胃腸と夏

パンダ⑦ 夏は潤い!ということですが、潤いの為に胃腸の働きは大切です。冷たいものばかり飲んだり、寝冷えしたりして冷えによる下痢 細菌が繁殖したものを食べた為の下痢など潤いを失うばかりでなく、潤いの吸収もできません。胃腸を整えておくこともまた、夏を元気にのりきる秘訣です。

 中医学においては脾胃の働きを円滑にするということになります。この働きがわるくなると水液代謝がにぶって身体が重だるく、疲労感を感じ横になりたくなったり、頭もしめられるような感じがしたり、浮腫みがでたり・・・停滞している湿による症状がでてきます。

 日本の夏は高温多湿でむしむしします。身体の中も湿気の多い人は、この季節体内はさらに酷いむしむし状態です。しめっぽいお部屋を想像してみてください。かびやすく、雑菌も繁殖しやすい、ムーンとするような臭いもこもって・・・人の身体も同じです。湿が停滞して濁っている状態です。適度に発散して身体をさっぱりさせるのが病気にならないコツです。湿に勝つという名前の勝湿顆粒や平胃散を湿濁や寒湿を除くのに飲みましょう。五行草のお茶を飲むのもいいと思います。

 脾は五臓の中心にあって五行の土にあたります。土は植物を育てる力です。その脾は湿をきらいます。だから脾の弱い人は湿気に弱いといえます。また、冷たい飲食物の摂りすぎ・汗で湿った服を着たままにしておく・雨にあたる・水中での仕事など寒湿の邪の侵入により脾の働きが阻害された症状がでてきます。食欲不振、むかつき、軟便や下痢、身体が重だるい・眠くて横になりたい、舌を見ると舌苔が白く厚くぺたぺたした感じなどです。身体がだるくて栄養ドリンクをのんだり、補気薬をのんでもなかなか元気がでないのは湿邪のせいかもしれません。

 脾虚(脾胃の虚弱)の人は軟便・下痢になりやすいばかりとは限りません。便秘がちな場合もあります。『脾は運化を主る』といい栄養や水分の輸送・代謝にかかわっています。水液代謝がわるく消化管に停滞すれば軟便・下痢に、身体に停滞すれば浮腫みになります。気血が摂り入れられないと消化管が滋養できず、粘膜の潤いが不足したり、また腸を蠕動するエネルギー(気)が不足したりして便秘となります。脾虚は脾陰も不足しやすく、特に夏、胃腸の働きがわるいと気陰の不足になりやすいといえます。

*浮腫みと潤い不足。なんだかありえなそうですが実際よくみかけます。

 例えば空咳で喉がカサカサするけれど、足は浮腫みやすいとか・・・

 脾の気と陰を補える方剤があります。健脾散エキス顆粒(参苓白朮散)です。山薬(山芋)やヨクイニン(はと麦)が入っています。これらは脾の陰を補う働きがあります。水穀(飲食物)は変化し、栄養やエネルギーとして体内に送られますが、これが円滑に行われるために、脾陽、脾陰のどちらも重要です。

 陰は陽を生み、陽は陰を生む相互依存の関係からも脾気が弱いと脾陰も不足しがちになる事がわかります。例えば脾気虚で下痢ばかりしていると、気血がつくられず脾の物質的側面(脾陰)が不足するということになります。飲食物をこなすことは、よくご飯を炊くことに例えられます。

釜の下の火がなければ炊くことができない・・・この火は脾陽のことです。
また、釜の中の水がなくてもやはり炊けない・・・この水は脾陰のことです。

 うまい比喩だとおもいませんか?

夏は潤い!
潤いの吸収は胃腸から!
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 香西洋参(西洋人参)は夏バテ防止にぴったりです。暑い屋外と冷えた室内を出たり入ったりで体調が悪くなりやすい人にはシベリア人参茶がおすすめです。このお茶は環境によるストレスがかかった時に飲むと良いお茶です。