病気の素

 中医学は病気の原因を大切な指標にします。

関節が痛いよ
カメさんは水の中にいるから寒湿の邪気にさらされていたのが原因かな?散寒去湿の漢方薬をつかうかな?

関節が痛いよ
アリさんは暑い夏によく働いて消耗したかな?気血不足のところに風邪が入ったかな?去風して補血活血するかな?

関節が痛いよ。
ブタさんは普段から運動もしないのに食べ過ぎてるよ。だから食積がたまって身体に痰湿があるよ。痰湿で気血の巡りも阻害されて悪くなってるし、瘀血も考えなくちゃね。やっぱり化痰利湿・活血化おを主として去邪するかな?

 漢方は病因考えにいれますが、メタボリック症候群は病因を考え病気を防ぐと言う意味で同じです。よく言われているメタボリック症候群とはなんでしょうか?

「ぼくは腹囲が大きいと危ないかな?」

 という程度に思っている人も多いかと思います。(現時点においての腹囲の値 男性85cm以上・女性90cm以上)

 ■厚生労働省のホームページによると
 メタボリック症候群とは心血管疾患予防を第一義の目的としてハイリスクグループを絞り込むために定義された疾患概念であり、内臓脂肪の蓄積によりインスリン抵抗性(耐糖能異常)、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常、血圧高値を合併する病態である。・・・と書いてあります。

 つまり、狭心症や心筋梗塞や脳死卒中など循環器系の病気を防ぐ為に、危なそうな状況にある人達を見つけ出し、予防していこうというのが目的です。この内臓脂肪+(血糖値↑血圧↑脂質代謝のうち2つ)あると何もない人に比べて心血管系の病気になる確率は30倍だそうです。病因は飽食と運動不足による過栄養と書かれています。

まず 生活(食を含めた)のチェックからです。
 中医学でも病因を飲食の不節とするものが色々あります。

パンダ① 原因を飽食と運動不足としていますがエネルギーとして使いきれるだけ食べたれば蓄積はありません。漢方的には食積で、その為にできた痰湿、瘀血です。痰湿・瘀血は循環器系に影響します。食積に対し新たな食積を作らないよう食養生することは必須です。・・・これが一番大変なんだよね。

 中医学では食積にたいして消導薬をつかいます。消導薬は食品ともいえるもので、ゼリー状のお菓子になっているのを見かける山査子もそうです。山査子は油膩肉積や小児乳積に有効で宿食停滞に用いられます。また神麹は小麦粉やふすまに薬草などを加えて発酵させた、発酵食品です。麦芽・穀芽また大根の種や鶏の砂のうも消導作用があります。ちなみに晶三仙は山査子・神麹・麦芽・穀芽でできた食品です。

 食べ物は気血生化の源(気血を作る源)でも摂りすぎは食積になり、さらに痰湿になり気血のめぐりを停滞させて瘀血になります。ダイエットといって無理な偏った食生活を行うと気血が作られず体力や免疫力も弱まってしまいます。また一時的に痩せてもリバウンドしたのではなんにもなりません。一生つづけられる食生活や運動をめざしましょう。

 飽食と運動不足を漢方的に考えるとさらに病因を追求できます。胃は腐熟を主るといいますが、この働きは釜の中の米を炊くと言う事と比喩されます。釜の米を炊くにはある程度の火力が必要です。ストレスなどによってこの火が亢盛になると釜の中の物はどんどん出来あがって送られていきます。

 しかし、

そんなハイスピードな状態で、飲食物は気血を作れる水穀の精微の形になったでしょうか?
また、運化を主る脾は血やエネルギーに変化させたり、輸送したりできたでしょうか?
脾は働き過ぎで、くたびれて脾気虚になっていないでしょうか?
また運動不足になっているのは、おっくうだったり、だるかったり、めんどくさがりやだったり、気の不足が原因ではありませんか?

 中医学では臓腑・気血津液・寒熱・虚実・陰陽などのバランスからも考えます。