胃腸と病気

2006-08-01

 便秘は大腸の病変です。『大腸は糟粕の伝化を主る』といい、小腸から送られてきた糟粕の水分は再吸収し糞便を作り、肛門から排泄します。これを大腸の伝導変化といい、円滑に営まれる為に胃・肺・腎の協力が必要です。まず、『胃は降濁を主る』といって濁陰(糟)を下に送って行きます。

 胃の働きが失調すると便の排泄もうまくいきません。肺は大腸と臓腑の関係です。肺は粛降作用で肺気を下の降ろします。肺気というエネルギーは大腸の伝導に必要です。肺の働きが失調しても便の排出は影響されます。

 腎もまた大腸の伝導作用に関係しています。『腎はニ陰に開竅する』『腎は二便を主る』といいます。腎陰虚の為、腸の潤いがなくなると腸燥便秘になります。また、腎陽虚で身体全体が冷え込んでエネルギー不足になると大腸の伝導のエネルギーもなくなり便秘になります。便秘は身体の他の部分の影響をうけているので、便秘の状態が身体の状態を教えてくれる指標になる事も多いです。

 便の状態からも便秘の原因を考える事ができます。

便が乾燥して硬い時は大腸に潤いがないかな?とか
熱をもっているので乾いてしまったかな?

 と考えます。便が硬くないのに便秘なら、

押し出す力が不足してるかな?

と考えたり。出口でかたまってしまっている時もやっぱり押し出せず出口にたまっちゃったんだと考えれます。ガスばかりでたり、出たい感じなのにあまり出ないときはエネルギーのかかり方が一定していない(気滞)かな?と考えたりします。

 中医学の教科書といわれる『中医内科学』で便秘は熱秘・気秘・虚秘・冷秘の4種類に分けられています。このうち虚秘はエネルギー不足(気虚)と滋潤不足(血虚)に分けられます。気虚の便秘について考えてみます。

 気虚の便秘は肺の弱さ影響しています。肺と大腸は臓腑、表裏の関係だからです。肺気不足のため大腸の伝導作用が失調して便秘になっています。治療の主体は肺に力をつけることです。肺と脾は相生の関係にあるので、肺と脾を補益します。黄耆を中心とした方剤を主につかいます。肺気不足で働けない大腸に「これでもかっ」と下剤をつかって腸を蠕動させてると、ますます大腸がくたびれてしまい、下剤の量が増えてしまいます。

 滋潤作用を持つ血の不足により腸管内が乾燥し易くなって便秘するのが『血虚』の便秘です。血は陰に属しますが、陰分の全体の不足(陰虚)により更に乾燥による便秘はひどくなります。また、痩せる、口が乾く、空咳などの陰虚症状も伴う事も多く見られます。滋潤不足ですから便は固くなります。補血薬の当帰や補肝腎・益精血の何首烏は潤腸通便作用(腸を潤し便を通じさせる)があります。腸管の健康を考えるなら滋潤するものが主で下剤は従にすべきです。

 冷えが酷く代謝が落ち込んでなる便秘は冷秘といいます。陽気が不足し、大腸の伝導が無力になるため便が出口に溜まって排出困難になります。治法は温陽通便(陽気を温めながら便を通じさせる)で、済川煎をつかいます。これは腎を温め陽気を補い腸を潤して通便する肉じゅ蓉が主薬で養血・潤腸通便の当帰がこれを補助します。芒硝、大黄などの下剤は使ってはいけないとなっていますが、冷えの厳しい人でも便秘に下剤を使う事が多いと思います。下剤を使ったとしても、必ず海馬補腎丸、補血丸、腎気丸のような温腎薬を主とするべきだと思います。でなければ、ますます冷えて代謝が落ち込んでしまいます。

 便秘一つとっても全身を考える事は健康に通じます。下剤は便を出すという薬効はあるので便を出すという目的は達せられるかもしれない。でもそれでいいのでしょうか?

2006-05-01

「数日前に食べ過ぎてからどうも胃腸の調子が悪くて・・・」
「それは食積だよ。」

 食べ過ぎという行為によって脾胃の働きに支障をきたした状態で傷食といったりもします。脾の運化が失調したため滞りがあります。他に宿食ともいいますが宿便も宿食のうちだと思います。この状態は過食・偏食によっておこる時と脾胃が虚弱なためおこる時と2通りあります。このとき消導薬を配合します。消導とは消積導滞ともいい、飲食による積滞を消したり、導いて体外に出すと言う意味だと思います。消導薬はいわゆる消化薬のようなものですが、単なる消化剤とはちがってもっと意味が深いものです。

 食積につかう代表選手は『保和丸』です。山楂子・神麹・半夏・茯苓・陳皮・連翹・莱服子で構成されています。このう山楂子・神麹・莱服子は消導薬です。陳皮と半夏は行気化滞・和胃止嘔(胃腸の気をめぐらして滞を動かし、吐き気をなくして胃を和ます。)茯苓は健脾利湿(胃腸の働きを健やかにして、不用な水を代謝させる)連翹は清熱散結(滞りによって発生した熱をさます。)保和丸は残念ながら日本にありませんが応用はできます。

●勝湿顆粒+晶三仙+五行草茶
●二陳湯+晶三仙+五行草茶
●六君子湯+晶三仙+五行草茶

 お腹の張りが強い時はさらに大甘丸を加えます。

 *連翹や五行草茶を入れる理由について私なりの考えを書きたいと思います。

 連翹・五行草茶(中薬名は馬歯けんです。)は清熱解毒薬に分類されます。清熱解毒薬とは化膿性・炎症性疾患に用いて効果があるものです。腸の中に飲食物が停滞していると腸の中の常在菌が

ごちそうがいっぱい!仲間をふやすぞー
・・・という結果に・・・

 そのため腐臭のあるゲップが出たり、卵のきみが腐ったような臭いおならや便が出たりします。だから連翹や五行草茶を加える必要があります。

 4月の勉強会で、中医学講師の何先生が皮膚病の話の際五行草茶についてこんな話をしていました。

何先生
「東洋人は欧米人に比べると牛乳など動物性タンパクの分解能力が弱い。そのため腸管内に残った糟が毒になって皮膚病を悪化させている。五行草には、その毒になったものを消す働きがあります。」

 五行草は昔は赤痢につかわれた薬草です。抗生剤はその薬に感受性のある菌を全部殺したり、抑え込んだりしますが、漢方の抗菌の働きはちがうみたいです。身体が身体にとって悪い菌をやっつけれる状態にするものという感じがします。

 漢方の清熱解毒は身体におだやか

 中薬学の中にのっている消導薬は山ざ子・神麹・莱服子・麦芽・穀芽・鶏内金の6つです。どれもこれって食品じゃないの?というようなものばかり。
晶三仙は山楂子・神麹・麦芽でできています。こんなもので消化が助けられたらラッキーと思いませんか?

 家中のの者が大好きな漢方の養生食品の1つです。 

おいしくて食べ過ぎた・・・食後に1~2袋
ダイエットしなくちゃ(中性脂肪が多い時も)・・・食前に2袋
もたれてきちゃった・・・その場で1袋
チョコや揚げ物とか食べるとにきびが…食べた時に1~2袋
にきびが出来ちゃった・・・五行草茶も加えて
補腎・補血のものを服用する時・・・効き目アップの為 半分~1袋

 その他いろいろ食積がからんでいると思った時は必ず使います。

 山楂子は甘酸っぱい木の実でお菓子にもつかわれます。肉食油膩の積に適しています。消食の他に破気化おの働きがあり、お血による生理痛などにもつかわれます。

 神麹は小麦や麩や小豆や薬草の汁などを混和して発酵させたものです。つまり酵素食品です。酒食陳腐の積に適しています。「晶三仙は二日酔いに効きますね」といわれたことがありますが、この為だと思います。

 麦芽は米・麺・芋などの消化に適します。また、消食だけでなく脾胃の働きを良くします。他に舒肝(肝をのびのびさせる)働きがあり、生理前に乳房が張って痛むのを改善します。断乳にも用いられますが、そのときは大量に使います。

 晶三仙みたいな簡単なもので解決するから食積なんてどうってことないわ。などと言ってはいられません。食積は脾胃を損傷するからです。また、食積によりが脾の運化失調が長引いて、湿がこもり熱を生じます。食積と湿熱が胃腸の気機を阻滞するとお腹は張って痛み、便秘や下痢になります。下痢は臭く、下痢した後もスッキリせずお腹が痛みます。この時使う漢方薬の代表選手は枳実導滞丸です。熱をとりながら積を排泄する方法で、脾胃の保護も方中に考えられています。

 自分の脾胃の力を知って食するのが1番です。

でも、ついつい!
そのときは食積にしないうちに晶三仙を利用しましょう!!

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