女性不妊(不妊の弁証論治)

パンダ⑤ 生地黄・麦門冬・亀板・枸杞子・当帰・赤芍・白芍・沢蘭・山梔子・黄芩・牛膝・知母・黄柏・夜交藤・生麦芽。これは中国の中医学の病院で高プロラクチン血症で子宮内膜症のある女性にだされた処方です。弁証は腎虚火旺で、この処方が出されました。
もちろん プロラクチンも下がり 処方を変化させながら基礎体温もよくなってきました。この処方はこの患者さんのみに使われた漢方処方です。つまり本当の意味のオーダーメイドです。こんな事は日本ではできませんが、よりあった方剤を組み合わせて出す事でよい結果を生んでいます。

 19日は高橋楊子先生の女性不妊と症例検討の講義でした。高橋先生は中医臨床の弁証論治トレーニングの解説や『証の診方・治し方』『舌診の基礎』などを執筆なさっている方です。この処方中に麦門冬が入っています。温経湯の中にも入っています。麦門冬の帰経(どの臓腑に働くかの場所の事)は肺・心・胃で 清熱潤肺・止咳の働きがあります。潤肺の働きは不妊とは関係なさそうな感じですが、高橋先生がすばらしい考察をしていらっしゃいました。

 不妊症において生殖を主るといわれる腎は重要です。私たち中医漢方を学ぶ者にとって周知している事です。参茸補血丸・杞菊地黄丸・参馬補腎丸などを用いるのはその為です。しかし麦門冬は潤肺です。この人は腎虚火旺ですから腎陰(腎水)は少なくなっています。五臓の並びでみると肺と腎は相生の関係ですから肺が潤えばその子にあたる腎も潤うと考えられるのではないか。
と言われて、その理論の奥深さに感心しました。こういった考えは漢方を運用するうえでとても重要なことです。