2015年3月号に『中医臨床に中西医結合で膜性腎症治療に光』という記事がのっています。上海中医薬大学付属龍華病院 陳以平教授は長年腎臓病の治療の研究に携わってこられました。そのなかでネフローゼ症候群の膜性腎症は西洋医学の治療で効果のでない難治性のものがある疾患という事で着目されました。この病気に対して中医学の弁証論治と患者の共通点や病気の変化の法則を明らかにする事により病気から弁証する弁病も組み合わせました。
また病気の起こる機序(四大病機)虚・湿・瘀・熱という中医学の見方と西洋医学的発病のメカニズムを考慮し治則を考えました。それが『益気活血化湿』法です。(健脾益気・活血化瘀・清利湿熱)
更に上記の方法に対して効果的な中薬を実験から検討しています。
利湿に対し大量の補気薬が有効ということで、益気利水消腫の黄耆が使われています。(衛益顆粒は黄耆が6gも使われているもので応用できそうです。)活血は水蛭がよいとなっています。(水蛭の入ったものに水快宝があります)さらに化湿に白花蛇舌草や薏苡仁が書かれています。
膜性腎症の弁証論治を脾虚湿熱と脾腎陽虚に分類しています。これに基づいて治療した170例の有効率がびっくりするほど素晴らしく
1年間で 有効率90.2% そのうち完全寛開解27.45%
4年以上 92.86% 71.43%
と書かれています。
アメリカの専門誌に載った論文は『益気活血化湿』法で考案された参耆膜腎顆粒の有効率を西洋医学的にランダムに使った結果の有効率は76%で西洋薬(プレドニゾロン+シクロホスファミド)76%と同等でした。更に西洋薬と比して副作用の面での優位性有りとなっています。
参耆膜腎顆粒の有効率も素晴らしいですが、中医弁証に基づいて分類して、方剤を運用した結果の有効率は驚く結果だと思います。以上の記事に興味のある方は、お店で読んでいっていただけます。また陳以平先生の記事は2004年12月の中医臨床にも色々の腎臓病の中医学治療についてのっています。腎疾患に対して中医学的アプローチはなるべく腎臓を弱らせない為に、必ず良い助けとなると考えています。
*参耆膜腎顆粒について処方内容を考えてみました。
黄耆・・・益気 利水消腫
当帰・・・補血活血
蒼朮・・・燥湿健脾・利水
白朮・・・健脾益気 利水
山薬・・・補腎固精・縮尿
猪苓・・・利水滲湿
茯苓・・・利水滲湿
僵蚕・・・化痰散結
白花蛇舌草・・・清熱解毒・利水通淋
薏苡仁・・・清利湿熱・健脾
党参・・・補中益気
丹参・・・活血袪瘀
水蛭・・・破血逐瘀・消癥
*益気活血化湿法ですから
益気は黄耆・白朮・山薬・党参
活血は当帰・丹参・水蛭
化湿は黄耆を中心として 蒼朮・白朮・猪苓・茯苓・白花蛇舌草・薏苡仁
*糸球体の基底部へ免疫複合体の沈着にたいして中医学的に考えるなら清熱解毒・化痰の方法が必要になります。
*丹参については血管力の中で横沢先生が書かれています。