漢方薬の薬効 

 漢方の症ってなに?あの漢方もこの漢方も更年期障害ってかいてあるけど?漢方は漢方の見方に基づいた薬効があります。逍遥丸の効能・効果を見てみると“冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症”となっています。方剤学に書かれた遥散散の効能は“疏肝解鬱・健脾和営”です。簡単にいえば“肝の疏泄の働きを改善して気の鬱滞を解き、脾を健やかにして栄養する営みを調和する”という効能をもった漢方薬ということです。この薬効を理解し運用するには五臓の『肝』や『脾』の働きを理解してなければなりません。

 昨日の講演はとても有意義でした。中国から来たトン先生は演歌歌手の細川隆似でなかなかの男前。先生は中国中医科学院・広安門病院(日本の東大病院にひってきするとか)の副院長で糖尿病の研究をしてこられた方です。糖尿病の合併症予防に活血通絡排毒がいかに重要かが理解できました。

 では逍遥散はどんな状態の時使う漢方薬なんでしょう?『肝鬱血虚、脾失健運』となっています。肝の血が不足し、肝の疏泄の働きも失調してるため鬱滞している。脾も弱って、正常な運化ができないと言うです。つまり血虚タイプでストレスに弱く、胃腸の働きが弱かったり、水分の代謝がわるかったりするタイプの人は合ってるということになります。この状態であれば老若男女誰に使ってもいいと言う事です。効能書きをみると男性には「女性の漢方薬じゃないの」と言われそうですね。

 鬱滞するものは熱をもちやすい性質があります。逍遥丸をつかうような症状が化熱するとイライラがつよい・おこりっぽい・顔が紅潮する・口が乾くなど熱の症状がでてきます。肝鬱化火といいます。この時は逍遥散に火を消すものをいれます。牡丹皮と山梔子がそれにあたります。逍遥散+牡丹皮+山梔子=加味逍遙散です。体質が陽性の人は化熱しやすいので加味逍遙散があってますが、化熱もないのに冷やすのはよくないですね。

 脾はとても重要です。東西南北の方位の中央にあり、飲食物から気血津液をつくり五臓を養っています。肝鬱とは肝の疏泄という身体の気機を調整する働きが悪いということで、気が鬱滞してスムーズに流れない。血は気というエネルギーによって流れているので、その気が鬱滞すれば血もまたスムーズに流れない。状態が長引けば瘀血になります。それを気滞血瘀といます。

 肝鬱血虚・脾失健運の症状に「痛む・しこる・黒ずむ」の瘀血の症状が加わる事もしばしばです。そうなったら逍遥散+活血化お薬という処方構成にします。もし脾の運が失調した為、「痰」の存在が明らかなら(+化痰薬)とします。身体に合わせて使います。

 **頂いた薔薇の花がやっとひらいて喜んだら、蕾が2つ落ちてしまいました。見ると花の首の所が細くなっていたので水や栄養がいかなくなってしまった(瘀血)みたいです。お水たっぷりが好きなタイプなんだと思い受け皿に残るくらいたっぷりあげました。あと2つの蕾は絶対咲かせるぞー! **

 漢方薬は身体を調整するものなもで、崩れたバランスの調整になるように使わなくては意味がありません。その為、気虚・血虚・陰虚・瘀血…など中医学の見方が大事なのです。例えば不眠に効く漢方薬と一口にいっても酸棗仁湯・天王補心丹・帰脾錠・温胆湯・牛黄清心丸など、それぞれ方意(方剤が意味する所)が違います。

「眠れる漢方薬をください。」
「それにはこれがよく効きます」

 こうだったらいいのですが、そう言う具合にはいかないのです。漢方薬は病名とのつながりより、体質や現れている症状とのつながりを重視していい効果がえられます。『同病異治、異病同治』…同じ病気なのに治療方法が異なっているし、異なった病気なのに治療方法が同じと言う意味 この言葉に漢方薬をつかう意味が込められています。

寒か熱か?
湿気か燥か?
虚か実か?
陰か陽か?
表か裏か?
気血津液は?
五臓は?????

 これらのアンバランスを正す事が自然治癒力アップにつながります。1つの植物の持つ薬効だけをたよりに使っていって、その結果、寒を寒し、燥を燥しというふうにアンバランスを助長してしまう事のないように気をつけましょう。