沢山の人が血液さらさらは大事と思ってるので、「瘀血」については理解しやすいですね。とても大事な事なのに解かりにくい事が沢山あります。例えば、傷陰(陰をきずつける)とか。肝腎不足とか。「陰て傷つくものなの?肝腎が不足するって何?第一肝・腎て肝臓や腎臓のことじゃないの?私、肝臓も腎臓も悪くないけど・・・」肝や腎のことは前にも書いてありますが身体のバランスをとる上で重要な臓です。難病といわれるものは肝腎不足からくる場合が多いようにみえます。だから肝腎を大切にしてほしいと思います。
肝腎の不足すると自律神経やホルモンなど、身体の調節機構に異常を生じます。なぜなら肝は血を蔵し、疏泄をつかさどり、腎は精を蔵し、生長・発育・生殖を主るからです。肝は疏泄機能によって血液の流れや胃腸の蠕動などをコントロールしていて、自律神経の働きと近いものがあります。腎の生長・発育・生殖を主る働きもまた身体のコントロールに重要です。
精は生命維持にかかせない重要な物質でこれをもとに身体の成長や発育過程の変化や生殖機能にかかわっているということにより、ホルモンなど身体の調節にかかせない物質と腎は関係が深いことがわかります。ですから肝腎は身体を平衡に重要な役割を果たしています。
肝陽上亢と言う症状があります。肝の陽気が制御できない状態になって疏泄機能が失調してしまい落着かず怒りっぽくなります。また、肝陽は上逆して上の方を乱すので頭痛・めまい・耳鳴り・目の充血などの症状をおこします。この症状の前段階は肝腎陰虚です。その前として肝腎の不足があります。 肝腎陰虚(身体の物質的消耗)になると心神(心臓や大脳の働き)が滋養できず不眠・動悸・健忘の症状がでたり、筋骨が滋養できずに足腰がだるいなどの症状がでたりします。
肝陽上亢は怒りっぽい性格やストレスから出ている症状ではありません。肝陰・腎陰が損傷しているため陰が陽を抑えられなくなっている為におきている症状です。こういった思考過程は中医学(漢方)独特のもので、しかも実際に人の身体は中医理論の通りに進みます。経験の賜物だと思います。
更年期障害も基に肝腎不足があります。女性は血から衰え、男性は精から衰えるといいます。肝は血を蔵し、腎は精を蔵します。肝腎の蔵の中は不足してきているので円滑な営みができずにいろいろな症状がでてきます。また肝は疏泄の働きで気の巡りをコントロールしていますし、腎に蓄えられた精は他臓に分け与えられていますので、もともと弱い部分に影響がでてきます。だから症状を改善する漢方薬(標治)と不足した肝腎を補う補肝腎の漢方薬(本治)がひつようです。
「ポリープがあります。」とか「漿液性の良性腫瘍があります。」といわれたらすごく心配して治療しようと思います。「内臓肥満です。」「中性脂肪値やコレステロール値が高い」といわれたら少し心配して改善のしようとすると思います。でも痰湿がありますとか痰湿ができやすいタイプといわれてどうにかしようと思う人は少ないと思います。
心配する結果が出てきた原因は痰湿です。痰湿の出きる原因は1つではなく治法もいろいろですが気血津液の円滑な巡りに滞が生じた結果である事は明らかです。人体という一つの世界を中医学を通してみると、大事なことがみえてくると思います。