顔面神経麻痺

パンダ⑨ 麻痺といえば神経や脳を考えると思います。顔の片側が麻痺するので、目が閉じれなかったり 口も閉めれないので涎がもれたりまた味も感じなくなったりします。原因はヘルペスの感染や脳腫瘍や聴神経腫瘍が原因の時もありますが、多くは原因不明のベル麻痺でストレスや寒冷被曝やウイルスなど何らかの原因、循環不全による神経の腫れと考えられています。。。

 中医学では中風のうち中経絡にあたります。病位が経絡にあって臓腑まで及んでいないものを中経絡といいます。また病因病機は気血不足・心・肝・腎の陰陽失調・それに加えて情思が不安定、悩む、怒る 或いは暴飲暴食・あるいは風邪やウイルスなど外邪の侵襲をうけるなどの誘因によって、気血の流れが阻害され停滞して筋脈が滋養されなくなっておこると考えられています。以上の事から経絡を通じさせる事が基本となります。

 逆に経絡が通じれば顔面麻痺は治るという事になります。

じゃあどうやって通じさせるのか?

 これは病因病機や症状によって違ってきます。症状からの分類は以下になります。

 ①風邪外襲…突然で頭痛・鼻づまりなど風邪症状をともなったりします。
 ②肝風内動…突然で顔面紅潮、肢体のしびれ、めまいなど肝風の症状が伴います。
 ③肝気鬱結…ストレスなど精神的要因から
 ④気血両虚…筋弛緩・息切れ・物を言うのがおっくう
 ⑤風痰阻絡…麻痺としびれ・ろれつがまわりにくい・喘鳴・舌がこわばった感じ。

①風邪外襲

 風邪(ふうじゃ)は他の邪気を挟んできますから、風寒・風熱・風湿によって対処しなくてはなりません。また、風邪(ふうじゃ)によるただの感冒ではありません。風邪(ふうじゃ)によって経絡が通じなくなってしまっています。また風邪(ふうじゃ)が経絡に侵入したのは経絡の気血の運行に隙間があった(経絡が空虚)だったからです。それには袪風・養血・通絡のすべてが必要な方法です。

②肝風内動

 肝風は肝の気は風ですから、肝陰の不足、肝血の不足より風がおきます。その場合、滋陰、養血しながら、熄風し通絡します。肝の疎泄の失調により血滞または瘀血が生じたなら活血化瘀も必要です。

③肝気鬱結

 疎肝解欝通絡+活血化瘀です。何故なら気滞血瘀(気は血のながれの推動力なので気が停滞すれば血も停滞するという理論です。)だからです。
また養血も必要です。肝の本質は血だからです。

④気血両虚

 益気養血通絡方法ですが、気血どちらの不足が大きいかによって違います。

⑤風痰阻絡

 化痰熄風 開竅通絡 痰は病理副産物ですから、痰のできる原因に言及しなくてはなりません。また痰は粘ってしつこいもので、時間がたってより頑固な痰なら、なかなか改善は難しいと思います。しかし、痰を取り除き通絡する努力はするべきだと思います。

 こういった漢方治療とともに、経絡を通じるため鍼治療もあわせて行うと良いです。

 昨年ヘルペスから顔面神経麻痺になられた方がおられました。当初は局部の腫れや痛み、熱っぽさを訴えていたので清熱解毒を充分に行いました。その後、麻痺に対して、袪風薬・養血薬・活血通絡薬を使いました。1週間後、痰湿があるので袪風薬を化痰薬に代えて1ヶ月で大分よくなりました。3ヵ月後には全く麻痺はなくなりました。