズムの乱れなどで不足します

正気は生体の臓腑・経絡・気血の機能を正常に保ち病邪に抵抗し損傷を回復させる能力(中医学の基礎より)
つまり正気が力をもつ為には日頃から臓腑の弱い所は補い、経絡や血脈の流れが悪ければ通じさせ、気血の不足があれば補い、陰陽のバランスをとる事が大切です
また内生した邪気の瘀血や痰湿を除くようにしましょう

ところで邪気の侵入口は鼻や咽喉で肺衛といわれる部分です
衛気が衛兵のように邪気の侵入から身体を守るってくれています
▶まずは入り口から侵入させない事・・・衛気を高める(益気固表の働きのある漢方薬)
      ⇒黄耆・衛益顆粒 など
▶邪気の量や強さの減弱・・・マスク・うがい・手洗い・清熱解毒の働きのあるもの
      ⇒板藍根・金銀花・連翹・馬歯莧 他

症状がでたら中医学の方法

風邪は早めが大事です
初期に対する漢方薬の使い方はいつもと変わりありません
風寒型(青い風邪)・・・ゾクゾク寒気がする→辛温解表(温かくする漢方薬で風寒の邪気を追い出す
風熱型(赤い風邪)・・・喉の腫れ・口喝・熱っぽい→辛涼解表(熱をさまして発散・清熱解毒)
風湿型(黄色い風邪)・・・身体が重怠い・むかつき、下痢気味などの胃腸症状

新型コロナは中医学的には風寒湿あるいは風熱湿型です
また毒性がつよいので清熱解毒の働きのあるものも必ず加えて下さい

また咳に関しては風寒の時は水っぽい痰を伴う事が多く・風熱の時はむせるような強い咳で痰は出しにくいか黄色い事が多くみられます

*2004年9月発行の中医臨床に『広州を襲ったSARSの記録』という記事が特集になっています
中西医結合(西洋医学+中医学)でのアプローチの記録がかかれています
中医学の治療方針が初期・中期・後期・回復期にわけ 弁証・治法・処方が表にまとめられています
早期は湿熱遏阻肺衛と表寒裏熱挟湿に分け更に熱邪が偏重する場合となっています
その中に私達もよく知る銀翹散や麻杏甘石湯も書かれていました

2020-02-08

以前「瘀血に効く漢方薬を下さい」と言われた事があります
それだけ瘀血と言う言葉が一般の人の中にも入ってきているのか!と思いました

血液サラサラが瘀血の薬と思っている方も多くみられます
これは血液の流動性の事で流動性が悪くなるという事も瘀血の1つです

森雄材著『漢方処方の構成と適応』に血瘀について「現代医学的には微小循環障害とそれにともなって発生する様々な病理的変化とみてよい」と書いてあります

また血瘀はうっ血を主体とした病変に相当するが、微小循環系の停滞(うっ血・充血)・血液の粘度増大・凝固の亢進・血栓・癒着・線維化・瘢痕・血腫などのさまざまな病態とも書いています

血液サラサラは大切ですが、瘀血はそれだけでない事がわかります

例えば血液サラサラといわれるアスピリンは胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こす事で知られていますが、うっ血や充血をおこすなら血液サラサラが瘀血をつくるという事になってしまいます

瘀血によって引き起こされる症状は 【痛む・しこる・黒ずむ】 というのが端的に表しています
著者の森雄材先生は血瘀の症状として
①疼痛
②出血
③血腫・組織変性・組織増殖
④うっ血・血管拡張・色素沈着
⑤月経異常
等で慢性疾患では必ず血瘀になり難治性疾患の多くは血瘀との関連が深いと書いています

疼痛は頑固な固定痛で長く持続し夜間に酷くなる傾向があります

打撲や捻挫 外傷はうっ血と関係していますし、癒着、ケロイド、や線維化等組織の変性や増殖になります

クモ状血管・静脈瘤はうっ血や血管拡張にあたります

月経においては筋腫や内膜症もそうですが月経痛自体も「通じざれば則ち痛む」で瘀血です

瘀血により肩こり・頭痛・健忘・不眠・しびれ・発熱など多彩な症状がでます

瘀血は結果として出てくるもので原因があります

例えば冷えも熱も瘀血になりますし、もちろん怪我などの外傷も瘀血になります
また虚の状態が続くと瘀血になります

瘀血になる原因も考えに入れながら適切な活血化瘀薬を使う事が大切です

2016-09-12

「アルコールとかを解毒する」
「もの言わぬ臓器っていわれていて気がつかないうちに悪化してるんだって」
「脂っこいものばかり食べてると脂肪肝になっちゃうよ」
「脂肪肝は癌化するの?」

 肝臓に関する知識は色々ですが、解毒というのは誰でも考える事だと思います。

 肝臓の働きは解毒だけではありません。肝臓は物質の代謝と関わっていて 胃腸で消化吸収された栄養素を代謝・貯蔵します。

*ブドウ糖をグリコーゲンとして貯え必要に応じてブドウ糖にして血液中に送り出す。
*アミノ酸から大切な働きをする血漿タンパク質などをつくる。
*脂質代謝 脂肪酸の合成や分解・コレステロールやリン脂質の合成
*脂溶性ビタミンやビタミンB群・ミネラルの貯蔵
*コレステロールと赤血球から胆汁酸やビリルビンを作る
*ホルモンの代謝

 こういった働きが『生体の化学工場』と言われる所以です。

肝臓 中医学で『肝は血を蔵す』といいます。実際、1分間に肝臓に1,000ml~1,800mlの血が流れこんでいて、これは心臓が送り出す血液の25%くらいにあたるそうですから、中医学理論にあてはまると思います。生理学がない時代にこの理論をたてたのは、いかに観察力があったかと感心します。

 肝機能障害になると倦怠感・むかつき・下痢といった脾の働きが悪い症状がでますから、これに対してはやはり健脾します。またイライラ・怒りっぽいなど精神不安もおき易いことからも肝の疏泄の働きをよくする疏肝も必要です。

 十年以上前ですが、ウイルス性肝炎に小柴胡湯が効くという事で医療現場でウイルス性肝炎の人に使い、副作用がでて間質性肺炎で亡くる人まで出た事がありました。これは証をみずにむやみやたらに使った事が原因といわれています。中医学に精通している人達は“小柴胡湯は肝臓疾患を中心に年間100万人以上が内服していた。漢方薬全体の売り上げは年間約1,200億円で、小柴胡湯はその約3割を占めていた。”という事実に驚かずにいられませんでした。

 では、小柴胡湯は怖い漢方薬なのでしょうか?小柴胡湯は中医学では和解剤に属します。半表半裏証に使う方剤です。証を誤らず、また肝陰や肝血を補いながら使えば、ウイルス性肝炎にもっと良い結果が出たのではないかと思います。小柴胡湯は疏肝と健脾の働きの両方を兼ねた方剤です。しかし肝陰・肝血を補えないので、これだけで長期の使用はしません。逍遥散なら当帰と芍薬で養血柔肝できます。

 菅沼栄先生監修の弁証論治の本では、肝炎を病因病機から4つのタイプに分類しています。肝気鬱結・瘀血内停・肝陰不足・肝胆湿熱です。肝気鬱結には逍遥散は使いやすいといえますが、どの程度の疏肝剤が必要かは弁証する必要があります。

 黄疸に使われる茵蔯蒿はカワラヨモギの幼苗ですが退黄の働きがあります。そればかりでなく清熱除湿の働きや軽い疏肝作用もあるので黄疸がなくても使えます。菅沼先生は肝炎予防に煎じて飲むといいと書いています。食養生としては 浮腫む時は大豆・ヨクイニン・山芋・アズキ・はすを、脂肪肝の時は山楂子・とうもろこし・ヨクイニンを、出血傾向の時は黒豆を摂る様にすると良いと書いています。

 肝機能の数値が異常になったら早めに漢方薬をつかって、戻す努力をしておきませんか?

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