身体の火?

熱があるようですね。
え?私熱ないです。
体温の事をいってるわけではありません。

 病気をおこす原因に六淫(風・寒・暑・湿・燥・火=熱)があります。熱(火)はどんな性質をもっているでしょう?火はメラメラと上に向かって燃えていきます。乾燥は火の勢いを増し、火の勢いがつよいと水分をどんどん飛ばし乾燥します。物は燃えて真っ赤で、物質的にも変化していきます。物は焼けて消耗しなくなっていってしまいます。

 また火は対流をおこすので、風になります。身体の中の火の原因はいろいろ考えられます。ウイルスや細菌の感染が火元の場合もあります。ストレスが原因の場合もあります。精神的ストレスは意識できると思いますが、積極的に自分の意志でつくりだす過労状態は意識できない事が多いと思います。人の身体の注意信号である疲労感は達成感によって隠蔽されやすいものだそうです。火はエネルギー的なもので燃えりには燃料がいります。火と燃料のバランスも大事です。人の身体は自然の世界に存在し、その法則があてはまります。火は燃えすぎれば消耗します。

 また 火が強くなりすぎると、火が火を呼び燃え広がって燃料を焼き尽くします。とてもちょっとやそっとではおさまりません。ストレスで イライラ・カッカ・怒りっぽいなど火の有る状態です。ストレスにより気の停滞がおこっている状態(肝の疏泄作用)が失調していますが『肝気鬱結』といいます。

肝鬱は火に変化します。・・・肝鬱化火

 これは体質にもよります。陽性の体質(身体が陽の方に傾いているタイプ)は化熱し易いといえます。また、同じストレスを受けても身体や心のダメージは人によって違います。ストレスがあっても上手にかわせる人もいますし、まともにガッチリ受けとめてしまう人もいます。肝鬱が化熱し火になると乾いてより消耗しやすくなります。身体の中の事が外に現れてくる事も多いです。

 皮膚の紅潮・紅斑・出血斑など、赤は火の色です。火は身体の奥深く血分に及んでいそうです。原因は発熱・ストレス・過食・偏食(辛いもの・刺激のあるもの)・陰虚(潤いや身体の基盤の不足)・過労など色々考えられます。血熱なら不眠や落ち着かないなど心の症状も伴う事も多くみられます。身体の火が炎上するのは、どんどん燃えて歯止めがかからない恐さがあります。すべて焼き尽くせばもう火もなく物質もなくただ 冷え込むのみで生命の火もつきてしまいます。

 火の勢いが強ければ、見合うだけの力で対抗すべきです。なまじっかな量では対抗できません。燃え盛る火に対してチョロチョロ水をかけていても、無駄に等しい時もあります。漢方の場合、そのときは思いきって清熱の漢方薬や漢方茶を総動員して消火にあたらなければなりません。また、消耗した分も補わなければ身体がもたないので、滋陰清熱も必要になる事も多いと思います。火を見た時は火力と消耗の度合いをしっかり考慮すべきです。

 機関車は適度な火力で走ります。火力オーバーでは暴走します。身体のサイクルの“行きすぎ”や“早い”という感じは火が大きいとみます。例えば生理周期が短い・脈は早いなど余分なエネルギーが働いている状態も火です。免疫異常も火が多い進行性の病気も火が多いと思います。ただ退行的に進む場合は虚が多いと思っています。火も虚から生じた虚火な場合もあります。火は命のエネルギーですが、命の火の源も保持しつつがよいのです。