「ストレスで円形脱毛になっちゃった」という話を聞くことがありますが、ストレスはきっかけの1つです。
円形脱毛症は免疫システムの乱れにより 免疫細胞のTリンパ球が毛根を攻撃することで炎症を起こし毛髪が抜ける事によっておこります。軽いものは十円玉くらいの範囲の脱毛から頭全体に及ぶものまであります。自然に治ってしまう場合もありますが、西洋医学的な方法をいろいろしても治らない場合もあります。アレルギー体質や膠原病の人、また遺伝的要因のある人が、ウイルスなどの感染症や疲労やストレスなどをきっかけに発症する場合が多いようですが、原因不明の場合もあります。
西洋医学の薬によるアプローチは主に抗アレルギー剤とステロイドで重症者にはパルス療法と言ってステロイドの点滴による大量療法をするそうです。
■中医学漢方で考えれば
アレルギー体質の人には衛気の不足がある事が多く、膠原病の人は肝腎の不足がある場合がよく見られます。
また遺伝的要因に対しては先天の精がある腎の不足があると考えられます。
腎にある先天の精は脾の後天の精によって補充されると考えます。
そのきっかけのストレスに対しては肝を考えます。肝は将軍とわれる臓で ストレスによって肝が実すると肝気が横逆して他の臓腑の弱い場所に影響します。又肝気が鬱結すると化熱する事もあります。これは体質や性格も絡んでいます。
ウイルスや感染症は熱毒ですから、感染の時点で板藍根のような清熱解毒の中薬を服用しておく方が良いと思います。円形脱毛症の進行期は炎症ですから、この時期清熱解毒の方法を充分とる事は重要です。さらに、体質に対して弁証を行い、滋陰・養血・健脾益気・補肝腎その他の方法で改善をはかる必要があると考えます。髪は血余(血の余り)といいます。ですから『血を蔵す』肝との関わりもあり、『腎の華は髪にある』腎の状態も現しています。
中医学漢方の理論の素である『自然の法則は自然の1つである人にも当てはまる』という事から考えれば、Tリンパ球の自己への攻撃はTリンパ球が本来の役目がわからなくなってしまい暴走している状態は、虚の状態から虚の熱エネルギーによって暴走していると考えられるのではないでしょうか?またそれによって炎症が起きるのは実熱で、進行期は虚熱と実熱の両方を捉えて、漢方薬を選ぶのが良いのではないでしょうか?中医学治療においては標治・本治の両方が必要だと考えます。