昔々、人と自然は仲良しでした。・・・というより自然の声を聴きながら生活するしかなかったのだと思います。 雨・風・寒さ・暑さ・乾燥など季候の変化に敏感だったり、危険を察知しなくてはならなかったり、その為五感は研ぎ澄まされていたのではないでしょうか?
漢方の歴史は原始時代からあります。この時代に人が身を持って薬効を体験していって今に至っているわけです。神農は百草を嘗め、一日にして七十毒に遇う・・・とかかれています。(神農はその時代のなかで薬物を見出した人々の総称です。)科学的証明があってもなくても明らかな事は世の中に多々あります。
例えば「太陽は東の方から昇り、西に沈みます」といった時、科学的に証明されなければ信じないという人はいないでしょう。人は生まれてから20歳くらいまで成長して35歳くらいから老化し出すわけですが、ずーっと成長しつづけてる人や老化しない人はいません。証明がなくても体験からして当たり前になっている事ってありますよね。
この体験、経験、を基に身に付けた理論が漢方の根底に流れてると考えています。黄帝内経に四季に合わせて生活することで病気にならないと書いてあります。今は冬です。どんな風に過ごすのがいいと思いますか?冬のポイントは寒いという事です。まー!当たり前な!と思うでしょうが、実際 それにあわせて過ごしていますか?寒さは陽気を弱めます。冬は陽気を守らなければなりません。ではどうやって守りましょうか?
漢方薬は身体に合わせて使います・・・という事は解っている人も多いと思います。でも合わせるってどういう意味でしょう。冷えていれば温めるものを!くらいの事は理解できるとおもいます。乾いていたら潤すものを!それは解るけど潤す物ってなに?
という感じだと思います。また単純分けられない事も多くみられます。
足は冷えてるけど顔は火照ってるなど冷えと熱が入り混じった状態を経験した事のある人も多いと思います。気血津液の状態といったって 聞きなれない人もいますし、「さらに五臓の脾に問題があります」とかいわれても「それって何の病気?」と感じる事もあると思います。だいたい 気血津液や五臓六腑が充実していれば健康といわれても「何のことやら?」でしょう。ですが、だから良いわけです。西洋医学と違ったものの見方、病気の捉え方でアプローチするから西洋医学でうまくいかない部分で漢方が力を発揮する時があるんです。
健康食品は考え方は西洋医学と同じです。成分の働きを分析して、動物実験をし、人に使ってデータ‐を集め○○に効果があったとする使い方です。いわばプチ西洋医学です。現代において漢方も 分析、臨床データ‐から○○の薬効があるから使うという西洋医学的手法で用いられる事が多くなっています。それでは、本当の漢方の力は引き出せないのではないでしょうか?漢方的見方で人の身体を観る事が大切です。