陰陽と身体

パンダ⑤ 陰は物質面で血精津液が属し、陽は機能面で気が属します。ですから、陰虚とは物質面の不足と陰の静止や抑制的な性質が弱まっている事をいいます。陰虚の火照りが体質が陽性で暑がっているのかを区別しなくてはいけません。なぜって陰虚のほてりは物質の不足からきているからです。

 黄連解毒湯は三焦の実熱を冷ます漢方薬ですが、この実熱と言う言葉は重要です。陽性体質で実熱のあるひともだけでなく、陰虚熱の人も飲むと効く感じがするかも知れません。でも陰虚の人は陰(血精津液)を補う滋陰剤をつかいながら熱をさまさなければ身体は消耗してしまします。陰陽互根、根は同じなので陰がすくなくなると陽も少なくなっています。だから上から水をかけて火力を弱めるような事はしてはいけないのです。

 しっかり不足を補充しながら熱や過亢進の状態を抑えなくてはいけません。陰は物質的基盤ですから、陰は消耗しないようにしなければいけません。血の不足は陰の不足に発展します。血は陰血ともいわれ陰のうちです。

 『当帰補血湯』という方剤があります。『大出血のあとに生じる顔面紅潮・体表部の熱感・つよい口渇で水分を欲するを治す』となっています。貧血 冷え性 などのイメージとちがって血の不足が酷くなると熱感が生じるのがわかります。この方剤は補気薬の黄耆と補血薬の当帰で、補気薬が大量に入れてあるのが特徴です。『有形の血は自生することあたわず、無形の気より生ず』という考えによるものです。

 陰陽互根・・・陰陽の根は一緒です。身体の陰陽のバランスの大素締めは腎です。腎の陰陽は真陰・真陽とか元陰・元陽とかいわれます。腎が衰えると陰陽バランスがくずれてきます。西洋医学で代謝の亢進・低下にかかわっているものは?と考えると甲状腺です。また、平滑筋や血管や分泌物にかかわっているのが自律神経系です。また、ホルモン系のフィードバックシステムなど陰陽のバランスともいえる機能が身体を取り巻いています。

 陰と陽はどういうことなのか少しはお分かりいただけましたか?

 人体において陰を養うということは血や精や津液の不足を補い、不足による虚熱をとることで、陽を補うということは機能面の回復・エネルギーを増やす事と身体を温めることです。もし治療法がないといわれる病気になったとして、この陰陽の調節の努力をすることの意義をどう考えますか?私は何時だってあきらめないで努力したいって思っています。また、努力の方法を与えられている事に感謝してます。