季節と病気

2008-03-01

パンダ⑦ 春は五臓の肝の季節です。陽射しも春めいて明るく、木の芽もふくらみ、梅がさいて、さくらのつぼみもふくらんできています。なんだか厚い服を脱いで心も身体も軽くなり、ウキウキして、自然の中で思いっきり身体を動かして遊びたくなります。・・・というのは自然の変化を自然にうけとめた姿です。

 自然界の陽気が育つように、体内の陽気も増えてきます。陽気は生命エネルギーです。この陽気が出てくるのを自然に受けとめ、楽しみながら身体を動かして発散する(多少汗ばむくらい身体を動かす)のが春の過ごし方です。春は心も身体も縛り付けてはいけません。出てきた陽気が発散できずに体内でフラストレーションをおこします。そうすると『肝の疏泄機能』が失調して精神的にくるしくなったり、めまい・動悸・不安定血圧など自律神経と関わった症状がでたり、胃腸症状がでたりします。春はのんびり、のびのび!楽しんで(遊んで)汗をかこう!

 昔から『木の芽時』といって、木が芽吹いてくる時期に心のバランスが崩れやすい事を知っている方も多いと思います。人においても陰陽はバランスよくなくてはならず、平衡の崩れは心にも影響します。肝の疏泄機能は人の身体を動かし維持するエネルギーをコントロールする機能ですから、肝の陰陽バランスは心の働きに大きく影響します。

 3月の中医臨床に江部洋一郎先生が春の花粉症は陰虚内熱陽亢化風(陰が不足した為虚熱による内熱状態で陽気が亢進して風がおきた状態)が多いと書いておられます。花粉症に限らず体調の崩れは身体の物質的な不足(陰の不足)により陽気の亢進が抑えられないために心が落ち着かずイライラしたり、鬱滞してしまったり、時に風が木の葉をゆらすようにめまい・動悸・ふるえ・ひきつりなどもおきます。肝血・肝陰を補うを基本として疏肝・理気・養心安神・清肝火などの方法で心と体調を整えます。

 この春、心のバランスの崩れに漢方茶も利用しましょう。気温の変化するこの状況に、『シベリア人参茶』が身体をバックアップしてくれます。シベリア人参茶は環境ストレスがかかった時に飲むと良いお茶だからです。2001年3月の中医臨床に『益気健脾・補腎安神』の働きがあると書かれています。心のバランスの崩れのみならず、身体がついていけずフラストレーションをおこしやすい方にもいいお茶です。また、「どうも気鬱になって何もやる気がでない。」「気力がわかない」という方には香ロゼアのバラの花の香りが元気を出させてくれます。

2008-02-01

パンダ⑤ 花粉症については以前にも書いていますが、今週は花粉症によく使われる方剤についてです。一番飲んでいる人が多いと思われるのが小青竜湯です。方剤学を見てみると辛温解表剤に分類されています。身体を温めて発汗させて風寒の邪を追い出す風邪薬と言う事です。その働きは?滌飲解表・温肺降逆とかかれています。飲とは体内の不必要な水の事で、これを取り除き、発汗によって邪気を追い出し、肺を温めて肺気(肺のエネルギー)が上逆して咳になってるのを降ろす・・・・という働きが有る事がわかります。これによって小青竜湯を使うのに重用なポイントが2つあるのがわかります。1つは風寒の邪の侵襲。(邪は表にある)
もう1つは水飲が有る事です。

 中医学(漢方)の考え方は『花粉症は風邪(ふうじゃ)によっておきる』です。風を除く必要があるわけです。小青竜湯は発汗力の強い麻黄が使われていますし桂枝の配合で更に強化されています。水飲があるタイプは脾の運化が弱いため、湿がたまる傾向にある人も多いです。花粉症の時期は長くて、風邪との戦いも長期になります。だから扶正しながら解表し、去湿する物がいいと考えますので、風寒型で湿のある方には勝湿顆粒をすすめています。

 では勝湿顆粒はどんな働きでしょう?勝湿顆粒はかっ香正気散加減です。これは解表化湿・理気和中の働きがあります。解表は発汗によって風邪を追い出す事で、化湿は湿を除く事です。理気は胃腸の気滞(エネルギーの流れが停滞している)の流れを改善し中(お腹のこと)を和やかにする。*脾は『生痰の源』 肺は『貯痰の器』 鼻は肺のグループです。*水液代謝は脾・肺・腎がかかわっています。『脾の運化を主る』働きはよい状態にしておく事は大切です。勝湿顆粒は健脾燥湿の働きのものや理気健脾の働きのものの配合によって脾の働きが改善されるようになっています。

 越婢湯は風水挟熱(風邪と水に熱が加わった状態)の時に使います。顔も浮腫んで、熱感があって、咽が渇く時もあります。肺の水液代謝とかかわっている宣発という働きが阻害された状態です。風邪をおいだして肺気を宣発させ、内に停滞していた熱をさまします。さらに白朮をくわえると脾の働きを助けて水の代謝がよくなります。この白朮が加わった方剤を越婢加朮湯といいます。

 葛根湯加川きゅう辛夷もよく使われる漢方薬です。風寒タイプの鼻閉(鼻づまり)にいい漢方薬です。でも、やはり長期に服用するというのはどうでしょう?名前の通り葛根湯は麻黄と桂枝の組み合わせで発汗の強い方剤です。これに宣肺通鼻(鼻の通りをよくする)の辛夷と去風止痛(風邪を追い出し頭痛など痛みをとる)川きゅうが加わったものです。よく葛根湯三日とかいいますが、服用が長期になる時はする気や陰を補いながら服用するほうがいいと思います。ところで辛夷は鼻の通りをよくしますが、蒼耳子もよく使われます。蒼耳子散は蒼耳子・辛夷・白し・薄荷の組み合わせです。

 鼻淵丸も蒼耳子と辛夷がはいっています。鼻淵丸は風熱の邪による鼻づまりや黄色い鼻水・頭痛などの風邪症状や肺経に熱が鬱滞して鼻づまりや黄色い鼻水や頭重や臭いや味がわからないなどの症状に使います。

蒼耳子・・・去風散湿・通鼻竅
辛夷 ・・・散風通竅
菊花・・・疏散風熱・清熱解毒
金銀花・・・清熱解毒
茜草・・・涼血活血・止血

 の組み合わせです。風邪を追い出して鼻の通りをよくして、鼻の熱を清し(さまし)、解毒(菌や熱毒)します。また茜草根によって、血が熱を持つことによって鼻汁に血が混じったりや鼻衄を血熱を冷まし、血の巡りをよくする事で改善します。

 本治(根本治療)を考えるなら衛益顆粒(玉屏風散)は重用です。花粉症は風邪によってひきおこされる症状ですから風邪を防御できる身体作りを考えます。衛益顆粒は衛気を補う漢方薬です。衛気は外邪に対する番人です。身体の気のなかで一番スピードがあって体表を巡り、身体を温め、表を守って風邪の侵入を防ぎます。また、外界と通じる肺の入り口(鼻・咽・気管支の上部)に分布して防衛します。

 漢方の考え方として、アレルギー性鼻炎の人皆は衛気が虚していると言っても過言ではありません。花粉症の季節の前から服用しましょう。またいよいよ花粉症の症状が出ている場合でも衛気を補っておく事は大切です。邪の集まる所、その気必ず虚すといわれています。衛益顆粒で衛気を益しましょう!

 麻黄附子細辛湯も陽虚(冷え)タイプには使われます。花粉症(アレルギー性鼻炎)は風邪によるものですから風邪の漢方が使われるわけです。水のような鼻水が落ちてしまう感じで、手足も冷えやすく身体も温まらないしだるいという人に合います。こんな時でも鼻づまりを伴う事も多いですね。そんな時は通鼻の働きがある鼻淵丸を併用します。

 漢方は症状や体質に合わせて足し算引き算するのが本来の使い方です。葛根湯加川きゅう・辛夷も葛根湯だけでは鼻づまりに効きがわるいので川きゅうと辛夷を加えたと言う事です。蘇子降気湯(平喘顆粒)も花粉症の時に服用する事もあります。鼻炎ばかりでなく咳にもなってしまうタイプの人にいいです。

 これは上実下虚を主治となっています。実とは実しているということで、寒痰の邪気が肺にあって病的な状態になっていると言う事で、虚とは弱って働きも不足している事です。上は肺、下は腎です。肺は呼気を主る、腎は吸気を主るといい呼吸は肺腎の共同作業によって行われます。老化や病気が長引いて衰弱した時に呼吸が浅くなるのは、そういった事と関わりの深い腎の弱りに起因する事が理解できます。

 漢方茶としては

風寒の時はシナモンティー・生姜湯
風熱の時はミントティー・板藍茶
桑の葉茶・菊花茶(香菊花)・・・目のかゆみや充血にも
気虚で疲労感が強い時は香西洋参・シベリア人参茶

 などがおすすめです。

2007-08-01

パンダ⑧ 猛暑になっています。晴天が続いて36度とか、37度とか・・・ところでトルファンという所は45度とか46度とか言っていました。先週、ウルルン滞在記はシルクロードのトルファンでした。ガイドさんが「そこはイスラムの人達で、礼儀を重んじていますので礼儀正しくしてください」といいました。長老が出迎え、皆を紹介し「ここではスイカとメロンを沢山食べなければいけない」といいました。俳優の井坂俊哉さんはお腹いっぱいで苦しくなるほど食べさせられました。

 スイカは天生の白虎湯と呼ばれている食べ物です。解暑除煩・止渇利小便・・・暑さで体内にこもった熱を外に出し、熱の為に脱水ぎみになる身体を潤わせ喉の渇きをいやし、暑さによる煩躁感を除いて、尿をだす。・・・と言う意味です。メロンもまた同じ働きがあるとともに胃腸機能を高めてくれます。水の貴重なトルファンですが水代わりにスイカやメロンを沢山とることによって、習慣的に身体を暑邪から守っていました。

 昨日は40度に!今日も 晴れ 気温上昇中!またトルファンの話です。一家の100歳のおばあさんに「暑くて大変ですね」というと「自然な事だからね」というような返事がかえってきました。過酷な自然を当然の事として受け入れていました。大体の人は昼間は暑いのでゴロゴロして寝て過ごすそうです。外界の陽気が強すぎる時に体内の陰気を消耗しないようにしているといえます。これもまた自然の智恵です。

 陰気を消耗するということは物質的消耗と陽気を抑制する力を失い、代謝・体温など身体の過亢進の状況から引き戻れないという事です。これはとても恐い状況です。ここ数日のような状況の時は本来、日中の冷房のない所でのスポーツや労働は避ける方がいいのです。でもそうはいかない事もあると思います。では未病先防で補気・生津・補陰の物を使うべきです。麦味参顆粒・西洋人参・白虎加人参湯などスポーツドリンク に溶かしてのむのも良い方法です。

 夏の養生の中に使志無怒(怒ってはいけないという事)があります。テレビでみたトルファンの人々は過酷な暑さの中、にこにこして穏かな感じでした。怒は『肝の志』で陽気を伴って上逆します。「陽気が多い時に大怒すると倒れてしまう」と書いてあります。この穏かさが長生きの秘訣でもあると思います。

 今週は極暑とトルファンの事を書いていますが、ウルルンでとりあげていたのはそう言うアプローチではありません。トルファンの人々は古くからテンサン山脈の雪解け水の流れる地下水路を補修しながら守っています。俳優の井坂俊哉さんは深い井戸の中に入り補修をお手伝いしました。中はすごくヒンヤリしているそうです。

 今年は猛暑を通り越して酷暑と言う感じです。心は五行の火です。心火が強くなりすぎると相克関係にある肺がやられます。そうすると秋に肺系の病になります。そうすると冬に風寒や風熱の邪気に犯されます。その為には養生!!漢方で未病先防です。

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