肝の話

 新潟大医学部の阿保先生が自律神経が白血球の働きを支配しているということを『免疫革命』という本の中で書いておられます。自律神経というのは『肝の疏泄を主る』という働きと近いものがあります。この疏泄を主るという働きを中医学の本で見てみると4つの機能に分類してあります。

1、気機の調節
2、脾胃の運化機能の促進
3、胆汁の分泌、排泄機能
4、情志の調節 

  
 1,気機の調節とはどういう事でしょう。五臓・経絡・その他身体の器官の活動に関係している気の動きを調節しているということです。この働きが失調すると気の流れが悪くなったり鬱滞し、肝の経絡部分に脹るような痛みや不快感を感じたりします。また、肝は剛臓で『昇を主る』のでこの働きがオーバーヒートすると『肝気上逆』となってイライラして怒る・頭痛・眩暈、さらにひどいと失神することもあります。

 脾胃の運化機能ってなに?

 私たちは食べたり飲んだりする事で栄養や水分を吸収し、身体の原動力にしています。この栄養や水分の吸収や代謝を運化といいます。“脾は運化を主る”といいますが、この働きを円滑に行う為に肝の疏泄機能がかかわっています。肝の疏泄が失調すると脾の昇清・胃の降濁(身体に必要なものを体に昇らせ、不必要なものを降ろしていくという働き)もうまくいかなくなります。その時は肝気が脾や胃を犯したと考え、肝を治療することで脾胃の症状を治します。

 肝の疏泄機能は胆汁の分泌・排泄にかかわっているので、肝気が鬱すると口が苦い、消化不良などの症状があらわれます。情志の調節も肝の疏泄機能とかかわっています。肝の疏泄機能が正常なら、気機は円滑に機能し、気血は調和するのでのびやかで明るくなります。疏泄が失調すると肝気がオーバーヒートしてイライラ怒りっぽくなったり、肝気が鬱結してうつ状態になったりします。心と身体はつながりは双方向。気持ちのスイッチの入れ替えで疏泄機能が改善すると体の機能も動き始めます。

 『肝の疏泄』は身体のコントロールセンターのようです。肝は『将軍』です。調子を崩すと色々な所に横槍をいれます。

胃痛に胃の薬?
動悸に心の薬?
咳に肺の薬?
排尿異常に腎の薬?

 その症状は『肝』からきていませんか?肝からきているなら治法は『疏肝』『理気』『瀉肝』『柔肝』などですが『補血』『滋陰』も必要だったり複雑な場合多いです。

 肝の疏泄が失調していませんか?肝気が鬱結してます。肝鬱化火でイライラが強くなってます。肝の腑の胆が弱って不安感がでています。肝が失調している人は多そうですね。