平成31年2月勉強会

2月の勉強会は仝選甫先生の「眼科疾患について」の講義でした

仝先生は昨年成都中医薬大学病院の耳鼻科研修の際、引率してくださった先生で、中医五官病の専門の先生です
五官とは目、鼻、耳、唇、舌を指し、それぞれ五臓の官です。
今回は昨年、発売になった星火睛明丹について使われている中薬の説明と先生の眼科疾患の症例についてでした

眼科で使われる石決明の入った製品が待たれていましたがやっと発売されました

睛明丹の成分

石決明

平肝熄風薬に分類されています
平肝熄風とは肝は血と関係が深く肝の陰血の不足により肝陽が抑制できず陽気が浮上するのを抑え、陽気の浮上により肝の主気である風が起きる(内風)のも抑えるという意味です
つまり身体(肝)の弱りによって頭部などの上部に腫れや痛みや赤くなるなどの熱の症状が出て、内風の為めまいやふるえなどがでるなどに使うという事です
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中薬学では以下のように書いてあります
肝火を清する とともに肝陰を補い、重鎮で潜陽する
肝陽上亢の驚風抽搐・目赤翳障・青盲雀目(緑内障)などに適する
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肝陽上亢の症状があれば使うと良いです。
肝陽上亢なら目の病気になりやすいともいえます
まず肝陽を鎮め・肝陰を補う事です

白僵蚕

これも平肝熄風薬に分類される中薬です。熄風解痙の働きがあるとされ中医では顔面神経麻痺の時使ったりします。
足厥陰肝経を突き貫くように巡り・・・と書いてある所をみると経絡の気血の流れを通す働きが強いようです。化痰散結となっているのはそういう所からも来ているのかもしれないと感じます。
散結は固まりを散らすイメージでしこりにつかいます。
また、風泄熱となっているので風熱型のアレルギー症状に使えます。
*石決明と白僵蚕の組み合わせで、身体の内側からくる目のかすみや濁りにも風邪(ふうじゃ)による結膜炎などにも使用できるようです。

決明子

軽楊の気を受けて、昇降できると中薬学に書いてあります。肝胆鬱熱・風熱外襲による頭痛目赤にも肝腎陰虚による目暗不明にも使用でき『眼科の常用薬物』と称されるそうです。
これは、細菌やウイルスや花粉症など外的因子・環境因子による目の充血に使える他 高血圧など身体の内側に原因がある充血や視力減退にもどちらも使えるという意味です。
ただし潤腸通便の作用もあるので軟便気味の人や下痢しやすい人には使えません。

酒黄精

脾気・脾陰を補い、肺を潤し腎精も益します。
酒で炒ると薬力を上部にもっていくとされています。

その他ルテイン・ゼアキサンチン・アサタキサンチンなども入っています。

目の病気と漢方

緑内障

視神経が障害され視野が狭くなる病気です。
①眼圧が高くなることで視神経が障害される
②正常眼圧なのに視神経が障害される

眼圧は房水という眼球を満たしている液体の産生と排出のバランスによって一定に保たれています。
房水の排出が停滞してうまくいかなかったり、排出口が塞がったりして眼圧が上がります。
手術が必要な場合もあります。
正常眼圧緑内障の場合は眼圧に対して視神経が弱いからと考えられているようです。
ちょうど中医学でいう扶正祛邪の関係のようです。
こちらは特に日本人には多いそうです。

中医学では房水に対するアプローチとともに弱い部分をバックアップするように考えます。
*活血通絡・利水・補腎養肝明目です

加齢黄斑変性症

黄斑部は物の形や大きさ 色 明暗などを見るのに大切な部分です。
加齢によりそこに新生血管が出来たりそこの毛細血管が委縮したりする病気です。

中医学ではその現象を脾虚湿困・痰瘀互結・肝腎不足・陰虚火旺などと考え健脾利湿・活血通絡・養肝明目などの方法をります。
*新生血管ができるのも血管の萎縮も瘀血を考えると思いますが、新生血管は切れやすく出血すると見えない事につながります。

*9月に中医眼科の来日するのでその先生の治療についての話がありました。
糖尿病網膜症に対して 補虚活瘀、通絡明目・・・これは先生の臨床経験からの事だそうです。

目はとても大切です。
杞菊地黄丸などの漢方薬や睛明丹・枸杞の実・決明子(炮じハブ茶)などをのんだり目に良い事をやっていきましょう。