季節と病気

2016-05-25

パンダ② 不整脈があれば循環器科を受診して心電図など心蔵の検査をします。西洋医学では心蔵の病気ととらえているからです。

もし検査の結果、何も見つからないと精神的な問題だと言われ安定剤を処方されたり、心療内科の受診を勧められた方も多いと思います。

 

中医学では不整脈は心の『血脈を主る』働きの失調

 中医学で考えると不整脈は心の『血脈を主る』働きの失調ですから、もちろん心も考えに入れますが、五行の相生関係にある肝や脾の失調が影響しているかもしれないですし、相克の関係にある肺や腎が影響しているかもしれないという事も考慮します。

 また、気候や環境や食生活など個人をとります状況が大きく関係しているかもしれません。ここでは気候の変化を中心に考えてみます。

春は肝の季節

 春は肝の季節です。肝は五行の木の臓で、木の性質を持ちます。春先木の芽がふいて木々は枝を伸ばし新緑の葉をつけていきます。肝気は上に向かいます。温かくなり鳥が巣立つように自由に羽ばたきたい気分です。しかしストレスがかかると、そうはいきません。それは社会環境など個人を取り巻く周囲からストレスをうけている場合もありますが、自己を拘束している場合もあります。こうあるべきなのにこうならない。こうしたいのにできない。思い通りにならない。人がどう思うか気になる。などは自分のこだわりからストレスを招いている事も多くみられます。そうすると肝木は伸びやかに枝を伸ばす事が出来ずに肝鬱気滞の状態になります。

 また、肝が弱っている場合も同じです。年をとると肝腎が不足しがちになるので、特にストレスや緊張が強くなくても 疏泄機能が失調しやすくなります。肝血・肝陰の不足から疏泄機能の失調・肝陽上亢などにより脈の一定なリズムが保てなくなります。また血圧が不安定になったり、気分にむらがあったり、ホットフラッシュのように急にあつくなったり、汗がでたり、その為風邪をひきやすくなったり、あちこちに痛みやかゆみが出たりとか不定愁訴が伴う事も多くみられます。

夏は心の季節

 夏は心の季節で五行は火ですので、心火と言ったりもします。夏は一般に脈も少し早くなります。心火亢盛になるとエネルギー過多の状態ですので、ドキドキがとまらない。心蔵の音が聞こえる。頻脈から心房細動を起こす事もあります。もちろん汗で津液も失われやすく、虚血性心疾患に伴う不整脈になることもあります。また心火に強い状態は心血・心陰・心気を消耗しやすく、逆に心気不足によって脈の結代が生じる事もあります。こういう事から心原生の脳梗塞をおこす場合もあります。また、『神を臓す』機能が失調し不眠にもなり易いです。とにかく夏の不整脈に対しては心火を抑え、心気を補い、津液を補う事が大事です。

 四季の最後の約20日は脾気が旺盛になる時期で、土用と言い精がつくものを食べたりします。脾は土で気血精を作り出すところですから、ここが弱るとエネルギーがなくなって気力も体力もなくなってしまいます。食欲がない、軟便や下痢がつづく、疲れがとれない・・・など夏の終わり(長夏)の夏ばてのような状態ですが、脾の弱りによるものです。脾は心と母子関係にあって、心の弱りは脾に伝わり、心脾両虚になると動悸の他に眠りが浅い、不安感がある、色々考えすぎてしまう、物忘れが多いなどの症状がでます。脾は湿が多いと、うまく働けないので、除湿、利湿、化湿などの方法とともに夏の終わりには気津両虚や心脾両虚になっている事を考えにいれます。

秋は肺の季節

 秋は肺の季節で燥と関係しています。『肺は一身の気を主る』と言って呼吸によって気を取り込みます。夏に津液を消耗した上に、長夏の頃に脾胃の働きが弱くて津液の生成ができないと秋の燥に対応できなくなります。津液の不足で血液がドロドロになると血の巡りが悪くなって、虚血性心疾患が悪化し、それによる不整脈もおこりやすくなります。やはり、気津を補い宗気の回復をはかると共に瘀血を考えた方が良いようです。

冬は腎に季節

 冬は腎に季節で寒さが厳しい時期です。寒凝といって寒は凝滞させるという性質をもっています。やはり瘀血は絶対に考える必要があります。また心陽が不足したり心腎のバランスがとれなくなったりします。腎陰の不足により虚陽が上浮し不整脈になる場合もあります。もともと瘀血のある人や西洋医学的には狭心症などの虚血性心疾患や動脈瘤、静脈瘤などの循環器系疾患のある人は心配な季節です。身体を冷やさないようにすると共に、活血化瘀薬、補腎陽、補心陽、補腎陰など症状や体質にあわせて行っていくと良いようです。

 このように中医学においては気候などの環境も重要な疾病の発症要素と考えます。

2011-08-01

 脳梗塞も心筋梗塞も血の流れる道が塞がる事によっておきます。つまり 中医学では瘀血と考えます。血はなぜ流れているのでしょう。これは『心の 血脈を主る』働きによってなされています。つまり 絶え間ない心臓のポンプによって血は体内におくりだされます。これを行うエネルギーは心の気つまり心気す。心気の弱りは心臓から血を送り出す力の弱りになります。心臓の駆動力が弱まれば血の流れは停滞します。赤血球など血液は変形する能力を持っています。それも 気の力が不足すると弱まります。気は身体や身体の中の動きと関係しています。

 私達が「疲れた。」と感じている時は気も消耗しています。心臓を動かすエネルギーや赤血球や白血球の変形するエネルギーが不足してはスムーズな流れは期待できません。川を想像を想像してみてください。流れが緩慢だと流れによって運ばれるものは流れに乗れずつまってきてしまいます。それに加え水不足の状態だとよけい引っかかってつまりやすくなります。それが、夏に梗塞が多いという事はそういう事なのです。

 夏に脳梗塞が多い こんな調査結果が数年前に日本脳卒中学会で発表されました。夏に多いのは脳卒中のうち脳梗塞・冬に多いのは脳出血、くも膜下出血だそうです。理由は

①暑さによる発汗で血がネバネバする事
②暑さにより抹消血管が拡張して血の流れが遅くなる事

 だそうです。中医学で考えれば

①は津液不足または陰虚による瘀血
②は気虚による瘀血です。

 つまり 気津両傷・気陰両虚による瘀血です。気は血を流す推動力です。

 夏は心の季節ですから、心火が気津を消耗する事は熱中症の所に書きました。心臓は『通じるをもって本となす』といわれます。心臓をとります冠状動脈が通じて(流れて)いればこそ心臓が滋養されるという事です。

 本とは本治、つまり根本治療の事です。心包は心臓をとりまく部分の事ですが、活血化おの働きをもつ中薬のうち唯一丹参が心包に入るといわれています。西洋医学で考えれば心臓を取り巻く血管が心包と関連していると思いませんか?丹参は冠元顆粒・天王補心丹につかわれています。

2011-07-01

 今朝小さいクワガタが入り口ひっくり返っていたので、スイカにのせでベランダに置いたらずーっと食べてて飛んでいきそうにありません。その事はさておき、急な暑さに体がついていけない状態です。この辺りはカラ梅雨で六月から暑いので今年は沢山の人が熱中症になりそうです。以前 熱疲労も熱中症という話を書いた事があります。いやな汗、疲労感、頭痛、気持ち悪いなど熱中症の場合が多いようです。

何故 暑いと熱中症になるのでしょう?
何故 麦味参顆粒が熱中症の予防にいいのでしょう?
何故 西洋人参や蓮心がいいのでしょう?
何故 知柏地黄丸(瀉火補腎丸または知柏壮健丸の事)で身体が楽になるのでしょう?
何故 夏風邪に麻黄湯や葛根湯は向かないのでしょう?
何故 夏風邪は勝湿顆粒なのでしょう?

 夏は五行の火・五臓の心の季節です。つまり心は火と相対しています。夏は暑いので心臓の動きは活発ですが、オーバーヒートもしやすくなります。運動によって心は益々活発に脈は大きくなります。行き過ぎる心にダメージがきます。だから 運動中倒れる人もいます。

 汗は心の液といいます。汗のかきすぎもまた心に影響します。また心と腎は重要な関わりがあります。心は火 腎は水です。心の火は腎におりて腎陽を温め、そのエネルギーで腎の水は上に上がって心陰を補い心火が行き過ぎにならないようにしています。この事を交通心腎といいます。心腎の交通があってこそバランスがとれるわけです。ところが 心火が亢盛になってしまったらどうでしょう?また腎陰(腎水)が不足になったらどうでしょう?火の勢いがつよすぎれば やみくもに燃やし尽くすばかりです。また腎に水がなければ小さな火も抑制できません。

 この事はお年よりや子供の弱さとも関係しています。猛暑に対して心火を抑え、腎水を守らなくてはなりません。蓮心はハスの果実の胚芽で 清心瀉火・安神の働きがあります。つまり心火を抑えてくれます。

 蓮心茶は苦いですが、夏の暑い時はさっぱりすると思います。心火が肺に及んだ時は痰が粘ったり空咳になります。肺の熱をさまし潤すものに百合根や玉竹・沙参などがあります。百潤露はそれらが入った食品です。

 水分はこまめに補給ですが、水分に少し塩をまぜたり、梅干をとかしたり、イオン飲料が吸収が良いといわれています。これは中医学で考えても意味のあることです。塩は腎の引経の働きがあるといわれ、補腎薬も少し塩をおとした湯で服用すると薬が腎に入りやすいといわれています。水分も同じです。ただ夏は冷たい水分をがぶ飲みして、お腹を冷やし下痢になってしまう事がありますが、逆効果です。水分が吸収されないばかりか、栄養分の吸収も弱くなって体力を失ってしまいます。

 そう考えると水分の取り方は重要だといえます。 胃腸の調子がよくて吸収されてこそ身体の水になるのですから・・・

 熱中症の症状は 熱痙攣・熱疲労・熱射病に分けられ、熱射病が一番重症で体温調節機能が働かなくなって40℃を越えて意識がなくなり、出血傾向になります。高温と脱水状態にともなって起きますが、なりやすさには病気や体質が関係していると言われています。熱疲労の状態を暑気あたりと言ったりしますが、中医学で暑邪が身体を侵襲すると考えます。では暑邪とはどんな邪気でしょう?

 暑いは熱いです。陽邪で熱ですから炎上します。つまり火の性質をもちます。火といえば心でしたよね。また昇散という性質を持ち体から汗と伴に気も出て行ってしまいます。気と津液を失った状態を気津両傷といいます。また暑邪は湿邪を伴うので四肢の重だるさやみぞおちやお腹に脹満感がでたり、下痢したりの症状が表れます。胃腸症状の悪化により、特に嘔吐や下痢は更に津液や気を失う結果になります。

 熱中症は火(熱)と熱による燥そして、湿(湿度が高い事や熱や燥の為に飲む大量の水分による)が原因です。

1 心火を抑える事
2 津液や腎水を補う事
3 健脾利水して、水の運化を助け 栄養や水分の吸収がスムーズに行われるようにする事

 熱中症になりやすい体質は慢性的な脱水傾向・・・つまり陰虚タイプです。もちろん血は陰のうちですから血虚もその傾向にあります。脾胃気虚の人は運化作用が弱い為やはり心配です。衛気不足も汗が漏れやすいので、漢方の力を借りましょう。

 陰虚火旺の人は特に心配です。陰液の不足により内熱ある状態です。この場合に知柏地黄丸(瀉火補腎丸または知柏壮健丸の事)を使います。しかし、腎陰の不足は徐々になってきたわけですから一朝一夕には改善しません。しかし 火旺している火を抑え 腎陰を補う事は有効です。とりあえずこの猛暑に対して蓮心茶で心火を抑えながら、生脈散製剤の麦味参顆粒で気津を補っておきましょう。

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