瘀血の話

以前「瘀血に効く漢方薬を下さい」と言われた事があります
それだけ瘀血と言う言葉が一般の人の中にも入ってきているのか!と思いました

血液サラサラが瘀血の薬と思っている方も多くみられます
これは血液の流動性の事で流動性が悪くなるという事も瘀血の1つです

森雄材著『漢方処方の構成と適応』に血瘀について「現代医学的には微小循環障害とそれにともなって発生する様々な病理的変化とみてよい」と書いてあります

また血瘀はうっ血を主体とした病変に相当するが、微小循環系の停滞(うっ血・充血)・血液の粘度増大・凝固の亢進・血栓・癒着・線維化・瘢痕・血腫などのさまざまな病態とも書いています

血液サラサラは大切ですが、瘀血はそれだけでない事がわかります

例えば血液サラサラといわれるアスピリンは胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こす事で知られていますが、うっ血や充血をおこすなら血液サラサラが瘀血をつくるという事になってしまいます

瘀血によって引き起こされる症状は 【痛む・しこる・黒ずむ】 というのが端的に表しています
著者の森雄材先生は血瘀の症状として
①疼痛
②出血
③血腫・組織変性・組織増殖
④うっ血・血管拡張・色素沈着
⑤月経異常
等で慢性疾患では必ず血瘀になり難治性疾患の多くは血瘀との関連が深いと書いています

疼痛は頑固な固定痛で長く持続し夜間に酷くなる傾向があります

打撲や捻挫 外傷はうっ血と関係していますし、癒着、ケロイド、や線維化等組織の変性や増殖になります

クモ状血管・静脈瘤はうっ血や血管拡張にあたります

月経においては筋腫や内膜症もそうですが月経痛自体も「通じざれば則ち痛む」で瘀血です

瘀血により肩こり・頭痛・健忘・不眠・しびれ・発熱など多彩な症状がでます

瘀血は結果として出てくるもので原因があります

例えば冷えも熱も瘀血になりますし、もちろん怪我などの外傷も瘀血になります
また虚の状態が続くと瘀血になります

瘀血になる原因も考えに入れながら適切な活血化瘀薬を使う事が大切です