平成29年10月 勉強会

平成29年10月15日 勉強会

中成薬の不妊症周期調節法  中医学講師 河野康文先生

不妊症に対する3本柱 中医学と中成薬・西洋医学の知識・カウンセリング

 ■中成薬の周期調節法
  二分法
   1、月経期(リセットの期間)・・・活血化瘀(中心)血府逐瘀湯など
   2、内膜の増殖し、潤って着床に対する準備をする期間・・・補気・補血・補腎(中心)
     補腎に関して
      腎精不足・・・補腎益精
      腎陽虚(排卵が遅いか無排卵・BBT低め)・・・補腎陽
      腎陰虚(排卵が早い、BBT高め)・・・補腎陰
     養血+補腎+活血
      養血調経・・・婦人血を以て主と為す
      補腎益精・・・腎は精を蔵し、生殖を主る
      活血化瘀・・・不妊症の人の殆どに内性器の瘀血がある「骨盤滞血症」
               生理不順
               瘀血性疾患:子宮筋腫・卵巣嚢腫・内膜症・PCOSなど
               西洋医学の検査と診断による弁病論治(症状が無い時にも役立つ)

  *昔から女性の月経やホルモンバランスの崩れによる症状を『血の道』といったりします。
   この言葉は聞いた事があると思います。血の不足はこの血の道に大きく影響します。
   ですから養血(血を養う)事は不妊症の改善において重要です。
   また、『腎は生殖を主る』ので腎の重要性も考えに入れないわけにはいきません。。
   『腎は精を蔵す』という言葉にある精は狭義の意味においてはホルモンの事だと理解しています。
   だから、ある程度の年齢になってから妊娠を望む場合精血を補えるとされる物は不可欠になってきます。
   陰陽のどちらが不足しているかによって用いるものは違っていますが、動物性のものは有血有情の品といわれ
   効果が高いとされています。

 ■性腺軸
  視床下部性腺
      刺激ホルモン放出ホルモン
     下垂体
      性腺刺激ホルモン(FSH・LH)
     卵巣 卵胞ホルモン・黄体ホルモン
   血中の卵胞ホルモンはある程度増える事により中枢にフィードバックして排卵を促したり、
   卵胞刺激ホルモンや黄体刺激ホルモンを抑制したりするシステムになっています。
  ホルモン
   <ホルモンの働き>
     1、3大物質代謝
     2、身体の成長、発育、生育、老化のプロセスに必要
     3、生殖機能
     4、中枢神経・自律神経の発達や活動に影響している。
     5、内部環境の調節
   <ホルモンの働き方>
     内分泌腺から血管内に入って運ばれる。
  女性の生殖系
   卵巣
     卵の貯蔵、熟成、排卵、ホルモンの産生をしています。(エストロゲン・プロゲステロン・テストステロン)
     *中医学で女性は7の倍数で変化すると考えられています。
     『7×7歳(49歳)にして任脈虚し、太衝脈は衰少し、天癸竭き、地道通ぜず。故に形ついえて子無きなり。』黄帝内経
     にはこう書かれています。
     実際原始卵胞は出生時に約200万個あるといわれていますが、時間の経過とともに消失し、48歳の時は約1000
     個といわれています。
   子宮卵管采
     胎児を育てる場所です。受精卵にとってフワフワで潤いのある環境が必要です。
     この手のような形をした卵管采が排卵によって卵巣から出てきた卵子をキャッチしま
     す。
     卵管を通って子宮に到着します。受精卵は卵管中で分裂・分化し子宮腔に進み
     準備の整った内膜に着床します。
  月経の仕組み
   低温期
    月経期 胞状卵胞(5~10)コ
    増殖期 卵胞期(卵胞が育つうち1つが主席卵胞となり、その他は自然になくなる)
       排卵(主席卵胞から卵子が出る)
   高温期
    分泌期 残った卵胞は黄体化し黄体ホルモンを分泌する

  *基礎体温について
   黄体ホルモンは体温を上げるので、基礎体温によってある程度ホルモンの分泌の状況や排卵があるかなどを見る事が
   できます。
   この低温期から高温期になり低温期になる繰り返しは昼から夜また昼へという陰陽転化の流れと同じです。
   また血・精・津液は陰に属し形あるもので胞状卵胞が主席卵胞に育つ事は陰の時期という事が言えるので
   滋陰・養血・益精が中心になります。
   高温期は卵子が卵管を進んでいく動的な時期で気というエネルギー的な部分で陽にあたります。
   ですから補陽・補気・疏肝理気などが中心になります。