中医学の勉強会 学術シンポジウム 『神と心 ~中医思推学と善忘について』 鄭洪新教授
■著書 中医基礎理論に関する研究・腎臓精臓象理論の研究
心に神(認知機能がある) 脳の働きは、心・脾・腎・肝の4臓が関係が深い。このことは紀元前からある黄帝内経に書かれています。
心は2つの機能を持つ
1、心臓の駆血
2、脳の思惟機能
髄海に余りがあれば活発に活動できる。髄海が不足すると 耳鳴り、めまい、足腰の弱り、健忘などの症状がでる。人の精神活動は七情(喜怒憂思悲恐驚)といわれ 心が総括している。脾は意思を主るといい、また心と相生の関係である事から脳の機能面の関係がある。
健忘に対する中医学で病因を考えると
①老化
②情志の失調
③体力の弱り(腸胃実而心肺虚)
①久病瘀血
②痰濁上擾
健忘(物忘れ)に対して認知機能の衰え(虚)であるから心と脾を中心に考える。
健脾養心を中心に
瘀血が伴えば+ 活血化瘀
痰が伴えば + 化痰
気滞を伴えば+ 疎肝理気
など弁証論治によって漢方薬を運用する。
養生として
飲食の摂生(肥甘厚味)脂っぽい・甘い物・味の濃い物…痰が作られるためひかえる。
適度に身体を動かす。
生活リズムを整える。
早寝早起き。
酒・タバコをひかえる。
脳トレを行う。
漢方を使いながらも総合的に調節する。
■脳は身体とつながっている事は誰でも理解できます。中医学において五臓六腑はすべて血脈、経絡でつながり、臓と臓、臓と腑の関係も紀元前から解かって、病気に対して、また未病にたいして使われてきました。中医学のこの理論は私たちが健康を守る為に とても役立つものだと思っています。
不妊症とアトピーの関係 植松光子先生
店頭においてアトピーの方の7割が月経異常
血熱による月経異常(体質・食習慣)
血虚・血瘀と乾燥肌
肝鬱血虚、月経前症候群と肌の悪化
妊娠によるアトピーの悪化
産後は乾燥と冷えに注意
アトピーも月経異常も肝腎脾が重要
食生活の重要性
■肌は内臓の鏡といわれます。肌が赤く炎症状態なら 内に熱があるとみます。その熱は実熱の時も虚熱の時もあります。熱とは『体温計ではかる熱』の事だけでなく、炎症も火がある(熱がある)という事ですし、イライラして怒りっぽくなっている時のような興奮状態(亢進状態)も熱と考えます。
■アトピー性の方は慢性的に炎症を持ちやすい状況が持続していますから本質に虚があって熱を生じています。ですから 表面的な炎症を抑えるだけでなく 内側の弱い所に目を向けなくてはいけません。
薬剤師会の勉強会 尋常性痤瘡の新たな治療戦略 マルホ株式会社 ファーマシー事業部 石谷 洋様
■尋常性痤瘡いわゆるニキビ
思春期ニキビ
中学・高校の頃 Tゾーン中心
長期の男性ホルモンの分泌亢進による
大人ニキビ
大人 顎の辺り Uゾーン中心
ストレス・寝不足・不規則な生活・食生活の乱れや偏り
発症
普段 常在菌として皮膚表面を弱酸性に保っているアクネ菌ですが、皮脂分泌過多によって毛穴が塞がれたり、角質によって毛穴が塞がれると嫌気性菌で空気が無いところが好きなので増殖して炎症をおこします。ニキビの治療は増殖したアクネ菌を減らすばかりでなく、塞がった毛穴を開放して皮脂が排泄しやすくするようにします。
西洋医学によるアプローチは抗菌薬の組み合わせを中心ぺリオゲルを使います。
■中医学でもある意味抗菌といえる清熱解毒の方法を中心に治療しますが、女性は月経前に悪化があったり、血の道との関係も考えます。また脂肪や皮脂分泌血が盛んなのは痰湿・痰熱・瘀血などが考えられますので、その点も改善が必要です。