血虚と貧血

「血色も悪いし、舌の色も白いし、爪も白っぽい」

「血虚ですね。」

「血虚ってなんですか?」

「血が虚しいと書いて血虚です。つまり血の不足という事です。」

「貧血はありませんが・・・」

 漢方のいう血虚は貧血というわけではありません。でも まるで違っているわけでもありません。血色素(ヘモグロビン)は血の赤い色です。その赤みは舌などの粘膜の色や爪の色に反映されるはずです。女性は生理もありますから毎月血は失われます。つまり女性の血は不足しやすいという事です。1回の月経でどのくらいの血液が失われると思いますか?

「どのくらいかしら?」

「30~60mlですよ。1mlの出血で失われる鉄は約0.5mgですから15~30mgの鉄が失われる事になります。月経期には鉄分を多く摂る事をすすめます。私はヘム鉄ドリンクのアスリーブを月経期に飲む事をお奨めしています。1本でヘム鉄100mg摂ることができます。貧血はすぐには表れません。貯蔵鉄を使って補う事ができるからです。」

 *ヘム鉄についてヘム鉄は動物性食品に含まれる鉄でヘモグロビンやミオグロビンでアミノ酸などからできているので、ヘム鉄中の鉄は1% つまり100mgのヘム鉄の鉄は1mgです。しかし吸収率は良く40%くらいですから0.4mgの鉄を取り込む事ができます。因みにほうれん草など非ヘム鉄の吸収率は1~3%です。

 血色素(ヘモグロビン)の鉄が酸素を運びます。だから鉄不足は酸素不足になります。酸素不足になると頭も働きが悪くなります。肺の呼吸や心臓はなんとか 低酸素状態を改善しようと頑張り過ぎになるので、動悸や息切れになります。
「じゃあ動悸や息切れが貧血のせいの時もあるのね。

「ヘモグロビンが10g/dl以下になると 朝起きれなかったり首筋や肩がこる、夏になるとだるいなどを訴える人がでてくるそうです。実際 鉄の摂取量が不足したり、出血やハードな運動によって鉄が失われたりしてもすぐ数値には表れません。貯蔵鉄から補給するからです。数値にでてくる時は貯蔵鉄も減ってきています。」

「フーンそうなんだ。」

 だから鉄分の摂取は大事です。しかし貧血は鉄欠乏性貧血だけではあいません。赤血球の生成に関わっている鉄以外の栄養素の不足やホルモンなど機能面の弱さや赤血球の破壊の過剰などで病気によって貧血になっている時もあります。病気によるものかを 先ずは検査して調べましょう。中医学の弁証によると貧血は血虚・気血両虚・陰虚・気陰両虚・血熱・血燥などが考えられます。

 ■身体を滋養する血の力が足りない状況・・・血虚・陰虚
 ■その血の作るエネルギー不足・・・気虚
 ■熱の為血を消耗した状況・・・血熱・血燥 

「いろいろなんだね。」

「鉄や栄養素の補給は食養生として当然しなければなりません。」

「アスリーブはヘム鉄の清涼飲料水で食養生のうちだね。」

 そうです。何故貧血になったのかを 中医学的分類で考えれば、血を作る力が不足している、血を蔵する力が不足している、血が漏れやすい(統血不足または血熱)、熱によって血が消耗、熱の種類(実熱・虚熱・血熱・肝火など)状況に応じて対策があります。

 血虚と貧血の話にもどります。中医学による原因のうち「血を作る力の不足」からです。血は脾胃の働きによって飲食物より作られます。帰脾湯は気と血と両方補う事ができる漢方薬ですが、益気生血という方法で、血を補います。つまり 気を益し、血を生み出すという意味です。わかりやすくいえば脾胃が弱いと栄養分の吸収力が悪いと言う事です。特に年配になるに従って栄養素の吸収力は落ちるので、ゆっくりよく噛んで吸収を助ける習慣をつけておきましょう。

 また、健脾(脾を健やかにする)漢方薬を服用したり、山査子・麦芽・神麹でできた漢方食品の晶三仙を常用すると気血が充実した元気な身体作りができます。もちろん、血になる原料を仕入れる事はして下さいね。・・つまり鉄・蛋白質(アミノ酸)ビタミンB12・葉酸・Cuの入った食品をしっかり摂ることは基本です。

 2つ目の血を蔵する力の不足についてです。中医学では『肝は血を蔵す』といい肝の蔵血の働きが弱る事をいいます。西洋医学でも近年、肝臓が血を貯える働きを持つ事がわかってきましたが、中医学においては何千年の昔から肝蔵血の働きについていわれてきた事です。

「へー そうなんだ。すごいね。」

「この事から中医学は鋭い感性をもって人の仕組み追求して出来たものである事がわかります。」

「わたしは舌や爪が白っぽくかったりで血虚っていわれたんですけど・・・」

 血虚タイプの人は普段から婦宝当帰膠・四物湯・補血丸その他、養肝の働きの漢方を常用しましょう。さらにアスリーブで直接鉄分を補給しましょう。特に若い女性は生理によって血を失うので貧血になりやすく、整理中はアスリーブも飲むといいですよ。

 次は血が漏れる?でしたよね。血が漏れるとは出血傾向という意味です。正常な流れからはずれる(溢血)によって血虚・貧血になります。

 1つは脾気と関係しています。『脾は統血を主る』・・・通常 脾気が正常な流れから血が外れないように守っているのですが、脾気虚によりその働きが維持できなくなり漏れる状態です。この時は帰脾湯や補中丸を使います。

 2つ目は熱です。強い熱や火は血の勢いを増し、炎症や充血をおこし 血管を破って出血をおこします。この時は清営顆粒のような涼血薬を使います。

 3つ目に瘀血(オケツ)があります。これは漏れるというより、堰きとめられた川の流れが行き場所を失い洪水をおこすような状態です。出血してるなら田七で止血活血します。出血傾向があれば まずそこを治します。もし止める事をしないで補っても穴のあいた水瓶に水を注ぐようなものです。なるほど。

 猛暑がつづいています。「暑いですねー。」と言いながら皆さん汗をふいていらっしゃいます。汗でナトリウム分が出てしまうのは ほとんどの人が知っていますが、鉄も僅かながら出て行ってしまいます。

 夏に貧血症状が酷くなる人もいます。熱は陰の不足をまねきます。陰は血・精・津液など物質部分を意味します。この時 麦味参顆粒を使って急いで気と津液を補います。有形の血は即生できないので気から補う・・というのが中医学においては常識です。

 それにしても夏は暑い!暑いとは熱と湿が同時にある状態です。

発熱性疾患・・・これも熱(ただ漢方を使う時は風寒の場合もあります。
赤く腫れるなど炎症状態・・・熱(じゅくじゅくする時は湿熱)
ストレス・・・イライラ怒りっぽくなる・目が充血する(肝鬱化火)
物質としての身体の消耗(陰虚)・・・虚熱

 心火・肝火・胃熱・肺熱など熱が長引くと気血・気陰が消耗します。血は身体を構成する大事なものです、またヘモグロビンの鉄は身体中に酸素を運び内臓の働きを円滑にします。血虚と貧血はイコールではありませんが深~い関係があります。

 また『血は気の母』ですから血が充実しないと気が出来ないのでエネルギー少なく こころも養われなくいので、不眠や神経症になりやすくなります。不足を補う事は元気の一歩です。