人も自然の仲間

パンダ① 天人相応というのは中医学(漢方医学)の根底にある思想です。『自然界の中に人間は存在しているので、自然界の法則は人にもあてはまる。』・・・というものです。この考え方に共鳴しています。人間だけが特別ではありません。立ちっぱなしだと足が浮腫むのは水が停滞するからです。水は上から下に流れるのは自然の法則です。水を下から上に上げるにはエネルギーが必要です。ポンプを使うとか、毛細管現象とかが考えられます。人の身体においては心臓というポンプの働きは重用です。また、足の血管平滑筋の働きでひきしめて上に送るのも大切です。

 これは気の推動力です。例えば血液の循環について考えてみます。脈管内には血が流れています。血は脾の運化作用と肺の気化作用によって生成され、全身を巡って組織器官を滋養します。血は気の推動作用によって全身を巡ります。血という物質が動くためには気というエネルギーが必要と言う事です。もしエネルギーが足りなければ巡りが悪くなります。またエネルギーが一定でないとフラストレーションをおこして停滞します。これが気滞です。気が停滞すれば血も停滞します。長引けば『瘀血』になります。

 電気のおかげで夜が明るくなって、夜でも昼のようにすごせるようになりました。夜お買い物もできます。でも、人が自然にもっているリズムはどうでしょう?人の目は暗いところでもよく見えるようには出来ていません。人は昼活動し、夜休むようにできているのです。それが、自然のリズムです。

 中医学(漢方)において、人体の陽気の運行は明け方から昼にかけ外へと向かいまた旺盛になり、昼過ぎから下降して夜には内に入るので人は眠りにつくと考えられています。これは丁度朝に日が出て昼に高く昇り、夕方日がおちて夜がくるのと同じです。この陽気の運行がバランスを崩すと身体に支障が出てきます。

 風邪で熱を出した時、水分補給するのが大事なのは何故でしょう?熱は身体を乾燥させます。日照りの時は土も乾きます。身体も熱で水分不足をおこしやすいのです。水量が減れば川の流れが悪くなるように、人間の身体の血の巡りも悪くなります。病気になるとウイルスや菌をやっつけようと白血球が増えますがこれも瘀血をつくります。風邪の漢方につかわれている勺薬は白芍ですが、もともとは瘀血を去る働きをもつ赤芍だったそうです。故人の知恵の深さに驚くばかりです。

 健康の為に、1日に2リットルの水を飲んで体調を崩している方がいます。夏、暑いときは汗で出てしまうので沢山の水が必要です。その時でさえ汗で出てしまうのは水だけではないので電解質の補給も必要です。脾胃の働きが弱くて水分の代謝が悪い人、よく食べ胃火が強い人とでは違います。例えば植物も水がたっぷり必要な物もあれば、サボテンのようにあまり水がいらない植物もあります。また、暑い時や風が吹いて乾き易い時は充分に水をあげますがジトジト湿っぽい季節にやりすぎると根腐れしてしまいます。人も自分の状態に合わせた水分の摂取が大切です。